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サンコーテクノは下値固め完了、21年3月期上振れ余地
- 2020/10/7 07:57
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
サンコーテクノ<3435>(東2)は、建設用あと施工アンカーなどのファスニング事業を主力として、機能材事業も展開している。21年3月期は新型コロナウイルスの影響で一部建設工事の中断を想定して減収減益予想としている。ただしM&A効果も寄与して上振れ余地がありそうだ。株価は反発力の鈍い展開だが下値固め完了感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。なお11月6日に第2四半期決算発表を予定している。
■ファスニング事業と機能材事業を展開
ファスニング事業(あと施工アンカーやドリルビットの製造販売、太陽光関連・土木建築関連の工事管理など)を主力として、機能材事業(電動油圧工具関連、FRPシート関連、車両の表示板などの電子プリント基板関連、アルコール検知器関連の製造販売など)も展開している。
20年3月期セグメント別売上高構成比はファスニング事業が76%、機能材事業が24%、営業利益構成比(連結調整前)はファスニング事業が81%、機能材事業が19%だった。建設投資関連が主力のため、収益は期後半の構成比が高い特性がある。
ファスニング事業では、あと施工アンカー(コンクリート用特殊ネジ・釘類)やドリルビットの開発・製造・販売、太陽光関連・土木建築関連の工事管理などを展開している。あと施工アンカーの最大手である。
機能材事業では、19年2月に電子基板事業の強化に向けてプリント基板表面実装・加工の浦和電研を子会社化した。19年4月には事業多角化に向けてプラスチック成形機・包装機輸入販売の成光産業・成光パックを子会社化した。
■営業利益率8.0%以上目指す
新中期経営ビジョンでは、経営目標数値に売上高成長率5.0%以上、営業利益率8.0%以上を掲げている。
建設現場では現場作業の省力化・機械化ニーズの高まりや非熟練作業者の増加が予想され、現場での使いやすさを高めた施工ツール、あと基礎アンカー、アンカー打込機、紫外線硬化FRPシートといった製品の需要増が期待される。都市再開発や国土強靭化政策などで中期的に事業環境は良好である。
20年10月には、付帯設備の撤去・更新に伴う使用後のアンカーの取り扱いが重要視されていることに対応して、拡底式「メタルアンダーカットアンカー」を新発売した。少ない作業工程で精確に拡底し、使用後の完全な抜き取りも可能となる。
■21年3月期減収減益予想だが上振れ余地
21年3月期連結業績予想は、売上高が20年3月期比2.7%減の180億円、営業利益が22.4%減の11億70百万円、経常利益が22.2%減の11億90百万円、純利益が20.7%減の8億円としている。配当予想は20年3月期と同額の26円(期末一括)である。
売上高の計画は、ファスニング事業が0.7%減の139億10百万円、機能材事業が8.8%減の40億90百万円としている。売上面は新型コロナウイルスの影響で、ファスニング事業では上期に一部建設工事の中断を想定し、機能材事業では電動油圧工具や電子基板関連の売上減を見込んでいる。利益面では人件費の増加なども影響して減益予想としている。なお下期偏重の計画である。
第1四半期は、売上高が前年同期比4.3%増の41億18百万円で、営業利益が45.1%増の3億11百万円、経常利益が46.0%増の3億15百万円、純利益が49.7%増の2億13百万円だった。
ファスニング事業は5.6%減収で1.4%減益だった。各種設備工事が前年を下回る水準で推移し、あと施工アンカー、完成工事高、ドリル・ファスナー製品が減少した。機能材事業は38.1%増収で2.2倍増益だった。電動油圧工具関連、電子基板関連、FRPシート関連が減少したが、M&Aで包装・物流機器関連が加わり、大幅増収増益だった。
第1四半期の進捗率は、第2四半期累計予想に対して売上高が50.2%、営業利益が74.0%、通期予想に対して売上高が22.9%、営業利益が26.6%だった。下期偏重の計画を考慮すれば順調と言えるだろう。通期予想を据え置いたが保守的だろう。M&A効果も寄与して通期上振れ余地がありそうだ。
■株主優待制度は毎年3月末の株主対象
株主優待制度は毎年3月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して、QUOカード500円分を贈呈(詳細は会社HP参照)している。
■株価は下値切り上げ
株価は反発力の鈍い展開だが下値固め完了感を強めている。低PBRも注目点だろう。調整一巡して出直りを期待したい。10月6日の終値は928円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS99円01銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約2.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1583円46銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約81億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)