【どう見るこの相場】「オクトーバー・サプライズ」の「二日新甫」シナリオには円高メリット株で万一の待機

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■「オクトーバー・サプライズ」の「二日新甫」シナリオには円高メリット株で万一の待機

 相次ぐ「オクトーバー・サプライズ」である。9月29日夜(日本時間30日午前)に開催された米国の大統領選挙の候補者による第1回目のテレビ討論会が、双方とも相手の発言を遮る不規則発言の連続で「口論会」と皮肉られ失望させられたのに続き、10月2日には当のトランプ大統領自身の新型コロナウイルスへの感染が発表された。ホワイトハウス内やトランプ陣営の選挙対策本部の幹部のクラスター感染も確認された。11月3日の大統領選挙の投票日を前にする10月には、選挙の勝敗を左右する「サプライズ(出来事)」が起こるとされるが、それにしても「サプライズ」連発である。

 日本では、安倍晋三前首相が、持病の悪化で辞任した途端に突然、同情が集まって内閣支持率が急反転して大きく上昇する奇跡が起こった。しかし米国では、コロナ感染症の感染予防と経済活動再開の両立、マスク着用の賛否が大統領選挙の争点の一つとなっているだけに、大統領選挙の先行きと政権運営の不透明化が懸念された。大統領選挙そのもの決着も、かねて取り沙汰されていた通りに先延ばしされる可能性も強まってくる。仮に選挙でバイデン候補が勝っても、トランプ大統領が、郵便投票の不正などを盾に潔く敗北を認めない展開である。

 東京市場でも、10月1日に東証のシステム障害で売買が終日停止される「オクトーバー・サプライズ」が起こった。2日には売買が正常化し、「一日新甫」が実質的に「二日新甫」となった。相場ジンクスでは「二日新甫は荒れる」とされており、油断できないジンクスは、どうせなら下方にではなく上方に荒れてくれることを祈るばかりである。

 一連の「サプライズ」のなか、「二日新甫」シナリオとしてにわかに懸念されるのは、円高・ドル安の進行である。日本経済にとっては、コロナ・ショックによる経済の落ち込みに重ねて円高不況のダブル・ショックとなる。米国の経済対策が、政権運営の不透明化でFRB(連邦準備制度理事会)の追加金融緩和策と資産の買い入れのウエートが増すことになるからだ。対して日本銀行は、マイナス金利の深掘りなどの異次元金融緩和策は、利ザヤ縮小による地方銀行の経営を直撃する副作用が増幅し、菅内閣の地銀再編政策上からも一定の制約を受けざるを得ない。足元の1ドル=105円台の為替相場が、100円台で持ちこたえるか100円割れとなるか、菅内閣が目指す感染予防と経済活動の再開の両立の雲行きが怪しくなることになる。

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