エフティグループは調整一巡、21年3月期微減益予想だが保守的

 エフティグループ<2763>(JQ)は、ネットワークインフラ事業や法人ソリューション事業などを展開し、小売電力サービスなどの自社ストック型サービスの拡大戦略を推進している。21年3月期は新型コロナウイルスに伴う不透明感を考慮して微減益予想としているが、やや保守的だろう。上振れ余地がありそうだ。なお9月1日付で自己株式124万48株の消却を完了している。株価は戻り一服の形だが、調整一巡して出直りを期待したい。4%台の高配当利回りも注目点だろう。

■自社ストック型サービス拡大戦略で高収益化目指す

 ネットワークインフラ事業や法人ソリューション事業などを展開している。従来はLED照明などの環境省エネルギーサービスが収益拡大を牽引したが、近年は小売電力サービスなど自社ストック型サービスの拡大戦略を推進し、高収益化を目指している。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は法人事業が81%、コンシューマ事業が19%、利益構成比は法人事業が78%、コンシューマ事業が22%だった。自社ストック型サービス(OAカウンターサービス、情報通信定額保守サービス、インターネットサービスプロバイダ販売、光コラボレーション、節水装置JET、小売電力サービスなど)を重点分野と位置付けて拡大戦略を推進し、20年3月期のストック売上比率は41.8%となった。21年3月期には46.9%まで上昇する計画としている。

 なお21年3月期からセグメント区分を変更し、ネットワークインフラ事業(小売電力サービス、光回線サービス、節水装置・ウォーターサーバなどストックサービスの企画・開発・販売・運営)、法人ソリューション事業(UTMファイルサーバ、セキュリティ商品、環境関連商品、情報通信機器販売・施工・定額保守など情報通信サービスおよび環境サービス)、その他事業(蓄電池販売、その他)とした。

 選択と集中の観点から、19年4月東北地区で展開していたドコモショップ運営から撤退、19年6月タイ・フィリピン・インドネシアの連結子会社4社の株式の80%をレカム<3323>に譲渡、20年5月コンシューマ向け太陽光発電設備等の子会社アローズコーポレーションの株式一部を譲渡して持分法適用会社化、20年7月会社アレクソンの株式をNo.1<3562>に譲渡、20年8月法人ソリューション事業の地域事業会社6社をエフティコミュニケーションズに吸収合併した。

 一方ではM&A・アライアンスも積極活用し、19年11月デジタルデータソリューションと共同でドローン保険制度を運営するエアロエントリーに対してドローンデータ復旧サービスの提供を開始、19年12月シリコンパワージャパンに対してデータ復旧サービスの提供を開始、20年6月ライトアップと中小企業向け助成金・補助金受給支援で業務提携した。

■21年3月期微減益予想だが保守的

 21年3月期連結業績(IFRS)予想は、売上収益が20年3月期比6.8%増の490億円、営業利益が4.1%減の60億円、そして親会社所有者帰属当期利益が2.5%減の38億円としている。配当予想は20年3月期と同額の61円(第2四半期末26円、期末35円)である。

 第1四半期は売上収益が前年同期比11.4%減の104億01百万円、営業利益が24.0%減の16億77百万円、親会社所有者帰属四半期利益が44.3%減の7億13百万円だった。

 ネットワークインフラは小売電力サービスの大幅伸長で32.7%増収、法人ソリューションは前年のIFRS導入時の売上収益認識変更の反動で22.7%減収、その他は新型コロナウイルス影響による蓄電池販売の減少で39.5%減収だった。利益面では、前年の海外法人譲渡益計上の反動、第2四半期に計上予定のアレクソン譲渡益の税効果も影響した。

 通期は第2四半期以降の緩やかな回復を想定し、自社ストック型サービス拡大戦略を推進して増収(ストック売上高の計画は30.2%増の250億円)だが、新型コロナウイルスに伴う不透明感や前年の特殊要因の反動を考慮して微減益予想としている。子会社アレクソンの株式譲渡に伴う影響については精査中としている。

 当面は経済収縮の影響が意識されるが、第1四半期の営業利益進捗率は28.0%と順調だった。通期微減益予想だがやや保守的だろう。上振れ余地がありそうだ。

■株価は戻り試す

 8月7日発表の自己株式取得(上限44万株・8億円、取得期間20年8月14日~21年2月28日)は、20年8月31日時点で累計取得株式数4万株となった。また20年9月1日付で自己株式124万48株の消却を完了した。

 株価は上値が重く戻り一服の形だが、調整一巡して出直りを期待したい。4%台の高配当利回りも注目点だろう。9月18日の終値は1361円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS120円27銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の61円で算出)は約4.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS484円22銭で算出)は約2.8倍、時価総額は約436億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る