建設技術研究所はボックス上放れ、20年12月期増収増益予想

 建設技術研究所<9621>(東1)は総合建設コンサルタントの大手である。成長戦略としてグループ一体となった事業拡大を推進している。20年12月期は小幅ながら増収増益予想である。グループ全体への新型コロナウイルスの影響は軽微と見込んでいる。収益拡大を期待したい。なお8月31日には新型コロナウイルス感染拡大防止のためのPCR検査受検を発表している。株価はボックスレンジから上放れの形となった。そして上げ足を速めている。戻りを試す展開を期待したい。

■総合建設コンサルタント大手

 総合建設コンサルタントの大手である。河川・ダム・海岸・海洋、道路、橋梁、トンネル、都市・地方計画などの分野に強みを持っている。海外では英Waterman Group Plc(ロンドン証券取引所上場)を連結子会社化している。

 19年12月期のセグメント別構成比は、売上高が国内建設コンサルティング事業73%、海外建設コンサルティング事業27%、営業利益(連結調整前)が国内建設コンサルティング事業90%、海外建設コンサルティング事業10%だった。収益面では公共事業への依存度が高い。

■グループ一体となった事業拡大を推進

 CTIグループ中長期ビジョン「CLAVIS2025」では、目標数値(19年改訂)として25年の売上高850億円(国内60億円、海外250億円)、営業利益60億円を掲げている。

 CTIグループの安定経営と事業拡大を目指し、成長戦略としてグループ一体となった事業拡大を推進している。また重点事業分野は、防災・減災、既存ストックの運用・維持管理・更新、PM・CM施工管理などの発注者支援、包括維持管理・コンセッションなどのPPP事業、都市総合開発・再開発としている。

 18年2月にはAIベンチャーの知能技術と資本業務提携、18年10月にはエスプール<2471>と契約して障がい者雇用のCTIフレッシュグリーン農場を開園している。また20年8月には連結子会社の建設技研インターナショナルの株式を追加取得して完全子会社化した。

■20年12月期増収増益予想

 20年12月期連結業績予想は、売上高が19年12月期比3.8%増の650億円、営業利益が3.1%増の44億円、経常利益が2.3%増の45億円、純利益が3.3%増の29億円としている。受注高の計画は9.5%減の640億円である。配当予想は19年12月期と同額の35円(期末一括)としている。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比1.1%減の320億93百万円、営業利益が1.5%減の26億57百万円、経常利益が1.4%減の27億12百万円、純利益が5.2%増の17億96百万円だった。

 海外事業が新型コロナウイルスの影響(新規案件の発注遅延、一部プロジェクトの進行遅延や工期延長)を受けたが、国内が堅調に推移して全体を支えた。国内事業は2.9%増収で6.8%増益、海外事業は13.1%減収で赤字化した。なお受注高は9.9%減の374億71百万円(国内が4.2%増の303億15百万円、海外が42.6%減の71億56百万円)だった。

 第2四半期累計の進捗率は売上高49.4%、営業利益60.4%と順調だった。グループ全体への新型コロナウイルスの影響は軽微と見込んでいる。防災・減災対策など国土強靭化計画の推進も背景として、通期ベースで収益拡大を期待したい。

 なお8月31日には、社内ならびに発注者を含む関係者への新型コロナウイルス感染拡大防止を図るとともに、社員やその家族の不安を取り除くために、自由診療によるPCR検査を推奨することにしたと発表している。受検した場合の費用を会社が負担する。

■株価はボックス上放れ

 株価はボックスレンジから上放れの形となった。そして上げ足を速めている。戻りを試す展開を期待したい。9月8日の終値は1960円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS205円09銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想35円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2169円53銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約278億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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