ソーバルは調整一巡、21年2月期は後半回復して上振れ余地

 ソーバル<2186>(JQ)は組み込みソフト開発などエンジニアリング事業を展開し、請負拡大による高収益化や新規技術分野開拓を推進している。21年2月期は新型コロナウイルスの影響で減収減益予想だが、第2四半期累計は想定よりも減益幅が縮小した。後半の需要回復も勘案すれば、通期利益予想に上振れ余地がありそうだ。株価は上値を切り下げる形でやや軟調だが、一方では下値も限定的だ。調整一巡して出直りを期待したい。

■組み込みソフト開発などエンジニアリング事業を展開

 組み込みソフト開発、ウェブ・スマホアプリ開発、ハードウェア設計・開発などのエンジニアリング事業を展開している。技術力と経験豊富な人材を合わせ持つ独立系組み込みソフト開発企業で、優良な大口顧客と強固な信頼関係を構築していることも特徴だ。

 成長に向けた重点施策として、請負業務拡大による収益構造の転換、優良顧客からの継続受注、顧客や分野の多様化、自動車・AI・IoTなど新規技術分野の開拓、部門間のクロスセル体制強化、プロジェクト管理体制強化による不採算化抑制、人材の採用・教育など人材投資の強化、国内外の外部委託先(パートナー企業)との長期的なリレーション構築の強化、アライアンスによる新規分野収益案件の獲得などを推進している。

 20年2月期の顧客別売上構成比は、キヤノングループが31.6%(うちキヤノンが28.2%)、ソニーグループが20.0%、富士通グループが10.7%、日立グループが3.0%、リクルートグループが2.6%、NTTグループが2.3%、その他が29.8%だった。19年2月期との比較で見るとキヤノングループが低下し、ソニーグループと富士通グループが上昇した。取引社数は19年2月期比9社増加して193社となった。顧客の多様化とキヤノングループ依存体質からの脱却も進展している。

 契約種別比率は請負59.5%、派遣40.5%(19年2月期請負53.9%、派遣46.1%)となった。請負拡大による高収益化も進展している。

 なお19年12月IoTシステム構築のMomo社と連携、20年2月データ・分割・高速暗号化ソフトウェア製品のUbiq社と国内販売代理店契約締結した。

■21年2月期2Q累計利益は計画超、通期は後半回復して上振れ期待

 21年2月期の連結業績予想(6月30日未定に修正、7月8日減収減益予想に修正)は、売上高が20年2月期比7.7%減の77億円、営業利益が68.4%減の2億円、経常利益が38.1%減の4億円、純利益が45.0%減の2億40百万円としている。配当予想は2円増配の32円(第2四半期末16円、期末16円)としている。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比12.3%減の36億45百万円、営業利益が60.7%減の1億42百万円、経常利益が31.1%減の2億57百万円、純利益が36.5%減の1億52百万円だった。

 請負業務は堅調だったが、派遣業務において新型コロナウイルスの影響で一部契約終了したため減収減益だった。ただし計画に対して各利益の減益幅が縮小した。テレワークによる稼働の見積もりが想定を上回り、コスト削減効果も寄与した。経常利益は営業外収益での雇用調整助成金1億01百万円も寄与した。

 なお主要顧客別売上はキヤノングループ向けが減少、ソニーグループ向けが増加、富士通グループ向けが横ばいだった。この結果、第2四半期累計における売上構成比はソニーグループ向けが25.2%、キヤノングループ向けが18.3%、富士通グループ向けが11.9%となった。請負比率は68.2%だった。

 通期ベースでも、新型コロナウイルスによる一部の主要顧客の派遣契約終了などで減収減益予想としている。ただし第2四半期累計の進捗率は売上高が47.3%、営業利益が71.5%だった。後半の需要回復も勘案すれば、通期利益予想に上振れ余地がありそうだ。

■株主優待制度は毎年8月末の株主対象

 株主優待制度は、毎年8月31日現在1単元(100株)以上保有株主を対象として、保有株式数に応じてQUOカードを贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は調整一巡

 株価は上値を切り下げる形でやや軟調だが、一方では下値も限定的だ。調整一巡して出直りを期待したい。10月16日の終値は977円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS30円51銭で算出)は約32倍、今期予想配当利回り(会社予想の32円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS392円59銭で算出)は約2.5倍、時価総額は約80億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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