ケンコーマヨネーズは戻り試す、21年3月期は後半の回復期待

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 ケンコーマヨネーズ<2915>(東1)はマヨネーズ・ドレッシング分野から、タマゴ加工品やサラダ・総菜分野への事業領域拡大戦略を推進している。21年3月期は新型コロナウイルス影響による外食産業向けの低迷で減収減益予想だが、後半の需要回復を期待したい。株価は8月の直近安値圏から切り返して反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。なお11月13日に第2四半期決算発表を予定している。

■マヨネーズ・ドレッシング類、ロングライフサラダの大手

 サラダ・総菜類、タマゴ加工品、マヨネーズ・ドレッシング類の調味料・加工食品事業、フレッシュ総菜(日配サラダ、総菜)の総菜関連事業等、その他(ショップ事業など)を展開している。

 マヨネーズ・ドレッシング分野から、タマゴ加工品やサラダ・総菜分野への事業領域拡大戦略を推進している。ロングライフサラダは国内1位、マヨネーズ・ドレッシング類は国内2位の市場シェアである。ショップ事業の「Salad Cafe」は百貨店などに出店し、主に女性をターゲットにした顧客拡大戦略を推進している。

 20年3月期の商材別売上高構成比はサラダ類47%、タマゴ類27%、マヨネーズ・ドレッシング類24%、その他2%、分野別売上高構成比は外食28%、CVS27%、量販店25%、パン13%、給食4%、その他4%だった。

 収益面では、鶏卵や野菜などの原材料価格が変動要因となりやすく、プロダクトミックス、工場操業度、原燃料コストなどの影響を受ける。利益還元については連結ベースでの配当性向20%を意識し、配当の継続性に配慮しつつ、今後の成長と発展にあわせて安定配当水準を高めていくことを基本方針としている。

■事業領域拡大と生産能力増強を推進

 サラダNO.1企業として、中期成長に向けて市場ニーズに応える商品開発、新カテゴリーへの取り組み、事業領域の拡大などの戦略を推進している。

 また生産能力増強も推進し、18年4月ダイエットクック白老が新工場(サラダ・総菜類)を稼働、18年6月関東ダイエットクックが神奈川工場(サラダ・総菜類)を稼働、19年2月静岡富士山工場(タマゴ加工品)を増設稼働、19年4月西日本工場(サラダ・総菜類)を増設稼働した。

 20年7月には農林水産省主催「野菜を食べよう」プロジェクトの野菜サポーターに加入した。得意とする「サラダ料理」を通じてプロジェクトをサポートする。

■21年3月期は新型コロナ影響で減収減益予想、後半の需要回復期待

 21年3月期連結業績予想(期初時点では未定、8月11日に公表)は、売上高が20年3月期比8.7%減の680億円、営業利益が27.6%減の21億円、経常利益が32.1%減の20億40百万円、純利益が35.9%減の13億20百万円としている。なお配当予想は未定としている。

 第1四半期は売上高が前年同期比15.1%減の157億19百万円、営業利益が55百万円の赤字(前年同期は6億70百万円の黒字)、経常利益が36百万円の赤字(同7億45百万円の黒字)、純利益が53百万円の赤字(同5億25百万円の黒字)だった。

 調味料・加工食品事業は19.6%減収だった。新型コロナウイルスの影響でホテル・レストランのビュッフェ・バイキング形式での食事提供中止などにより、外食分野向けサラダ・総菜類やマヨネーズ・ドレッシング類の売上が大幅減少した。タマゴ加工品もCVS向けが減少した。総菜関連事業等は7.7%増収だった。18年6月稼働の関東ダイエットクック神奈川工場の売上が順調に拡大した。また九州ダイエットクックにおける設備増強効果も寄与した。

 通期も新型コロナウイルスの影響による外食産業向けの低迷で減収減益予想だが、関東ダイエットクックでは、スーパーマーケットや量販店の惣菜売り場において、家族でシェアして食べられるファミリーサイズのサラダや惣菜を6月から順次展開し、売上が大幅伸長している。また飲食店のテイクアウトを応援するため7月から商品サイトでテイクアウト特集を公開し、9月には第三弾として「秋のお弁当」にフォーカスした特集ページを公開している。後半の需要回復を期待したい。

■株主優待制度は毎年3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年3月末日現在の株主を対象として、保有株式数に応じて当社商品を贈呈(詳細は会社HP参照)している。

■株価は戻り試す

 株価は8月の直近安値圏から切り返して反発の動きを強めている。週足チャートで見ると抵抗線の26週移動平均線を突破する動きだ。戻りを試す展開を期待したい。10月8日の終値は1930円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS80円12銭で算出)は約24倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2069円93銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約318億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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