【編集長の視点】AMBITIONは増益転換業績の確認を1Q決算開示時に期待して続伸

AMBITION<3300>(東マ)は、前日20日に2円高の895円と小幅続伸して引けた。同社株は、今年11月13日に今2021年6月期第1四半期(2020年7月~9月期、1Q)決算の発表を予定しており、この1Q業績で今6月期通期業績の増益転換が確認できると期待してバリュー株買いが増勢となった。また、引き続き菅内閣の規制緩和政策で不動産売買のデジタル化が推進されることも、同社のAI(人工知能)を実装して展開しているRPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)事業への追い風人気を高めている。

■管理戸数増加のストック効果が続き期ズレ分も上乗せ

 同社の今期1Q業績が注目されているのは、前2020年6月期業績が下方修正と上方修正を繰り返したからだ。下方修正は、今年2月の前期第2四半期(2019年7月~12月期、2Q)業績と5月の前期通期業績と続き、7月にはその下方修正した前期通期業績を一転して上方修正した。この下方修正は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた金融機関の業務縮小により、インベストメント事業で契約済み案件の決済先延ばしが発生して期ズレが最大で売り上げに30億円、営業利益に7億円予想されたことが要因となった。ただこの金融機関の業務体制の復旧からこの期ズレ分について、それぞれ約11億円、約3億円が計上可能となったとして、7月にその下方修正業績を上方修正し、減益転換率を縮小させ、減配した配当も増配した。

 今2021年6月期業績は、売り上げ306億2800万円(前期比11.7%増)、営業利益11億2100万円(同21.6%増)、経常利益9億6100万円(同17.6%増)、純利益5億8900万円(同79.9%増)と2ケタの増収増益転換を予想、配当も、年間13.6円(前期実績7.58円)と大幅増配を予定している。プロパティマネジメント事業では、管理戸数の増加と高入居率のストック効果が続き、インベストメント事業も新築デザイナーズマンションの販売が好調に推移、RPA事業も全国12万5000社の不動産管理・仲介会社へのアプローチを進め、次の成長ドライバーを目指すことなどが寄与する。今期1Q業績が、前期発生の期ズレの上乗せ計上から通期業績に対してどの程度の進捗度をみせるか注目される。

■25日線水準からPER10倍の修正で年初来高値目指す

 株価は、年初来高値1309円から前期2Q業績の下方修正とコロナ・ショック安で同安値402円まで大きく調整し、売られ過ぎ修正と出資先のサイバーセキュリティクラウド<4493>(東マ)の新規株式公開でストップ高を交えて683円までリバウンドしたが、5月の前期業績の下方修正でストップ安、7月の上方修正ではストップ高、さらに今期業績の増益転換・増配予想ではストップ高するなど出入りの大きい値動きとなった。足元では、菅内閣の行政デジタル化政策が、不動産売買の規制緩和まで包含していることで1010円まで上値を伸ばし、25日移動平均線水準で値固めを続けている。PERは10倍台とマザーズ銘柄として出色の投資採算妙味を示唆しており、4ケタ奪回から年初来高値1309円奪回に弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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