- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- JFEシステムズはモミ合い上放れ、21年3月期予想未定だが収益拡大基調
JFEシステムズはモミ合い上放れ、21年3月期予想未定だが収益拡大基調
- 2020/10/1 08:41
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
JFEシステムズ<4832>(東2)はJFEグループの情報システム会社である。21年3月期連結業績・配当予想は未定としているが、新型コロナウイルスの影響は限定的であり、収益拡大基調だろう。株価は戻り一服となってモミ合う形だったが、調整一巡して上放れの動きを強めている。上値を試す展開を期待したい。10月28日に第2四半期決算発表を予定している。
■JFEグループの情報システム会社
JFEグループの情報システム会社である。鉄鋼向け情報システム構築事業を主力として、ERPと自社開発ソリューションを組み合わせた一般顧客向け複合ソリューション事業、自社開発のプロダクト・ソリューション事業も強化している。
20年3月期の事業別売上高は鉄鋼210億円、一般顧客159億円、基盤サービス55億円、子会社(JFEコムサービス、IAFC)56億円だった。収益面では情報システム関連のため、年度末にあたる第4四半期の構成比が高い特性がある。
なお、女性の活躍推進の取り組みが優れた企業を厚生労働大臣が認定する「えるぼし」や、働き易い職場環境整備・意識啓発に取り組む企業を東京都が登録する「心のバリアフリーサポート企業」など、働き方・企業風土に関する各種認証を取得している。20年3月には健康経営優良法人2020大規模法人部門に3年連続で選定された。また20年7月には厚生労働大臣から子育てサポート企業として「プラチナくるみん」認定を受けた。
■ソリューション事業拡大も推進
中期経営計画(19年3月期~21年3月期)の目標数値には、21年3月期売上高460億円以上、経常利益32億円以上、純利益20億円以上、配当性向(目安)30%を掲げている。経常利益と純利益は19年3月期に2期前倒しで目標を達成している。
重点戦略は、高収益事業への構造転換で製鉄所システムリフレッシュ本格化に向けた体制確保、AIやIoTなど新技術を活用したソリューション事業の拡大、クラウドやセキュリティ関連など基盤サービス事業の拡大、基幹事業の強化で自動車向け体制充実や金融向け構造転換推進など製造・金融分野の顧客基盤強化、プロダクト事業(食品、電子帳票)強化によるニッチトップ確立としている。
20年6月には、NTTデータイントラマート<3850>とコンサルティングパートナー契約を締結した。企業の電子帳簿保存法対応を強力に支援するため、電子帳票シェアNO.1の導入実績を誇る電子帳票保存ソリューション「DataDelivery」と、NTTデータイントラマートの「IM-Workflow」との連携を強化する。
20年7月には、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を支援する「SIDEROS DXソリューション」の販売を開始した。
20年9月には電子帳票パッケージFiBridgeシリーズが、富士キメラ総研の「ソフトウェアビジネス新市場2020年版」において、13年連続で国内製品シェア1位を獲得したと発表している。利用企業数は3700社を超えている。
■21年3月期予想未定だが収益拡大基調
21年3月期連結業績予想および配当予想は、新型コロナウイルスによる経済下振れリスクやIT投資への影響を考慮し、合理的な算定が困難なため未定としている。
第1四半期は、売上高が前年同期比9.3%増の114億32百万円、営業利益が34.0%増の9億94百万円、経常利益が37.4%増の10億07百万円、純利益が34.7%増の6億20百万円だった。JFEスチール・グループ向け基盤サービスなどが順調に拡大して増収・大幅増益だった。
通期の連結業績および配当予想は引き続き未定としているが、新型コロナウイルスの影響が限定的で、第1四半期は大幅増益だった。通期ベースでも収益拡大基調だろう。
■株価はモミ合い上放れの動き
株価は戻り一服となってモミ合う形だったが調整一巡して上放れの動きを強めている。上値を試す展開を期待したい。9月30日の終値は3930円、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2288円72銭で算出)は約1.7倍、時価総額は約309億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)