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エイジアは06年高値を試す、21年3月期予想を上方修正
- 2020/10/2 08:01
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
エイジア<2352>(東1)はメール配信システムの大手である。クラウドサービスやM&Aによる新規事業で成長を目指している。9月30日に、CONNECTY HOLDINGの子会社化(第3四半期から連結)と、21年3月期通期の売上高およびEBITDA予想の上方修正を発表した。株価は06年の上場来高値に接近している。上値を試す展開を期待したい。なお10月30日に第2四半期決算発表を予定している。
■メール配信などe-CRMシステム「WEBCAS」シリーズが主力
自社開発e-CRMシステムのWEBCASシリーズのアプリケーション事業を主力として企業のCRM運用支援を行い、コンサルティング、システム受託開発、EC事業(18年9月譲り受けたベビー服ECサイト運営事業)も展開している。eメールを活用した販売促進ソリューションを強みとしている。
20年3月期のセグメント別売上高構成比はアプリケーション事業77%、コンサルティング事業15%、オーダーメイド開発事業1%、EC事業7%、営業利益構成比(調整前)はアプリケーション事業100%、コンサルティング事業1%、オーダーメイド開発事業1%、EC事業▲2%だった。収益面では下期の構成比が高い特性がある。またクラウドサービスが拡大してストック型構造の特性を強めている。
メール配信システム「WEBCAS e-mail」は、顧客の嗜好、属性、購買履歴などに基づいたOne to Oneメールを、世界トップレベルの最高300万通/時で送信することが可能な超高速性が強みである。20年3月には多言語配信機能を標準搭載した新バージョンを発売した。WEBCASシリーズはメール配信システム「WEBCAS e-mail」を中心とするe-CRMアプリケーションシリーズで、20年6月には導入企業数が累計6000社を突破した。国内メール配信パッケージ市場でシェア1位である。
20年8月には「WEBCAS CRM」が、経済産業省のサービス等生産性向上IT導入支援事業「IT導入補助金2020」の認定ITツールとして登録されたと発表している。
■クラウドサービスやM&Aによる新規事業で成長目指す
中期経営計画では目標値として、23年3月期売上高26億円、EBITDA8億円(20年3月期実績売上高18億76百万円、EBITDA5億10百万円)を掲げている。
顧客のマーケティング活動に対する横断的なソリューションの提供を目指し、クラウドサービスを中心とする既存事業の飛躍的成長、M&Aによる新規事業での「もう一つの柱」づくり、財務戦略の最適化などを推進する。
19年11月には、インタートレード<3747>の子会社で暗号資産関連事業を展開するデジタルアセットマーケッツに出資した。20年5月には、日本成長投資アライアンス(J―GJA)と業務提携し、J-GIA1号投資事業有限責任組合に対して第7回新株予約権を発行した。
9月30日にはDXプラットフォーム構築に向けて、Webガバナンス基準に則したCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)をクラウドサービスで提供するコネクティの持株会社であるCONNECTY HOLDING(CHD社)の株式を取得(10月15日予定)して子会社化すると発表した。今後は更なるM&Aの実施によってDXプラットフォームの拡大を目指す方針だ。
■21年3月期通期の売上高およびEBITDA予想を上方修正
21年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比2.0%増の4億50百万円、EBITDAが24.3%増の1億円、営業利益が23.9%増の86百万円、経常利益が23.2%増の88百万円、純利益が29.8%増の63百万円だった。
アプリケーション事業(e-CRMシステムのWEBCASシリーズ)が6.0%増収と順調だった。ライセンス販売は大型案件が期ズレとなって減収だったが、クラウドサービス(8.2%増収)が牽引した。クラウドサービスは新型コロナウイルスの影響で商談期間が延びたため初期費用売上が6.7%減収だったが、前期までの積み上げ効果で月額費用売上が11.3%増収と2桁伸長した。
子会社が運営するEC事業は巣ごもり需要や新作入荷の再開などで31.0%増収と大幅伸長した。コンサルティング事業は27.9%減収、オーダーメイド開発事業は58.5%減収だった。
利益面では主力のアプリケーション事業の増収効果に加えて、コンサルティング事業における人件費削減なども寄与して計画超の大幅増益だった。EBITDAは過去最高となった。
そして9月17日に第2四半期累計予想を上方修正、9月30日に通期の売上高およびEBITDA予想の上方修正を発表した。修正後の通期予想は、売上高が20年3月期比24.5%増、EBITDAが3.1%増の5億26百万円とした。EBITDAは期初時点の減益予想から一転して増益予想となった。
クラウドサービスの好調で第2四半期累計が計画を上回ったことに加えて、第3四半期からのCDH社の新規連結も寄与する。CHD社の寄与(半期分)は売上高3億50百万円、EBITDA43百万円の増加要因となる。なお通期の営業利益、経常利益、純利益については、CDH社の子会社化によって発生する「のれん」の償却期間や、コネクティが行ってきたソフトウェア資産の計上基準など、20年10月以降に生じる償却費の試算額を監査法人と協議中のため、いずれも未定に修正した。配当予想は据え置いて2円増配の25円(期末一括)である。
■株主優待制度は3月末と9月末の2単元以上保有株主対象
株主優待制度は、毎年3月31日および9月30日時点の2単元(200株)以上保有株主を対象として、保有株式数および保有期間に応じて株主優待ポイントを進呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は06年高値を試す
株価は06年の上場来高値に接近している。上方修正を好感して上値を試す展開を期待したい。9月30日の終値は2380円、今期予想配当利回り(会社予想の25円で算出)は約1.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS389円89銭で算出)は約6.1倍、時価総額は約105億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)