パイプドHDは総選挙関連で人気化、21年2月期最終増益予想

 パイプドHD<3919>(東1)は情報資産プラットフォーム「スパイラル」を基盤として、情報資産プラットフォーム事業や販促CRMソリューション事業などを展開している。21年2月期は9月2日に特別利益計上で純利益を上方修正して最終増益予想とした。営業・経常利益は新型コロナウイルスの影響を考慮して保守的に減益予想としているが、第1四半期の進捗率が順調であり、期後半の回復を考慮すれば営業・経常利益にも上振れ余地がありそうだ。株価は総選挙関連で人気化の動きを強めている。通期営業・経常利益上振れ期待もあり、戻りを試す展開を期待したい。なお9月30日に第2四半期決算発表を予定している。

■情報資産プラットフォーム事業などを展開

 国内最大規模の情報資産プラットフォーム「スパイラル」を基盤として事業展開している。

 セグメント区分は、機能別事業群の情報資産プラットフォーム事業(スパイラルやBizBaseなどのクラウドサービス提供)、販促CRMソリューション事業(Webシステムの開発、ECサイトの構築・運営支援)、広告事業(インターネット広告代理販売)、および分野別事業群のxTech事業(ArchiTech:BIM事業、BeauTech:美歴、HRTech:オーダーメイド人材育成代行、FinTech:エルコイン)、社会イノベーション事業(政治山、I LOVE 下北沢、シモキタコインの運営)としている。

 20年2月期の売上構成比は情報資産プラットフォーム事業68.4%、販促CRMソリューション事業15.5%、広告事業11.7%、xTech事業3.0%、社会イノベーション事業1.3%だった。

 情報資産プラットフォーム事業は、契約数増加に伴って月額サービス収入が拡大するストック型の収益構造である。広告事業の売上高は、広告枠の仕入高を売上高から控除する純額表示(ネット表示)としている。

■情報資産の有効活用を推進

 重点戦略としてリアルビジネスとの接点の強化、イノベーティブな事業への挑戦、グループ全体の採用・育成の強化、グループ各社の情報資産の有効活用を推進している。

 電子地域通貨プラットフォームを提供するエルコインの子会社シモキタコインは、エルコインの電子地域通貨プラットフォーム発行事業者第1号として、下北沢で行われるイベントや商業施設等で利用される電子地域通貨を発行している。

 政治・選挙情報サイト「政治山」を運営するVOTE FORは、自治体向けオープンデータ化・活用サービス「マイ広報紙」を展開するパブリカと合併し、収益性向上を推進している。20年7月には「つくばスマートシティ協議会」に参画した。

 20年3月にはコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)として投資事業を行う新会社ダブルシャープ・パートナーズ設立を発表した。20年夏頃からCVCファンドを組成・運営する。赤字が続いていた人材育成代行事業の子会社ブルームノーツについては解散(20年夏頃清算結了予定)する。20年5月には子会社パイプドビッツフレンディットの「スパイラルプレース」を譲り受けた。

■21年2月期最終増益予想、営業・経常利益にも上振れ余地

 21年2月期の連結業績予想(6月30日に売上高・利益ともレンジ予想の下限値を上方修正、9月2日に特別利益計上で純利益を上方修正)は、売上高が58億円~62億円(20年2月期比6.6%減~0.1%減)、営業利益が10億円~12億円(同28.1%減~13.7%減)、経常利益が10億円~12億円(同28.7%減~14.4%減)、純利益が7億円~8億円(同1.7%増~16.3%増)としている。配当予想は未定としている。

 特別利益に投資有価証券売却益を約2億80百万円(為替レート1米ドル=105円の場合)計上する見込みだ。譲渡手続完了までに数ヶ月の時間を要するが、21年2月期末までには完了見込みとしている。また今後の為替レート変動によって、売却益計上金額が上下する可能性がある。

 第1四半期は、売上高が新型コロナウイルスの影響で前年同期比0.9%減の14億54百万円と減収だったが、広告管理業務の内製化やスパイラルの生産性向上効果で営業利益が33.6%増の2億83百万円、経常利益が31.3%増の2億83百万円、純利益が34.6%増の1億77百万円と大幅増益だった。

 通期については、新型コロナウイルスによって商談停滞など営業活動に影響が生じているため、保守的に減収、営業・経常減益予想としている。ただし通期予想上限値に対する第1四半期の進捗率は、売上高が23.5%、営業利益が23.6%と概ね順調だった。期後半の回復を考慮すれば営業・経常利益予想にも上振れ余地がありそうだ。

■株価は総選挙関連で人気化

 4月21日発表の自己株式取得(上限50万株・5億円、取得期間20年4月22日~20年10月21日)は、8月31日時点で累計取得株式数が24万3900株となっている。

 株価は総選挙関連で人気化の動きを強めている。通期営業・経常利益上振れ期待もあり、戻りを試す展開を期待したい。9月7日の終値は1718円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS上限値99円63銭で算出)は約17倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS477円39銭で算出)は約3.6倍、時価総額は約140億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■シスルナ経済圏構築に向け、グローバルなパートナーシップを強化  ispace(アイスペース)<9…
  2. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  3. ■物価高・人手不足が直撃、倒産件数29カ月連続で増加  帝国データバンクの調査によると、倒産件数が…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る