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ネオジャパンは上値試す、21年1月期は再上振れの可能性
- 2020/10/21 08:56
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ネオジャパン<3921>(東1)は自社開発グループウェアのクラウドサービスを主力としている。21年1月期は上方修正して利益横ばい予想としている。持続的な成長に向けた先行投資で費用が増加するが、テレワーク化の流れも追い風として再上振れの可能性が高いだろう。株価は急反発して9月の上場来高値に接近している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■自社開発グループウェアのクラウドサービスが主力
ビジネス・ITコミュニケーション・ツール開発企業である。自社開発グループウェア「desknet‘s NEO」のクラウドサービス(月額課金収入)を主力として、大企業向け中心のプロダクト(パッケージソフト販売のライセンス収入およびサポートサービス収入)も展開している。
20年1月期の売上構成比は、ソフトウェア事業が82%(うちクラウドサービスが57%、プロダクトが40%、技術開発が3%)、システム開発サービス事業(子会社Pro-Spire)が18%だった。またストック売上(クラウドサービスおよびサポートサービス)比率は77%だった。ストック売上の積み上げにより、高収益構造である。
グループウェア「desknet‘s NEO」は、ローカライゼーション(日本語、日本の商習慣やビジネス習慣など)に対応した27の基本機能を備え、多機能・使いやすさ・高品質・低価格を強みとしている。20年2月には新バージョンの提供を開始した。
20年1月期末時点のシリーズ累計ユーザー数は約415万ユーザー(うちクラウド版は約30万ユーザー)である。業種・業態・規模を問わず幅広く企業・官公庁・自治体に採用されている。中長期的には累計ユーザー数1000万ユーザーを目指すとしている。
なお20年7月にはIT製品比較・レビューサイトITreviewにおいて、グループウェア部門とワークフロー部門で6期連続アワードを受賞した。また20年9月には日経BP発行の日経BPガバメントテクノロジー誌2020年秋号において、日経BPガバメントテクノロジー自治体ITシステム満足度調査2020-2021グループウェア/ビジネスチャット部門で3年連続1位を獲得した。
■シェア拡大と東南アジア市場開拓を推進
中期成長戦略として、グループウェア「desknet‘s NEO」を核とするエンタープライズ向け製品の市場シェア拡大、シナジーが見込めるアライアンスへの戦略投資、マレーシアの合弁会社を拠点とするクラウドサービスの東南アジア市場開拓などを推進する。
製品ラインアップ拡充では、カスタムメイド型業務アプリ作成ツール「AppSuite」や、新しいコミュニケーション・ツールとしてのビジネスチャット「ChatLuck」を提供している。また20年2月には大塚製薬と健康経営の推進に向けて協業し、働く人の健康管理を支援するサービス「健康サポートプラス」の提供を開始した。
19年6月には米国子会社DELCUIを設立、19年8月にはシステムインテグレーションのPro―SPIREを子会社化、19年12月にはマレーシアに合弁会社NEOREKA ASIAを設立した。
■21年1月期は再上振れの可能性
21年1月期の連結業績予想(9月10日に売上高を据え置き、利益を上方修正)は、売上高が20年1月期比42.4%増の53億31百万円、営業利益が0.1%増の7億円、経常利益が0.4%増の7億20百万円、純利益が1.0%増の5億円としている。配当予想は20年1月期と同額の7円50銭(期末一括)である。
売上高の計画はクラウドサービスが17.3%増収、プロダクトが1.1%減収、技術開発が13.0%減収、システム開発サービスが2.9倍増収(20年1月期はPro―SPIREの4ヶ月分)としている。
第2四半期累計(20年1月期はPro―SPIREを子会社化して第3四半期から連結決算に移行)は、売上高が26億21百万円、営業利益が5億69百万円、経常利益が5億85百万円、純利益が3億97百万円だった。新型コロナウイルスで営業活動制約などの影響を受けたが、売上高は概ね計画水準で推移した。営業利益は計画を上回った。販促イベントや広告宣伝活動に関連する予算が未消化となった。
ソフトウェア事業は9.3%増収で36.8%増益だった。主力のクラウドサービスがユーザー数増加(第2四半期末時点のユーザー数は20年1月期末比35千人増加の338千人)などで20.0%増収と大幅伸長した。子会社Pro―SPIREのシステム開発サービス事業も貢献した。なお新型コロナウイルス感染症拡大に伴うテレワーク環境整備支援を目的として、グループウェア「desknet‘s NEO」クラウド版およびビジネスチャット「ChatLuck」クラウド版を、期間限定(20年3月9日~6月30日)で無償提供した。
第2四半期累計の進捗率は売上高が49.2%、営業利益が81.3%である。持続的な成長に向けた先行投資で費用が増加するが、テレワーク化の流れも追い風として通期は再上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。
■株主優待は1月末と7月末の年2回
株主優待は年2回、1月末と7月末の株主を対象として、保有株式数に応じてQUOカードを贈呈(詳細は会社HP参照)している。
■株価は上値試す
株価は第2四半期決算発表を機に好材料出尽くしの形で急反落したが、目先的な売り一巡して急反発し、9月の上場来高値に接近している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。10月20日の終値は2779円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS33円66銭で算出)は約83倍、今期予想配当利回り(会社予想の7円50銭で算出)は約0.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS259円69銭で算出)は約11倍、時価総額は約413億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)