HPCシステムズは調整一巡、21年6月期増収増益予想
- 2020/9/4 08:31
- 株式投資ニュース
HPCシステムズ<6597>(東マ)はハイパフォーマンスコンピューティング分野のニッチトップ企業である。21年6月期増収増益予想である。競争優位性を活かして市場開拓を推進する方針だ。収益拡大を期待したい。株価は6月の高値から反落して水準を切り下げる形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。
■ハイパフォーマンスコンピューティング分野のニッチトップ企業
19年9月東証マザーズに新規上場した。ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)分野のニッチトップ企業で、科学技術研究開発のプラットフォーマーを目指している。なお20年4月にアズワン<7476>と資本業務提携した。
量子化学計算・分子動力学計算に強みを持ち、科学技術計算用高性能コンピュータに関連するシステムインテグレーションのHPC事業と、顧客企業の注文仕様に応じて産業用コンピュータを開発・製造するCTO事業を展開している。
HPC事業では、大学研究室や公的研究機関からの受注を確保しつつ、民間企業の研究所・R&Dセンターなどで実施されている大規模・高精度な科学技術計算向け高性能計算機の拡販を強化している。
CTO事業では、半導体検査装置、医療装置、アミューズメント機器向け既存顧客の受注継続に加えて、画像処理、ディープラーニング、スマートファクトリーなどを戦略分野として新規顧客獲得に注力している。
20年4月には、ABINIT-MPフラグメント分子軌道(FMO)計算ソフトウェアを用いた新型コロナウイルス関連タンパク質に対する相互作用解析等を、スーパーコンピュータ「富岳」に実装できるようにプログラムの移植、開発および最適化、性能評価の研究開発支援を開始した。
■21年6月期増収増益予想
21年6月期業績(非連結)予想は、売上高が20年6月期比10.1%増の52億円、営業利益が5.7%増の5億05百万円、経常利益が6.4%増の4億95百万円、純利益が7.3%増の3億30百万円としている。
新型コロナウイルスによる企業活動の停滞、意思決定の遅れ、投資意欲減退などが懸念されるが、HPC事業では計算化学に特化したクラウドサービスの提供、計算化学分野のソフトウェア開発、販売の強化、システム販売における新しいシステムインテグレーションの導入、CTO事業では画像処理など戦略分野における新たな付加価値提供などで業績向上を図るとしている。
技術力と営業力を軸とした競争優位性を活かして市場開拓を推進する方針だ。収益拡大を期待したい。
■株価は調整一巡
株価は6月の高値から反落して水準を切り下げる形となったが、週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から反発の動きを強めている。調整一巡して出直りを期待したい。9月3日の終値は2303円、時価総額は約96億円である。