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フェローテックホールディングスは年初来高値更新、21年3月期営業・経常増益予想
- 2020/10/9 08:18
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
フェローテックホールディングス<6890>(JQ)は半導体等装置関連事業を主力としている。21年3月期営業・経常増益予想としている。半導体需要が5G関連などで伸長する見込みだ。収益拡大を期待したい。株価は水準を切り上げて年初来高値更新の展開となった。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。なお11月13日に第2四半期決算発表を予定している。
■半導体等装置関連事業が主力
半導体等装置関連事業(真空シールおよび各種製造装置向け金属加工製品、石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、シリコンウェーハ加工、装置部品洗浄など)を主力として、電子デバイス事業(サーモモジュール、パワー半導体用基板、磁性流体など)も展開している。主力の真空シールは世界シェア6割強である。
太陽電池関連事業(シリコン結晶製造装置、シリコン製品など)は撤退方針である。当面は自社販売から撤退してOEMに特化し、OEM用途以外の設備は半導体Siパーツ構造材用途への転換を進める。またOEM継続も短期的対応としている。撤退時期については、既存設備の売却交渉や撤退に伴う様々な影響度合いによって変更の可能性がある。
20年3月期のセグメント別売上構成比は半導体等装置関連事業65%、電子デバイス事業17%、その他19%、営業利益構成比(調整前)は半導体等装置関連事業58%、電子デバイス事業38%、その他4%だった。
19年3月には東洋刃物<5964>と資本業務提携して持分法適用関連会社化した。20年1月にはアドバンテッジアドバイザーズと事業提携し、第三者割当(アドバンテッジアドバイザーズがサービスを提供するファンド)による第2回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行した。
20年7月には、中国における半導体シリコンウェーハ再生事業の設備投資を増額し、生産能力を増強すると発表した。中国における12インチプライムウェーハの市場動向を踏まえ、投資計画を変更(投資額を約76.5億円から136.6億円に増額、生産能力を月産65千枚から月産120千枚に増強)した。21年4月量産開始予定としている。
20年8月には中国子会社FTSAの科創板市場(スター・マーケット)への上場準備に入ると発表した。上場後も重要な連結子会社であることを前提としている。
20年9月には、中国子会社FTHWの中国株式市場への上場に向けて、株式の一部(議決権ベース60%)を中国の地方政府および民間の投資基金などへ譲渡すると発表した。今後の資本政策によって出資比率が40%を下回り、FTHWが連結対象外となる可能性があるとしている。
中期経営計画で掲げた目標値(22年3月期売上高1250億円~1300億円、営業利益120億円~130億円など)については、事業環境の変化を受けて見直すこととした。サスティナブル経営への取り組みも強化する方針だ。
なお中国子会社FTHWが進めている半導体大口径ウェーハ工場建設工事に絡み、施工工事事業者から工事代金に関連して提起された訴訟については、20年8月に支払を命じる津一審判決が言い渡されたが、この一審判決内容を不服として20年9月に控訴し、受理された。なお本件判決における工事代金約5億27百万円は、21年3月期第1四半期において、その他固定負債として見積もった金額の範囲内のため、業績への影響は軽微としている。
■21年3月期営業・経常増益予想
21年3月期連結業績予想(期初時点では第2四半期累計予想のみを開示し、8月14日に通期予想および期末配当予想を公表)は、売上高が20年3月期比4.1%増の850億円、営業利益が8.1%増の65億円、経常利益が29.0%増の55億円、純利益が減損損失計上で16.0%減の15億円としている。配当予想は20年3月期と同額の24円(第2四半期末12円、期末12円)である。
第1四半期は、売上高が前年同期比2.3%減の205億26百万円、営業利益が25.5%減の15億60百万円、経常利益が68.5%減の5億63百万円、純利益が10億96百万円の赤字(前年同期は13億26百万円の黒字)だった。
売上面では半導体等装置関連が0.1%増収、電子デバイスが5G関連や医療検査装置関連などで6.4%増収と堅調だったが、太陽電池用多結晶インゴッドの受託加工契約が新型コロナウイルス影響による契約先の業績悪化で解除(20年5月末)となり、全体として減収だった。利益面では電子デバイスが増収効果で23.7%増益だったが、半導体等装置関連が設備償却費負担で55.7%減益だった。なお営業外費用では為替差損9億円を計上した。また契約解除で遊休となった太陽電池製造設備の減損損失(約12億円)を計上したため最終赤字だった。
通期は営業・経常増益予想としている。下期は新型コロナウイルスの影響を仮定しない前提として、半導体等装置関連は石英製品、セラミックス、装置部品洗浄が大幅伸長して10.5%増収、電子デバイスはサーモモジュールが伸長して9.5%増収の見込みとしている。半導体需要が5G関連などで拡大基調であり、収益拡大を期待したい。
■株価は年初来高値更新
株価は水準を切り上げて年初来高値更新の展開となった。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。10月8日の終値は965円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS40円41銭で算出)は約24倍、今期予想配当利回り(会社予想24円で算出)は約2.5%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1303円89銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約359億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)