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ケイアイスター不動産は18年高値に接近、契約好調で21年3月期増収増益予想
- 2020/10/7 08:30
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ケイアイスター不動産<3465>(東1)は首都圏中心に戸建分譲などの不動産事業を展開し、M&A・アライアンスも積極活用して「不動産×IT」を推進している。新型コロナウイルスの影響下でも契約が好調に推移し、21年3月期増収増益予想である。収益拡大を期待したい。株価は年初来高値更新の展開で、18年の上場来高値に接近してきた。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。なお11月10日に第2四半期決算発表を予定している。
■戸建分譲や注文住宅などの不動産事業
首都圏中心に、1次取得層向けの戸建分譲や注文住宅などの不動産事業を展開している。20年3月には東北地区へ初進出した。
20年3月期の売上構成比は、分譲住宅事業64%、注文住宅事業1%、中古住宅事業4%、よかタウン事業(子会社よかタウンが分譲住宅・注文住宅)13%、旭ハウジング事業(子会社旭ハウジングが神奈川県中心に分譲住宅)5%、フレスコ事業(18年8月連結子会社化したフレスコおよびフレスコの子会社おゆみ野住宅が千葉県中心に注文住宅)5%、建新事業(19年1月持分法適用関連会社の建新の株式を追加取得して連結子会社化)7%、その他1%だった。
また20年3月期の販売棟数は、分譲住宅事業(土地販売含む)が2700棟、注文住宅事業が109棟、中古住宅事業が304棟、よかタウン事業(土地販売含む)が553棟、旭ハウジング事業(土地販売含む)が175棟、フレスコ事業が分譲住宅109棟、土地販売54区画、注文住宅97棟、建新事業が注文住宅72棟、土地販売27区画、分譲住宅123棟だった。
19年4月千葉県柏市中心に不動産売買・仲介を行うBRエステートを子会社化、19年8月埼玉県朝霧市中心に不動産仲介・リフォーム事業を行うハウスラインを子会社化、20年4月首都圏中心に戸建住宅分譲やリノベーションマンションを行う東京ビッグハウスを子会社化した。
■不動産仲介会社を組織化、FC事業も開始
販売促進に向けて不動産仲介会社の組織化を図り、17年2月「KEIAI.NET」をスタートさせた。順次エリアを拡大させて加盟店数は19年3月期末に207となった。AIによる仲介会社向け商談サポートシステムを導入し、中期的に不動産ネットワークにおける加盟店数全国NO.1を目指す方針だ。
19年6月エリア毎の用地仕入と販売網の強化を図るためFC事業KEIAI FCを開始、19年7月いえらぶ社と提携してKEIAI FC向け業務支援クラウドサービスKEIAI PRO NETの提供を開始した。なお20年5月末時点でFC事業KEIAI FCの加盟店は30店舗を超え、このうち業務支援クラウドサービスKEIAI PRO NET導入店舗数は20店舗となった。
■M&A・アライアンスを積極活用して「不動産×IT」推進
M&A・アライアンスを積極活用して「不動産×IT」を推進している。IT成長戦略として、商品力向上による付加価値創造と競争力強化、AIやRPAなどを活用したデータドリブン経営による在庫回転率や生産性向上および利益・財務体質改善、住宅分譲の既存フロービジネス強化とストック型ビジネスでの新たな収益構造構築、IT施策のグループ・加盟店への横展開およびシナジー拡大、次世代不動産ポータルサイト開発による加盟店への住宅購入見込客送客強化を推進する。
20年2月にはカインズと業務提携、20年5月にはセゾンファンデックスと業務提携してリースバック事業に参入、20年6月には不動産業界に特化した採用コンサルティング事業を行う子会社KSキャリを設立(20年7月人材派遣・紹介事業を開始)した。
20年9月には、BI・RPA・AI―OCR技術を活用することで、新築戸建事業におけるデータの収集と問題の可視化、定期提携業務の自動化、紙媒体のデータ入力を効率化し、20年2月から7月までの半年間で2000時間以上の工数削減に成功したと発表している。
10月5日には、8月オープンした「IKI」の高﨑展示場において、タイムリープ社の遠隔接客サービス「RURA」を初めて導入したと発表している。音声案内によって、新型コロナウイルス感染予防策として非接触型営業の拡充を図る。
■21年3月期増収増益予想、新型コロナウイルス影響下でも契約好調
21年3月期の連結業績予想(期初時点では未定、8月11日公表)は、売上高が20年3月期比7.7%増の1300億円、営業利益が10.5%増の71億円、経常利益が10.8%増の70億円、純利益が17.2%増の42億円としている。配当予想は12円増配の88円(第2四半期末44円、期末44円)である。
第1四半期は、売上高が前年同期比8.1%増の281億29百万円、営業利益が20.9%減の10億15百万円、経常利益が24.3%減の9億27百万円、純利益が20.9%減の5億65百万円だった。
新規連結や事業拡大に伴う人件費の増加などで減益だったが、新型コロナウイルスの影響下でも戸建て住宅分譲の契約が好調に推移して増収だった。売上高は第1四半期として過去最高となった。リモートワークで戸建て住宅への需要が高まっていることも背景に、積極的な販売施策が奏功した。20年4月子会社化した東京ビッグハウスの新規連結も寄与した。
通期も契約が好調に推移して増収増益予想としている。なお新型コロナウイルスに起因する経済の不確実性が高まっている状況を鑑み、20年9月にコミットメントライン契約(借入先は足利銀行、借入限度額は20億円)を締結した。
20年9月の分譲住宅事業の契約金額は前年比141%、契約棟数は123%と好調だった。20年7月~9月ベースでは契約金額が145%、契約棟数が131%となった。新型コロナウイルスによってライフスタイルに変化が起こり、庭付き一戸建住宅への需要が高まっている。また売上総利益率も上昇傾向である。通期ベースで収益拡大を期待したい。
■株主優待は9月末の株主対象
株主優待制度は毎年9月30日時点で1単元以上保有株主を対象として、保有株式数に応じてQUOカードを贈呈(詳細は会社HP参照)している。
■株価は18年の上場来高値に接近
株価は受注好調を好感して年初来高値更新の展開だ。そして18年の上場来高値に接近してきた。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。10月6日の終値は2746円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS295円95銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の88円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1268円29銭で算出)は約2.2倍、時価総額は約391億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)