【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アルファは収益改善期待で高値圏目指す、低PBRも評価材料

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 アルファ<4760>(JQS)はPOP広告など店舗販促用品の企画・製作を展開する総合販売促進企業である。株価は4月の戻り高値239円から反落したが、2月末動意前の180円近辺まで戻ることなく、200円近辺から反発して下値を切り上げている。0.7倍近辺の低PBRも評価材料であり、収益改善期待で高値圏を目指す展開だろう。

 POP広告やイベント関連商品など店舗販促用品の企画・製作を展開する総合販売促進企業である。メーカー・小売のタイアップ企画である消費者向け販促キャンペーンの受注や、デジタルサイネージ(デジタル技術を活用した広告媒体)を組み込んだ新販促商品・サービスの企画・提案営業を強化している。新商品では香りのプロモーションツール「かおるくん」が好調だ。

 5月14日には、POP GALLERY vol.170「年間号」の新商品情報(新商品:おすすめ商品)で、手巻き寿司POP(紙製)とエアーPOPドーナツ・みかんを紹介している。

 中期的な収益力向上に向けては、ショッパー(買い物客)の購買行動やインサイト(深層心理)を捉えた「買い物コミュニケーション創造企業」を目指している。

 今期(15年8月期)の非連結業績予想は前回予想(10月14日公表)を据え置いて、売上高が前期比4.5%増の70億円、営業利益が同8.8%増の1億70百万円、経常利益が同2.9%増の1億65百万円、そして純利益が同0.6%増の70百万円としている。配当予想は前期と同額の年間5円(期末一括)としている。

 自社企画製品ではeコマースを利用した受注増加、別注製品では企画提案強化による消費者向け販促キャンペーンの受注増加、メーカーからの企画料・デザイン料など役務売上の増加、商品ではイベント関連の受注増加を見込み、採算性を重視した選別受注による粗利益率改善や、販管費圧縮なども寄与して増収増益見通しだ。

 第2四半期累計(9月~2月)は前年同期比6.9%減収、同5.9%営業減益、同6.5%経常減益、同12.6%最終増益だった。製品別売上は自社企画製品が同0.0%減収、別注製品が同3.2%減収、商品が同16.8%減収だった。

 自社企画製品のeコマース(オンラインショップ)における売上や、イベント関連商品の売上は堅調だったが、中小スーパーなどの販促費削減傾向が継続し、別注製品における前年の大口スポット受注の一巡、装飾物や演出物の受注減少などが影響して減収、営業減益、経常減益だった。純利益は法人税等の減少が寄与した。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(9月~11月)18億35百万円、第2四半期(12月~2月)15億78百万円、営業利益は第1四半期1億03百万円、第2四半期92百万円である。クリスマス・年末・年始商戦などで上半期(9月~2月)の構成比が高い収益構造である。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が48.8%、営業利益が114.7%、経常利益が118.8%、純利益が172.9%と高水準である。第2四半期累計は減収営業減益だったが、通期ベースで好業績が期待される。15年春闘で高額ベア回答が相次ぎ、賃金上昇で消費マインド改善が期待されていることも追い風だろう。

 株価の動きを見ると、4月の戻り高値239円から反落したが、2月末動意前の180円近辺まで戻ることなく、200円近辺から反発して下値を切り上げている。15年8月期の増収増益予想を評価する動きだろう。

 5月22日の終値209円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS8円70銭で算出)は24倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間5円で算出)は2.4%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS285円53銭で算出)は0.7倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線近辺から反発する動きだ。サポートラインを確認した形だろう。0.7倍近辺の低PBRも評価材料であり、収益改善期待で高値圏を目指す展開だろう。

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