【アナリスト水田雅展の銘柄分析】フランスベッドHDは16年3月期は増収増益・実質増配予想、10月1日付で株式併合予定

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 フランスベッドホールディングス<7840>(東1)は介護・インテリア関連事業を展開している。株価はやや小動きだが、下値固めが完了して水準を切り上げる動きだ。16年3月期の増収増益・実質増配予想を評価して出直りの動きを強めそうだ。

 成長分野のシニア・シルバービジネスに経営資源をシフトして、メディカルサービス事業(介護・福祉関連用具のレンタル・販売、介護予防の通所介護施設「悠々いきいき倶楽部」運営)、インテリア健康事業(家庭用高級ベッド、医療・介護用ベッド、リハビリ商品)、その他事業(日用品雑貨販売など)を展開している。

 独自の新商品・新サービスでは、医療・介護用電動リクライニングベッド・マットレス、超低床リクライニングベッド、アクティブシニア向け「リハテック」ブランドの電動アシスト三輪自転車、ハンドル型電動三輪車いす、リフトアップチェア・車いす、在宅・病院・福祉施設向けの見守りケアシステム、徘徊防止通報システム、超低床フロアーベッドなどの新製品を積極投入して、介護・福祉用具レンタル市場でのシェア拡大戦略を推進している。新規販売チャネル開拓で病院・施設向け取引も拡大する方針だ。

 5月14日に発表した前期(15年3月期)の連結業績は売上高が前々期比5.4%減の519億07百万円、営業利益が同38.4%減の17億23百万円、経常利益が同37.3%減の17億45百万円、純利益が同35.2%減の9億04百万円だった。

 配当予想は記念配当50銭を落として同50銭減配の年間4円50銭(第2四半期末2円25銭、期末2円25銭)とした。配当性向は106.5%となる。ROEは同1.4ポイント低下して2.4%、自己資本比率は同3.0ポイント上昇して62.7%となった。

 メディカルサービス事業の福祉用具レンタルは堅調だったが、メディカルサービス事業の病院・施設向け販売およびインテリア健康事業が消費増税の影響長期化などで低調となり、退職給付費用や広告宣伝費の増加なども影響して減収減益だった。

 セグメント別に見ると、メディカルサービス事業は売上高が同3.3%減の283億97百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同20.1%減の16億62百万円、インテリア健康事業は売上高が同7.7%減の200億円、営業利益が同86.2%減の99百万円、その他事業は売上高が同8.5%減の35億08百万円、営業利益が66百万円の赤字(前年同期は32百万円の赤字)だった。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)123億85百万円、第2四半期(7月~9月)125億64百万円、第3四半期(10月~12月)127億84百万円、第4四半期(1月~3月)141億74百万円、営業利益は第1四半期5億16百万円、第2四半期2億86百万円、第3四半期4億94百万円、第4四半期4億27百万円だった。営業損益は第2四半期がボトムとなった可能性がありそうだ。

 今期(16年3月期)の連結業績予想(5月14日公表)は売上高が前期比3.0%増の535億円、営業利益が同27.6%増の22億円、経常利益が同23.1%増の21億50百万円、純利益が同21.5%増の11億円としている。

 市場拡大が見込まれるメディカルサービス事業では人員増強、拠点拡充、新製品投入によって介護レンタル市場でのシェア拡大を図る。インテリア健康事業では高機能・高付加価値製品の拡販、魅力的なデザインの新商品投入、アクティブシニア向け「リハテック」ブランドの販路拡大を推進する。20年東京夏季五輪開催に向けて需要が拡大しているシティホテル向けの拡販も強化する方針だ。

 さらに消費増税の反動影響一巡、ドル高・円安進行に伴う国産品の価格競争力回復、原材料価格上昇に伴う価格改定などで収益改善が期待される。

 なお5月14日に、株式併合、単元株式数の変更について、6月24日開催予定の第12期定時株主総会に付議すると発表した。15年10月1日を効力発生日として、単元株式数を1000株から100株に変更、併せて証券取引所が望ましいとしている投資単位の水準とすることを目的として5株を1株に併合する。なお株式併合により発行済株式総数が5分の1に減少するが、純資産等は変動しないため、1株当たり純資産額は5倍となり、株式市況の変動など他の要因を除けば当社株式の資産価値に変動はない。

 このため今期の配当予想については、第2四半期末2円50銭、期末12円50銭としている。期末12円50銭を株式併合前に換算すると年間5円(第2四半期末2円50銭、期末2円50銭)となり、前期の年間4円50銭に対して実質的に50銭増配となる。

 株価の動きを見ると、やや小動きだが180円割れ水準で下値固めが完了して水準を切り上げる動きだ。5月21日には182円まで上伸した。

 5月22日の終値181円を指標面(15年10月1日付の株式5株→1株併合前)で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS5円14銭で算出)は35倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間換算5円で算出)は2.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS174円10銭で算出)は1.0倍近辺である。

 週足チャートで見ると、戻りを押さえていた13週移動平均線を突破し、さらに26週移動平均線突破の動きを強めている。16年3月期の増収増益・実質増配予想を評価して出直りの動きを強めそうだ。

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