【アナリスト水田雅展の銘柄分析】インテリジェントウェイブは15年6月期は大幅増益予想で上振れ含み、収益改善基調を評価

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 インテリジェントウェイブ<4847>(JQS)はシステムソリューション事業を展開している。不採算プロジェクトの影響が一巡し、15年6月期は大幅増益予想で上振れ含みだ。株価は4月高値圏から利益確定売りなどで一旦反落したが、収益改善基調を評価する流れに変化はないだろう。

 大日本印刷<7912>の連結子会社で、ソフトウェア開発を中心にソリューションを提供する金融システムソリューション事業、情報セキュリティ分野を中心に自社開発パッケージソフトウェアや保守サービスを提供するプロダクトソリューション事業を展開している。クレジットカード会社、ネット銀行、証券会社など金融関連のシステム開発受託・ハードウェア販売・保守サービスが収益柱だ。

 中期的には、クレジットカード決済のフロント業務関連から、バックオフィス業務関連など基幹業務関連への事業領域拡大を目指している。14年2月にはジーフィー(GIFI)と個人投資家向け次世代オンライントレードシステム分野で業務提携した。

 15年2月にサイバーアークソフトウェア社(CyberArk、イスラエル)と国内販売代理店契約を締結した。世界65ヶ国以上、1750社以上で導入実績がある同社の特権アカウントセキュイリティソリューションを販売する。

 15年2月にはDevexperts Japan社と業務提携した。Devexperts社はトレーディングソフトウェア開発に優れたノウハウを持つ会社で、今回の戦略的業務提携によって、これまで実績のある高速取引、リアルタイム市況情報分析のソリューションから、デリバティブシステムを中心とした金融業務執行系プラットフォーム開発へ業務範囲を拡大し、金融業務の幅広いニーズに対応したソリューションを提供するとしている。

 新規事業分野では大日本印刷との連携を強化して、自社開発コミュニケーションツール「Face(フェイス)コンシェル」の販売を強化している。口語解析技術を駆使したコンシェルジュ(画面上の人物画)が簡単な質問に自動応答するシステムだ。15年3月には新たに、損害保険ジャパン日本興亜のウェブサイトでバーチャルナビゲーションシステムとして採用された。

 また5月19日には、大日本印刷が米パロアルトネットワークスと販売代理店契約を締結したことに伴って、同社の標的型攻撃対策ソフトウェア「アドバンストエンドポイント プロテクションTraps」の販売を開始すると発表した。17年度までの3年間累計で約20億円の売上を目指すとしている。

 5月8日に発表した今期(15年6月期)第3四半期累計(7月~3月)の連結業績は売上高が前年同期比14.6%減の43億02百万円、営業利益が同5.4倍の2億83百万円、経常利益が同4.0倍の2億93百万円、純利益が同14.4倍の2億88百万円だった。

 金融システムソリューションでソフトウェア開発とハードウェアが大幅減収だったが、不採算プロジェクトの影響一巡、ソフトウェア開発よりも相対的に利益率が高い自社パッケージソフトの増収などで大幅増益だった。純利益については税金費用の減少も寄与した。

 セグメント別には、金融システムソリューションの売上高が同17.1%減の39億30百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同25.9%増の10億30百万円で、プロダクトソリューションの売上高が同24.8%増の3億72百万円、営業利益が1億40百万円の赤字(前年同期は2億51百万円の赤字)だった。

 四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(7月~9月)14億26百万円、第2四半期(10月~12月)14億18百万円、第3四半期(1月~3月)14億58百万円、営業利益は第1四半期94百万円、第2四半期89百万円、第3四半期1億円だった。

 通期の連結業績予想は前回予想(1月28日に税金費用減少に伴って純利益を増額修正)を据え置いて、売上高が前期比2.4%減の64億円、営業利益が同2.6倍の3億80百万円、経常利益が同2.2倍の4億円、純利益が同4.4倍の3億80百万円としている。配当予想(8月6日公表)は前期と同額の年間5円(期末一括)としている。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が67.2%、営業利益が74.5%、経常利益が73.3%、純利益が75.8%と概ね順調な水準である。第4四半期(4月~6月)も堅調であり、通期利益は小幅に上振れ含みのようだ。

 クレジットカード・金融業界では、システム・ハードウェア更新投資、クレジットカード会社の資本関係変化に伴うシステム開発投資、不正検知を含むFEPシステム投資、ブランドプリペイドカードやモバイル端末決済など決済サービス多様化に対応したシステム投資、訪日外国人旅行客の増加に伴うコンビニエンスストアATMや海外カードに対応した新規投資などで、設備投資が高水準に推移する見通しだ。クレジットカード・金融関連の開発案件受注増加が期待され、中期的に収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、450円近辺の高値圏から利益確定売りなどで一旦反落したが、5月15日の376円から切り返しの動きを強めている。収益改善基調を評価する流れに変化はないだろう。

 5月20日の終値396円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS14円43銭で算出)は27~28倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間5円で算出)は1.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS169円00銭で算出)は2.3倍近辺である。

 週足チャートで見ると大陰線を引いて反落したが、13週移動平均線近辺から切り返しの動きを強めている。サポートラインを確認した形だろう。収益改善基調を評価する流れに変化はなく、4月高値475円を目指す展開だろう。

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