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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】PALTEKの15年12月期業績は再増額の可能性、14年1月高値視野
- 2015/5/25 08:26
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
PALTEK<7587>(JQS)は半導体輸入商社で受託設計・開発のデザインサービス事業も強化している。株価は5月11日の年初来高値から一旦反落したが自律調整の範囲だ。15年12月期業績再増額の可能性を評価して上値追いの展開だろう。14年1月高値898円が視野に入る。
ザイリンクス社のFPGA(PLDの一種で設計者が手元で変更を行いながら論理回路をプログラミングできるLSI)を主力として、特定用途IC、汎用IC、アナログ、メモリなどを扱う半導体販売・技術支援事業、試作ボードや量産ボードなどを受託設計・開発・製造(ODM、EMS、OEM)するデザインサービス事業、さらに新規事業としてスマートエネルギー事業(病院・介護施設向け停電対策システムなど)を展開している。海外は香港に拠点展開している。
主要仕入先はFPGAがザイリンクス社、汎用ICがNXPセミコンダクターズ社、マイクロチップテクノロジー社、アナログがリニアテクノロジー社、メモリがマイクロンテクノロジー社である。
用途別には産業機器向けを主力として通信機器向け、民生機器向け、コンピュータ向けなどに展開し、成長市場であるセンサー分野のソリューションも強化している。主要販売先はNEC<6701>、京セラ<6971>、オリンパス<7733>などである。
12年7月にはODM/EMS事業推進、および映像・画像処理関連の自社製品事業の本格展開に向けてエクスプローラを子会社化した。エクスプローラはレート制御機能搭載「H.264コーデック装置」を開発し、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のイノベーション実用化ベンチャー支援事業として「レート制御機能搭載4K対応H.265コーデック装置実用化開発」および「超低遅延8K対応HEVC-ECFによるハイブリッド配信装置」が採択されている。
14年6月には子会社テクノロジー・イノベーションを設立した。サイミックス社から半導体事業およびMEMS(微小電気機械システム)事業を譲り受けて、特定顧客向け人感センサーの信号処理ICの開発に取り組んでいる。
14年11月にはエクスプローラがフジテレビジョンと共同でH.264小型ライブ中継伝送装置「VideoCast Advance」を開発した。大規模な機材を使わず簡単にライブ中継することが可能になる。15年2月にはNHKと「H.264HD対応IP蓄積伝送装置」を共同開発した。火山噴火口、土砂流、津波などの監視を行う情報カメラで収録した映像を瞬時に活用することが可能になる。
15年2月には超高精度衛星測位システムを開発するマゼランシステムズジャパンとの総販売代理店契約を締結した。センサー分野のソリューション強化の一環として、センチメートル級の精度が要求される産業機器や農業機械の自動運転向けなどにRTK(リアルタイム・キネマティック)GNSSシステムを提供する。
さらに5月8日には、赤外線カメラのグローバルリーディングカンパニーである米フリアーシステムズ社の、赤外線カメラに関するセンサー製品の販売を開始すると発表した。
5月8日に発表した今期(15年12月期)第1四半期(1月~3月)の連結業績は、売上高が前年同期比17.6%増の65億08百万円、営業利益が同2.4倍の4億59百万円、経常利益が同2.3倍の4億50百万円、純利益が同2.6倍の2億90百万円の大幅増収増益だった。
通信インフラ向けFPGAやブロードバンド通信機器向け特定用途ICなどが好調に推移して大幅増収となった。また売上総利益は11億45百万円で同17.6%増加、売上総利益率は17.6%で同2.8ポイント上昇した。増収効果に加えて、ドル高・円安進行に伴って仕入先に対するドル建て仕入値引き債権評価額増加を含む為替レート変動影響額が1億78百万円の売上原価押し下げ要因(前年同期は14百万円の押し上げ要因)となった。為替の影響を除く売上総利益は9億67百万円で同14.9%増加した。
事業別売上高は半導体事業が同17.8%増の60億01百万円、デザインサービス事業が同12.3%増の4億49百万円、その他が同53.8%増の57百万円だった。半導体事業の製品別売上高はFPGAが同21.0%増の24億25百万円、特定用途ICが同21.8%増の17億35百万円、汎用ICが同10.0%増の8億73百万円、アナログが同5.5%減の4億28百万円、メモリが同28.6%増の5億39百万円だった。デザインサービス事業は医療分野、航空・宇宙分野が好調だった。
通期の連結業績予想(4月9日に増額修正)は、売上高が前期比12.3%増の260億円、営業利益が同4.1%増の10億50百万円、経常利益が同4.1%減の10億10百万円、純利益が同11.0%増の6億25百万円としている。なお配当予想は前回予想(2月12日公表)を据え置いて前期と同額の年間8円(期末一括)としている。
事業別売上高の計画(増額修正後)は半導体事業が同11.2%増の243億50百万円、デザインサービス事業が同29.7%増の14億50百万円、その他が同43.9%増の2億円としている。FPGAの新規顧客増加も寄与して、産業機器向け、通信機器向け、医療機器向けを中心に主力製品が引き続き好調に推移する見込みだ。
営業利益に関しては、期初時点ではドル建て仕入値引き債権評価額を見込まずに減益予想としていたが、売上高が期初計画を上回る見込みとなり、第1四半期にドル建て仕入値引き債権評価額が増加したことも寄与して増益予想に転じた。
通期予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が25.0%、営業利益が43.7%、経常利益が44.6%、45.36%と高水準である。プロダクトミックスの改善や一段のドル高・円安進行も予想されるだけに、15年12月期の会社利益予想は再増額の可能性が高いだろう。
中期的な収益向上に向けた取り組みとして、半導体事業は高付加価値製品の拡販、中核製品であるFPGAのさらなる拡販、センサーおよびソフトウェア市場の開拓、医療・産業・通信・放送など成長分野への注力、デザインサービス事業は医療・放送・通信分野の受託設計・開発・ODM強化、自社製品の開発・販売強化、スマートエネルギー事業は病院・介護施設向け停電対策システムの構築・販売を強化する方針だ。中期的に収益拡大基調だろう。
株価の動きを見ると、15年12月期連結業績の増額修正や第1四半期の大幅増益を好感して年初来高値更新の展開だ。5月11日には787円まで上伸する場面があった。その後は利益確定売りで一旦反落したが自律調整の範囲だろう。
5月22日の終値718円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS55円75銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は1.1%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS766円18銭で算出)は0.9倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。指標面に割安感があり、15年12月期業績再増額の可能性を評価して上値追いの展開だろう。14年1月高値898円が視野に入る。