マルマエは反発の動き、受注回復基調で21年8月期も収益拡大期待

 マルマエ<6264>(東1)は半導体・FPD製造装置向け真空部品などの精密切削加工事業を展開している。20年8月期は大幅増益予想である。そして9月11日には配当予想を上方修正した。受注が回復基調であり、21年8月期も収益拡大を期待したい。株価は7月の年初来高値から反落したが、調整一巡して反発の動きを強めている。好業績を評価して戻りを試す展開を期待したい。なお10月8日に20年8月期決算発表を予定している。

■半導体・FPD製造装置向けの精密切削加工事業

 半導体・FPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使用される真空部品や電極などの精密切削加工事業を展開している。

 パイオニアプラズマディスプレイ鹿児島工場の一部を取得し、18年4月出水事業所として稼働、電子ビーム溶接(EBW)関連の生産も開始した。19年2月には本社を出水事業所内に移転し、本社機能の充実や業務の効率化を推進している。

 作業補助・介護ロボットの開発(鹿児島大学と共同研究)では、18年7月第二種医療機器製造販売業の許可を取得し、医療機器製造業の登録を行った。

■22年8月期営業利益20億円目標

 中期事業計画(20年8月21日に修正)の数値目標としては、22年8月期の売上高70億円、営業利益20億円、資産ベースROIC18%、負債ベースROIC14%、配当性向30%以上、年間最低配当額10円(最終損益が赤字となる場合は見直しを行う)を掲げている。

 半導体分野ではEBWも活かして既存顧客からの受注品種拡大を推進し、デバイスメーカーの稼働向上で消耗品の拡大を見込んでいる。新規顧客獲得に関しては、既に2社獲得済(1社は20年度量産開始済、1社は試作品提供開始済)である。

 FPD分野は21年度に市場の若干縮小を想定しているが、EBWを活かして新規顧客を獲得済であり、同業他社の撤退などによって市場シェア拡大も見込んでいる。

■20年8月の受注残高は前年比7.3%増と好調

 なお月次受注残高(速報値)を見ると、20年8月は半導体分野が5億79百万円(前月比0.2%減、前年同月比48.0%増)、FPD分野が2億05百万円(前月比21.9%減、前年同月比39.7%減)、その他分野が6百万円、合計が7億91百万円(前月比6.8%減、前年同月比7.3%増)となった。

 FPD分野の検収が高水準で推移した一方で受注が一時的に停滞したため、全体として前月比では減少だが、前年比では好調だった。19年2月の合計6億20百万円をボトムとして受注回復基調である。

 今後の動向として、半導体分野は市場環境が一時的に低迷したが、9月を底として年末に向けてメモリを中心に回復する見込みとしている。FPD分野は市場が21年半ばまで停滞する見込みだが、シェア拡大で受注堅調見込みとしている。

■20年8月期大幅増益予想、受注回復基調で21年8月期も収益拡大期待

 20年8月期の業績(非連結)予想(6月10日に売上高を下方修正、各利益を大幅に上方修正)は、売上高が19年8月期比8.6%増の43億64百万円、営業利益が73.1%増の8億58百万円、経常利益が72.9%増の8億25百万円、純利益が48.4%増の6億48百万円としている。配当予想は9月11日に期末2円上方修正して、19年8月期比2円増配の17円(第2四半期末5円、期末12円)とした。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比7.9%増の31億82百万円、営業利益が75.8%増の6億29百万円、経常利益が73.8%増の6億円、そして純利益が2.2倍の4億93百万円だった。

 半導体分野は2.2%減収だったが、FPD分野がEBW関連の好調で72.7%増収と大幅伸長した。コスト面では減価償却費が増加したが、限界利益率の良い案件が増加して大幅増益だった。なお受注高は半導体分野が13.1%増、FPD分野が81.0%増だった。

 第3四半期累計の進捗率は売上高72.9%、営業利益73.3%と順調だった。通期ベースでも好業績を期待したい。また受注が回復基調であり、21年8月期も収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年8月末時点で6ヶ月以上保有株主対象

 株主優待制度は、毎年8月末日現在6ヶ月以上継続1単元(100株)以上保有株主を対象として、クオカードを贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は反発の動き

 株価は7月の年初来高値から反落したが、調整一巡して反発の動きを強めている。好業績を評価して戻りを試す展開を期待したい。9月23日の終値は981円、前期推定PER(会社予想のEPS50円06銭で算出)は約20倍、前期推定配当利回り(会社予想の17円で算出)は約1.7%、前々期実績PBR(前々期実績のBPS406円65銭で算出)は約2.4倍、時価総額は約128億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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