- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- クレスコは反発の動き、21年3月期は後半の回復期待
クレスコは反発の動き、21年3月期は後半の回復期待
- 2020/9/24 08:52
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
クレスコ<4674>(東1)はビジネス系ソフトウェア開発を主力として、組込型ソフトウェア開発も展開している。21年3月期は新型コロナウイルスの影響で営業・経常微減益予想だが、後半の回復を期待したい。株価は上値を切り下げてやや軟調だったが、業績予想の織り込み完了して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。
■ビジネス系ソフトウェア開発が主力で組込型ソフトウェア開発も展開
ビジネス系ソフトウェア開発(アプリケーション開発、基盤システム構築)事業を主力として、組込型ソフトウェア開発事業、その他事業(商品・製品販売)も展開している。
20年3月期セグメント別売上高構成比はソフトウェア開発事業82%(金融・保険分野27%、公共・サービス分野25%、流通・その他分野30%)、組込型ソフトウェア開発事業18%(通信システム分野1%、カーエレクトロニクス分野8%、情報家電等・その他分野9%)、その他事業(商品・製品販売等)0%だった。営業利益構成比(連結調整前)はソフトウェア開発事業72%、組込型ソフトウェア開発事業28%、その他0%だった。
収益面では案件別の採算性が影響し、企業のIT投資関連のため年度末にあたる第4四半期の構成比が高くなる特性がある。配当方針は、連結経常利益をもとに特別損益を零とした場合に算出される親会社株主帰属当期純利益の30%相当を目途に、継続的に実現することを目指すとしている。
■質的・量的成長目指す
中期成長に向けた5ヶ年経営ビジョン(16年4月~)では、経営方針としてCRESCO Ambition 2020に沿った経営、サービス品質強化による質的成長、リソース・技術戦略強化による量的成長、M&Aによる成長スピード拡大を掲げている。
オリジナル製品・サービスでは、IoTの「KEYAKI」、AIの「Minervae」、クラウドの「Creage」を3大ブランドと定義し、ソフトウェア開発・システム開発の需要喚起を推進している。
19年10月にはクレスコベトナムがオフショア開発の中核として稼働した。19年11月にはアマゾンのAWSパートナー制度で、AWS Well―Architectedパートナープログラム認定を取得した。20年2月には北海道大学公認のAIベンチャーである調和技研と資本業務提携、20年4月にはシステムインテグレーターのエニシアスを子会社化した。
208月には、子会社のクリエイティブジャパンが電気通信大学との産学共同研究で、3密を解決する「CLIP新型コロナ感染症予防支援システム」の開発を開始した。
■21年3月期営業・経常微減益予想だが後半の回復期待
21年3月期の連結業績予想は、売上高が20年3月期比1.7%増の400億円で、営業利益が4.4%減の34億円、経常利益が3.0%減の36億円、純利益が1.2%増の24億50百万円としている。配当予想は20年3月期と同額の36円(第2四半期末18円、期末18円)である。
第1四半期は、売上高が前年同期比1.7%増の94億04百万円で、営業利益が44.6%減の4億26百万円、経常利益が26.5%増の8億47百万円、純利益が28.2%増の5億55百万円だった。
新型コロナウイルスの影響による顧客のIT投資計画見直しで、主要顧客を中心に受注が減少した。ソフトウェア開発では特に人材、旅行、空輸、不動産関連が大幅減少した。売上高は金融関連案件の増加や新規連結効果などで増収を確保したが、営業利益は人件費などの増加に加えて、連結子会社における不採算案件発生も影響して大幅減益だった。経常利益と純利益はデリバティブ評価損益の改善が寄与して増益だった。
ソフトウェア開発は前年同期比2.6%増収(金融関連が11.3%増収、公共サービスが10.9%減収、流通・その他が5.0%増収)だが36.5%減益、組み込み型ソフトウェア開発は1.8%減収(通信システムが9.4%増収、カーエレクトロニクスが13.2%増収、情報家電等・その他が17.4%減収)で25.6%減益だった。
通期も新型コロナウイルスによる顧客のIT投資の中止・中断・延期、対面営業自粛などの影響を想定し、上期の受注減少が避けられず、通期営業・経常微減益予想としている。後半の回復を期待したい。
■株価は反発の動き
株価(20年2月1日付で株式2分割)は上値を切り下げてやや軟調だったが、業績予想の織り込み完了して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。9月23日の終値は1320円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS116円72銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想36円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS770円72銭で算出)は約1.7倍、時価総額は約317億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)