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トレジャー・ファクトリーは調整一巡、21年2月期大幅減益予想だが上振れ期待
- 2020/10/22 08:35
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
トレジャー・ファクトリー<3093>(東1)はリユースショップを展開している。21年2月期は新型コロナウイルスの影響で第2四半期累計が赤字となり、通期も大幅減益予想としている。ただし四半期別に見ると第2四半期は回復傾向を強めている。また20年9月の既存店売上は前年の消費増税前の駆け込み需要の反動でマイナスだったが、回復基調に変化はないだろう。通期上振れを期待したい。株価は通期大幅減益予想を嫌気する形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。
■リユースショップを展開
総合リユース業態トレジャー・ファクトリーや服飾専門リユース業態トレファクスタイルを主力とするリユースショップを、首都圏直営店中心に展開している。収益面では第2四半期(6~8月)の構成比が小さい季節特性がある。
20年3月末時点の店舗数は、グループ合計192店舗(タイの3店舗を含むトレジャー・ファクトリー65店舗、トレファクスタイル53店舗、トレファクスポーツ5店舗、ユーズレット7店舗、ブランドコレクト3店舗、トレファクマーケット1店舗、カインドオル41店舗、ゴルフキッズ17店舗)である。
■リユース事業の成長と周辺・新規事業への投資を推進
中期成長戦略として、リユース事業の成長(大都市圏中心に複数業態を組み合わせて年間10~20店舗の新規出店、採用・教育・在庫・物件開発など多店舗展開力の強化、リアル店舗とオンラインサービスの会員共通化をベースとしたリアル店舗・EC販売・宅配買取などの相互利用)、海外市場での成長(タイ3店舗の収益化、他国への展開)、リユース周辺事業・新規事業への投資(引越事業のトレファク引越、BtoBオークション事業のトレファク、ECドレスレンタル事業のCariru、不動産仲介事業のトレファク不動産)を推進している。
19年1月にはシステム開発のデジタルクエストを子会社化した。20年2月にはAIアプリのXZ(クローゼット)運営のSTANDING OVATIONと資本業務提携し、手持ちの服を簡単にリユースする仕組みを共同開発した。
20年8月には西濃運輸およびセイノー引越と業務提携した。リユース一体型引越サービス「トレファク引越」と「カンガルー引越便」の協業によるサービス拡大を目指す。
10月1日には総合不動産会社のビーロットとの業務提携を発表した。また10月19日には、静岡県内でリユースショップ直営店12店舗を展開するピックアップジャパンを子会社化すると発表した。
■21年2月期は新型コロナ影響で大幅減益予想だが上振れ期待
21年2月期の連結業績予想(期初時点では未定、10月13日に公表)は、売上高が20年2月期比4.3%減の183億08百万円、営業利益が88.2%減の1億11百万円、経常利益が84.0%減の1億59百万円、純利益が99.0%減の5百万円としている。配当予想は7円減配の10円(第2四半期末2円、期末8円)とした。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比7.6%減の83億77百万円、営業利益が2億63百万円の赤字(前年同期は3億79百万円の黒字)、経常利益が2億22百万円の赤字(同4億21百万円の黒字)、純利益が2億66百万円の赤字(同2億88百万円の黒字)だった。
新型コロナウイルスによる店舗臨時休業・営業時間短縮の影響で減収・赤字だったが、四半期別に見ると、緊急事態宣言発令で影響を大きく受けた第1四半期(売上高が前年同期比16.6%減の39億59百万円、営業利益が2億21百万円の赤字)に対して、第2四半期(売上高が2.3%増の44億17百万円、営業利益が41百万円の赤字)は回復基調となった。
なお第2四半期累計での既存店売上(単体ベース)は90.7%だった。4月には64.6%まで落ち込んだ。ただし7月には104.6%まで回復した。生活関連用品を中心に需要が増加した。また外出自粛時のショッピング需要に対応してEC販売を強化した。新規ジャンルでは、リユース事業者向けのオンラインオークションを開始し、酒類やスマホ・タブレットの取り扱いも強化した。
季節要因で利益の出やすい第1四半期に新型コロナウイルスの影響を大きく受けたため、通期も減収・大幅減益予想としたが、第2四半期は前年比でも増収に転じており、下期は営業黒字予想と回復基調である。EC販売の強化に加えて、第1四半期に抑制していた新規出店を第2四半期から再開している。通期上振れを期待したい。
月次売上(単体直営店の店舗売上、前年比速報値ベース)を見ると、20年9月は全店が99.3%、既存店が95.6%だった。前年の消費増税前の駆け込み需要の反動でマイナスだったが、回復基調に変化はないだろう。
■株主優待制度は2月末の株主対象
株主優待制度は毎年2月末時点の1単元(100株)以上保有株主を対象として実施(詳細は会社HP参照)している。
■株価は調整一巡
株価は通期の大幅減益予想を嫌気する形で反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。10月21日の終値は714円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS44銭で算出)は約1623倍、今期予想配当利回り(会社予想10円で算出)は約1.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS407円13銭で算出)は約1.8倍、時価総額は約83億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)