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エスプールは反発の動き、20年11月期大幅増収増益予想
- 2020/9/4 07:55
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
エスプール<2471>(東1)はロジスティクスアウトソーシング、障がい者雇用支援・就労移行支援サービス、コールセンター業務などの人材サービス事業を展開している。20年11月期大幅増収増益予想である。新型コロナウイルスの影響は限定的であり、収益拡大を期待したい。株価は上値を切り下げる形だったが、調整一巡して反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。なお10月2日に第3四半期決算発表を予定している。
■ロジスティクス、障がい者雇用支援、コールセンターなど人材サービス事業
ビジネスソリューション事業(障がい者雇用支援サービス、ロジスティクスアウトソーシングサービス、セールスサポートサービス、新規事業)、および人材ソリューション事業(コールセンター向け派遣、販売・営業スタッフ派遣、ストアスタッフ派遣など)を展開している。
19年11月期の売上構成比はビジネスソリューション事業が29%、人材ソリューション事業が71%、営業利益構成比(連結調整前)はビジネスソリューション事業が56%、人材ソリューション事業が44%だった。
障がい者雇用支援サービス「わーくはぴねす農園」は19年11月期末時点で全国18農園、利用企業数259社、管理区画数2961区画、就業障がい者数1480名となった。20年3月には千葉県船橋市、20年6月には埼玉県川越市と愛知県小牧市に開設し、全国21施設となった。また従来型の農園はビニールハウス型で、概ね3000坪を超える敷地を必要としていたが、台風など自然災害の影響を踏まえ、屋外作業に適さない方にも就労機会を提供することを目的として、20年8月には官民連携で東京都板橋区に屋内型農園を開設した。屋内型農園は倉庫や建物の活用を前提としているため立地面において柔軟性が高い。
採用支援サービス「OMUSUBI」はエスプールリンクが事業展開し、飲食チェーンや小売業を中心に約120社の求人応募の受付業務を行っている。エスプールリンクは20年2月クラウド型OJTシステムのClipLineと業務提携、20年3月採用支援サービスのZENKIGENに出資、健康経営支援サービスのメンタルヘルステクノロジーズに出資した。
20年5月には、ZENKIGEN、ワークスタイルテック、およびイレブンと4社合同で、企業間が期間限定で従業員をシェアし合うプラットフォーム「超企業 従業員プラットフォーム」を開設した。また9月1日には、エスプールリンクがアルバイト・パート採用に特化した適性診断サービス「Talentgram」の提供を開始した。
なお20年6月には、エコノス<3136>の子会社でカーボンオフセット事業を展開するブルードットグリーンの株式を取得して子会社化している。新サービス開発に取り組む。
配当の基本方針は20年11月期から変更した。連結配当性向20%を目安とし、減益の場合でも単年度での連結配当性向60%を超えるまで減配しないとしている。
■20年11月期大幅増収増益予想で上振れ余地
20年11月期連結業績予想は、売上高が19年11月期比17.8%増の206億36百万円、営業利益が24.7%増の20億円、経常利益が22.3%増の19億88百万円、純利益が19.0%増の12億88百万円としている。配当予想は1円30銭増配の3円30銭(期末一括)としている。連続増配予想である。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比17.6%増の97億59百万円、営業利益が29.9%増の9億91百万円、経常利益が27.1%増の9億89百万円、純利益が38.5%増の6億88百万円だった。計画超の大幅増収増益だった。
売上面では、一部のサービスで新型コロナウイルスに伴う業務縮小・延期の影響を受けたが、ロジスティクスアウトソーシングサービスでは巣ごもり需要がEC通販業務の増加につながり、主力の人材アウトソーシングサービスおよび障がい者雇用支援サービスでは影響が限定的だった。利益面では、増収効果に加えて、派遣スタッフ募集費抑制の進展も寄与して大幅増益だった。
ビジネスソリューション事業は9.0%増収で10.0%増益だった。障がい者雇用支援サービスは設備販売の一部が第3四半期にズレ込んだが、19.3%増収と順調だった。採用支援サービスは40.4%増収と大幅伸長した。コロナ過で第2四半期にデリバリーサービスなどの応募受付数が急伸した。ロジスティクスアウトソーシングサービスは4.9%減収だった。物流センター運営(43%減収)が百貨店休業の影響を受けたが、EC通販発送代行(2%増収)は配送費立替金変更の影響を除くと大幅増収だった。
人材ソリューション事業は21.3%増収(販売支援が11%減収だが、主力のコールセンター業務が27%増収)で33.0%増益だった。コールセンターのシフト調整や販売支援の店舗休業による稼働率低下が減収要因だったが、新型コロナウイルスの影響は想定より小さく、全体として計画を上回った。
通期セグメント別計画は、ビジネスソリューション事業の売上高が23.2%増の62億14百万円(障がい者雇用支援サービスが28%増収、ロジスティクスアウトソーシングサービスが9%増収、採用支援サービスが37%増収など)で営業利益が19.4%増の18億08百万円、人材ソリューション事業の売上高が15.9%増の145億円(コールセンター業務が14%増収、店頭販売支援が20%増収など)で営業利益が19.1%増の14億10百万円としている。
下期の施策については、障がい者雇用支援サービスでは従来型1施設、および屋内型新農園1施設(東京都板橋区に20年8月開設済み)を開設する。ロジスティクスアウトソーシングサービスでは新センターの開発を見送り、当面は既存センターの収益最大化に注力する。人材ソリューション事業では人材需要の多い領域へのリソース集中、コストコントロール強化による利益確保を推進する。
新型コロナウイルスの影響は限定的であり、通期予想に上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。
■株価は反発の動き
株価は上値を切り下げる形だったが、調整一巡して反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。9月3日の終値は742円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS16円31銭で算出)は約45倍、今期予想配当利回り(会社予想の3円30銭で算出)は約0.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS38円42銭で算出)は約19倍、時価総額は約586億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)