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エスプールは上値試す、20年11月期大幅増収増益予想で上振れ余地
- 2020/10/21 08:29
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
エスプール<2471>(東1)はロジスティクスアウトソーシング、障がい者雇用支援・就労移行支援サービス、コールセンター業務などの人材サービス事業を展開している。20年11月期大幅増収増益予想である。第3四半期累計が順調であり、通期予想に上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は第3四半期決算発表を機に戻り高値圏から反落の形となったが、目先的な売り一巡して反発の動きを強めている。上値を試す展開を期待したい。
■ロジスティクス、障がい者雇用支援、コールセンターなど人材サービス事業
ビジネスソリューション事業(障がい者雇用支援サービス、ロジスティクスアウトソーシングサービス、セールスサポートサービス、新規事業)、および人材ソリューション事業(コールセンター向け派遣、販売・営業スタッフ派遣、ストアスタッフ派遣など)を展開している。
19年11月期の売上構成比はビジネスソリューション事業が29%、人材ソリューション事業が71%、営業利益構成比(連結調整前)はビジネスソリューション事業が56%、人材ソリューション事業が44%だった。
障がい者雇用支援サービス「わーくはぴねす農園」は19年11月期末時点で全国18農園、利用企業数259社、管理区画数2961区画、就業障がい者数1480名となった。20年3月には千葉県船橋市、20年6月には埼玉県川越市と愛知県小牧市に開設した。20年8月には東京都板橋区に初の屋内型農園を開設した。従来型の農園はビニールハウス型で概ね3000坪を超える敷地を必要としていたが、台風など自然災害の影響を踏まえ、屋外作業に適さない方にも就労機会を提供することを目的として屋内型を開設した。屋内型は倉庫や建物の活用を前提としているため立地面において柔軟性が高い。なお20年11月には千葉県柏市に全国23番目の施設の開設を予定している。また21年10月期には関西にも進出予定である。
採用支援サービス「OMUSUBI」はエスプールリンクが事業展開し、飲食チェーンや小売業を中心に約120社の求人応募の受付業務を行っている。エスプールリンクは20年2月クラウド型OJTシステムのClipLineと業務提携、20年3月採用支援サービスのZENKIGENに出資、健康経営支援サービスのメンタルヘルステクノロジーズに出資した。
20年5月には、ZENKIGEN、ワークスタイルテック、およびイレブンと4社合同で、企業間が期間限定で従業員をシェアし合うプラットフォーム「超企業 従業員プラットフォーム」を開設した。また20年9月にはアルバイト・パート採用に特化した適性診断サービス「Talentgram」の提供を開始した。
なお20年6月には、エコノス<3136>の子会社でカーボンオフセット事業を展開するブルードットグリーンの株式を取得して子会社化している。新サービス開発に取り組む。
■20年11月期大幅増収増益予想で上振れ余地
20年11月期連結業績予想は、売上高が19年11月期比17.8%増の206億36百万円、営業利益が24.7%増の20億円、経常利益が22.3%増の19億88百万円、純利益が19.0%増の12億88百万円としている。
配当予想は1円30銭増配の3円30銭(期末一括)としている。連続増配予想である。なお配当の基本方針は20年11月期から変更した。連結配当性向20%を目安とし、減益の場合でも単年度での連結配当性向60%を超えるまで減配しないとしている。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比20.2%増の152億68百万円、営業利益が29.5%増の15億59百万円、経常利益が28.5%増の15億57百万円、純利益が33.8%増の10億38百万円だった。計画超の大幅増収増益で着地した。
人材ソリューション事業は23.3%増収で42.9%増益だった。コールセンター派遣がスポット案件の取り込みも寄与して31%増収と大幅伸長した。販売支援は新型コロナウイルスの影響で15%減収だが、第3四半期に底打ちの兆しを見せている。
ビジネスソリューション事業は12.8%増収だが、新型コロナウイルスの影響で1.7%減益だった。障がい者雇用支援サービスは16%増収だが、新型コロナウイルスの影響で営業や教育訓練が遅れ、愛知小牧農園の納品ズレ込みも影響して区画販売が計画を下回った。EC通販発送代行サービスは巣ごもり消費で好調を維持している。採用支援サービス「OMUSUBI」は飲食業の求人回復が鈍い状況だが、スーパーや介護など新型コロナウイルスの影響が少ない業種を中心に業務が拡大し、全体として34%増収だった。
通期セグメント別計画は、ビジネスソリューション事業の売上高が23.2%増の62億14百万円(障がい者雇用支援サービスが28%増収、ロジスティクスアウトソーシングサービスが9%増収、採用支援サービスが37%増収など)で営業利益が19.4%増の18億08百万円、人材ソリューション事業の売上高が15.9%増の145億円(コールセンター業務が14%増収、店頭販売支援が20%増収など)で営業利益が19.1%増の14億10百万円としている。
障がい者雇用支援サービスは、新型コロナウイルスの影響で第3四半期の販売が計画を下回ったが、営業や教育訓練が徐々に正常化して計画達成を目指す。ロジスティクスアウトソーシングサービスは収益性向上に向けて、坪当たり売上高の向上に注力する。
第3四半期累計の進捗率は売上高が74.0%、営業利益が77.9%と順調である。新型コロナウイルスのマイナス影響が徐々に薄れていることも考慮すれば、通期予想に上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。
■株価は上値試す
株価は第3四半期決算発表を機に戻り高値圏から反落の形となったが、目先的な売り一巡して反発の動きを強めている。上値を試す展開を期待したい。10月20日の終値は769円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS16円31銭で算出)は約47倍、今期予想配当利回り(会社予想の3円30銭で算出)は約0.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS38円42銭で算出)は約20倍、時価総額は約608億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)