【アナリスト水田雅展の銘柄診断】京写は16年3月期大幅増収増益予想、予想PERに割安感

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 京写<6837>(JQS)はプリント配線板の大手メーカーである。株価は高値圏でモミ合う展開だが、16年3月期は大幅増収増益予想であり、予想連結PERには割安感が強い。中期成長力も評価して1月高値587円を試す展開だろう。

 世界最大の生産能力を誇る片面プリント配線板、および両面プリント配線板を収益柱として、実装治具関連事業も展開している。プリント配線板の生産は国内および中国、インドネシアに拠点展開している。また14年10月にキクデンインターナショナルからフロー半田付け搬送キャリア事業を譲り受け、実装治具関連事業も強化している。

 15年3月期の製品用途別売上構成比は、自動車関連が29.4%、家電製品が26.3%、事務器が12.8%、映像関連が7.0%、アミューズメントが5.6%、その他が18.9%で、幅広い用途と顧客層(国内1000口座、海外300口座)を獲得している。さらにLED照明関連の需要拡大も背景として、製品サイクルの長い自動車関連や家電関連を一段と強化している。

 中期経営計画では目標数値として16年3月期売上高200億円(片面プリント配線板100億円、両面プリント配線板85億円、実装治具関連事業15億円)、営業利益率6%(既存製品の営業利益率は6.5%以上)、ROE(自己資本利益率)15%以上、ROA(総資産利益率)6%以上を掲げている。

 重点戦略としては、LED照明関連など環境対応製品の強化、ボリュームゾーンである片面プリント配線板分野における圧倒的トップシェアの獲得、グローバル戦略強化と海外生産の拡大、技術革新やコスト対応による収益力向上、基板・実装関連に次ぐ第3の事業の確立に取り組んでいる。LED照明関連については直管型LED照明の普及に加えて、自動車ヘッドライトのLED化進展も期待されている。

 4月30日に発表した前期(15年3月期)の連結業績は売上高が前々期比9.6%増の176億77百万円、営業利益が同14.7%増の9億16百万円、経常利益が同18.8%増の9億34百万円、純利益が同31.9%増の6億85百万円だった。利益を増額修正した7月31日の前回予想値を上回る増収増益だった。平均為替レートは1米ドル=109円93銭で同9円69銭の円安、1香港ドル=13円65銭で同1円06銭の円安だった。

 配当予想(1月30日に増額修正)については同3円増配の年間8円(期末一括)とした。配当性向は16.7%となる。ROEは同0.3ポイント上昇して12.3%、自己資本比率は同3.2ポイント上昇して44.5%となった。

 自動車関連向けや直管型LED照明関連が好調な両面プリント配線板が牽引し、搬送用治具もスマートフォン関連向けの好調や事業譲受で大幅伸長した。輸出入取引の増加に伴って販管費が増加したが、増収効果、原材料調達コストの低減効果、製造ライン自動化進展による生産性向上効果などで大幅増益だった。

 製品別の売上高を見ると、片面プリント配線板は国内LED照明関連が伸長したが海外事務器向けが減少して同0.2%減の88億71百万円、両面プリント配線板は自動車関連や直管型LED照明関連が伸長して同21.6%増の63億07百万円、その他は実装事業の拡販に加えて、事業譲り受けた搬送用治具事業も寄与して同22.1%増の24億97百万円だった。

 四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)41億65百万円、第2四半期(7月~9月)44億41百万円、第3四半期(10月~12月)45億35百万円、第4四半期(1月~3月)45億36百万円、営業利益は第1四半期2億53百万円、第2四半期2億33百万円、第3四半期2億39百万円、第4四半期1億91百万円だった。

 今期(16年3月期)の連結業績予想(4月30日公表)は売上高が前期比13.1%増の200億円、営業利益が同31.0%増の12億円、経常利益が同25.2%増の11億70百万円、純利益が同31.3%増の9億円、配当予想が前期と同額の年間8円(期末一括)としている。

 国内外の自動車関連やLED照明関連が好調に推移する。中国では非日系企業からの新規受注も寄与して稼働率が大幅に上昇する。稼働率上昇、生産自動化進展、集中購買による原材料調達コスト低減などの効果も寄与して増収増益基調だろう。

 株価の動きを見ると、1月高値587円まで上伸した後、やや上値が重くなった。ただし下押す動きも見られず、概ね高値圏540円~570円近辺でモミ合う展開だ。好業績を評価する流れに変化はなく、上昇トレンドの中段保ち合いだろう。

 5月21日の終値536円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS62円79銭で算出)は8~9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は1.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS438円92銭で算出)は1.2倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線近辺でモミ合う形だが、26週移動平均線が追いついて再動意のタイミングが接近しているようだ。今期予想連結PERには依然として割安感が強い。中期成長力も評価して1月高値587円を試す展開だろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■シスルナ経済圏構築に向け、グローバルなパートナーシップを強化  ispace(アイスペース)<9…
  2. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  3. ■物価高・人手不足が直撃、倒産件数29カ月連続で増加  帝国データバンクの調査によると、倒産件数が…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る