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巴工業は戻り高値圏、20年10月期減益予想だが上振れ余地
- 2020/10/15 08:32
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
巴工業<6309>(東1)は機械製造販売事業と化学工業製品販売事業を展開している。20年10月期は新型コロナウイルスの影響で減益予想としているが、利益予想に上振れ余地がありそうだ。株価はモミ合いから上放れて戻り高値圏だ。低PBRも評価材料であり、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■機械製造販売事業と化学工業製品販売事業を展開
遠心分離機械などを中心とする機械製造販売事業、合成樹脂や化学工業薬品などを中心とする化学工業製品販売事業を展開している。
19年10月期のセグメント別売上構成比は機械製造販売事業27%、化学工業製品販売事業73%、営業利益構成比は機械製造販売事業41%、化学工業製品販売事業59%だった。また地域別売上構成比は日本79%、アジア18%、その他3%だった。
収益面では、機械製造販売事業が設備投資関連のため、第2四半期(2月~4月)および第4四半期(8月~10月)の構成比が高くなりやすい特性がある。
■22年10月期営業利益26億円目標
新中期経営計画では目標値として、22年10月期売上高490億円(機械140億円、化学品350億円)、営業利益26億円(機械9億円、化学品17億円)、経常利益26億円、EBITDA30億円、純利益17億円、そしてROE(純資産利益率)5.7%を掲げている。
重点施策としては、海外事業拡大の継続、さらなる収益性向上、環境負荷軽減、資本効率改善、成長に向けた積極投資、働き甲斐のある職場環境の構築と人材育成を推進する方針だ。
■20年10月期減益予想だが利益上振れ余地
20年10月期連結業績予想(6月12日に下方修正)は、売上高が19年10月期比1.1%減の409億円、営業利益が16.7%減の19億80百万円、経常利益が17.0%減の19億80百万円、純利益が18.4%減の12億80百万円としている。配当予想は19年10月期と同額の47円(第2四半期末23円50銭、期末23円50銭)である。
第3四半期累計は売上高が前年同期比8.8%減の284億24百万円、営業利益が12.0%減の16億27百万円、経常利益が12.2%減の16億49百万円、純利益が15.2%減の10億75百万円だった。新型コロナウイルスによる経済収縮の影響で減収減益だった。
機械製造販売事業は9.7%減収で22.2%減益だった。装置・工事が国内官需の大型案件受注で大幅伸長したが、海外の機械販売が中国向け大型案件の一部繰延、前期の欧州向け大型案件の反動などで大幅減収だった。部品・修理も伸び悩んだ。化学工業製品販売事業が8.4%減収で5.2%減益だった。電子材料分野の半導体製造用途向け、機能材料分野の半導体製造装置向けが堅調だったが、工業材料分野の自動車・建材用途向け、合成樹脂分野の樹脂などが低調だった。
通期も新型コロナウイルスの影響で、機械製造販売では海外と国内官民需向け機械販売の一部繰延・遅延が見込まれ、化学工業製品販売でも自動車や住宅建材向け原料の販売が減少する見込みとしている。当面は経済収縮の影響を受ける形だ。ただし第3四半期累計の利益進捗率は営業利益が82.2%、経常利益が83.3%、純利益が84.0%と高水準だった。通期利益予想に上振れ余地がありそうだ。
■株主優待制度は10月末の株主対象
株主優待制度は、毎年10月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して、ワイン(当社関連会社取扱商品)1本を贈呈する。
■株価は戻り高値圏
株価は戻り高値圏だ。週足チャートで見ると抵抗線となっていた26週移動平均線を突破して、モミ合いから上放れの形となった。低PBRも評価材料であり、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。10月14日の終値は2129円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS128円28銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の47円で算出)は約2.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2892円41銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約224億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)