【編集長の視点】OATアグリオは株式分割の権利取りにバリュー株買いが加わり高値を射程

編集長の視点

OATアグリオ<4979>(東2)は、49円高の2680円と3営業日ぶりに反発し、5月14日につけた年初来高値2798円を射程圏に捉えている。今年5月11日に発表した株式分割の権利取りが再燃し、今12月期純利益の増益転換、2期ぶりに過去最高に迫ることを買い直すバリュー株も相乗している。TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉が大詰めを迎えていることも、ビジネス機会拡大期待を高めている。

■今期業績は増益転換し過去最高純益にあと3300万円と迫る

株式分割は、同社株式の投資単位当たりの金額を引き下げ、株式の流動性を高め、投資しやすい環境を整え投資家層の一段の拡大を図ることを目的にしており、6月30日を基準日に1株を2株に分割する。今期配当も、期初に前期と横ばいの55円継続を予定していたが、株式分割に伴い27.5円とする。

一方、今12月期業績は、売り上げ117億6200万円(前期比3.1%増)、営業利益7億円(同5.5%増)、経常利益6億7300万円(同3.1%増)、純利益4億3300万円(同24.3%増)と増益転換を予想、純利益は、2014年12月期の過去最高(4億6600万円)へあと3300万円と迫る。前期業績は、農薬登録制度に新しい評価方法として短期暴露制度が導入され、同社の一部農薬製品について、それまでの登録内容の維持が困難として下方修正し、減益転換したが、今期は、この影響が一巡し、国内では水稲用除草剤の伸長や新規殺虫剤「スクミンベイト3」、「エクシレルSE」、「ベリマークSC」などの発売・拡販、さらに北米・南米向けの出荷量の増加、円安も寄与も加わり増益転換する。

なお今年5月11日に発表した今期第1四半期(1Q)業績は、売り上げ49億5900万円(前年同期比7.3%減)、営業利益12億5500万円(同0.1%増)、経常利益12億5100万円(同0.3%減)、純利益8億2100万円(同0.3%増)で着地し、期初の12月期通期利益を上回る高利益進捗率を示したが、1Qは、国内農薬事業を中心に需要盛期に備えて出荷が集中する会計特性があるとして、12月期通期業績は、期初予想を据え置いた。

■PERは16倍台、配当利回りは2.0%となお割安でまず年初来高値奪回

株価は、昨年6月に公開価格4200円でIPOされ、3935円で初値をつけ、上場来高値4625円まで買い進まれ、前期業績の下方修正が響いて上場来安値1966円と売られたが、今期業績の増益転換予想と4月の日米首脳会談を前にしたTPP交渉の進展期待で底上げに拍車を掛け、1Q好決算と株式分割の同時発表で2798円の年初来高値をつけ高値もみ合いを続けてきた。PERは16倍台、配当利回りは2.0%となお割安であり、年初来高値抜けから上場来高値にキャッチアップしよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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