【木村隆のマーケット&銘柄観察】丸井グループは九州地区強化に取り組む、カード事業を促進

木村隆のマーケット&銘柄観察

丸井グループ<8252>(東1)が高値圏で堅調。一部の弁護士事務所によるテレビCM攻勢などを背景に過払い金返還請求がぶり返してきたことがアゲインストの風になっている。悪材料をこなして堅調なのはカード事業の拡大による、来2016年3月期以降の利益盛り返しが高い評価を集めていることによる。また、足元の請求金額も小口化してきており、債権受け入高も減少に転じてきている。

同社は2015年3月期にスタートした「中期経営計画」の数値目標として、2017年3月期の連結営業利益360億円以上(2014年3月期271億円)を目標に掲げている。

成長を牽引するのはカード事業である。カード事業の成長を後押ししているのは、顧客基盤の拡大とメインカード化戦略。9月末のカード会員数は568万人と、この1年間で51万人増加している。メインカード化戦略では、利用金額が大きいゴールドカード会員(プラチナカード含む)への移行が進捗。ゴールドカードの会員数は前期末で全体の15%にすぎないが、ゴールドカードの前期ショッピング取扱高は4093億円と全体の48%を占めている。

現在は同社カード会員の8割が関東地区に集中しているが、「中計」では全国展開の推進を掲げている。なかでも、2016年春の博多マルイ(仮称)出店を控え、九州地区での顧客開拓を先行。ハウステンボスや「させぼ五番街」との協業などにより、九州地区でのカード会員は着実に増加している。これにより、小売・店舗事業での新店立ち上げでも大きなシナジーが現れる見込みだ。

今2015年3月期は営業利益280億円(前期271億円)にとどまるが、来期以降の収益向上への評価機運が盛り上がっている。(木村隆:日本証券新聞取締役編集局長を経て株式評論家)

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