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テンポイノベーションは戻り試す、21年3月期は新型コロナ影響だが中期成長期待
- 2020/10/23 08:11
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
テンポイノベーション<3484>(東1)は、飲食業を中心とする出店希望者向けに居抜き店舗を転貸借する店舗転貸借事業を展開している。21年3月期予想は新型コロナウイルスの影響を考慮して未定としている。飲食業が厳しい状況のため当面は影響が意識されるが、政府の「Go To キャンペーン」効果で後半の回復を期待したい。また中期的に成長を期待したい。株価は下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。なお11月2日に第2四半期決算発表を予定している。
■飲食業の出店希望者向け居抜き店舗転貸借事業
首都圏の一都三県(特に東京都)において、飲食業の小規模事業者を中心とする出店希望者向けに居抜き店舗を転貸借する店舗転貸借事業を展開している。
店舗転貸借事業は、仲介ではなく、サブリースでもなく、不動産業における第6のカテゴリーと位置付けている。不動産オーナーにとっては賃貸料収入の安定、不動産会社にとっては仲介収益機会の獲得、店舗出店者にとっては出店費用の削減、店舗撤退者にとっては閉店コストの削減というメリットがある。また飲食業は他の産業との比較で、開業・廃業による入れ替わりが激しいため、市場機会が豊富という特徴もある。
保有物件数(転貸借物件数)の増加に伴って賃料収益(ランニング収入)を積み上げるストック型ビジネスモデルである。20年3月期末時点の転貸借物件数は19年3月期末比225件増加の1684件である。また20年3月期第2四半期から報告セグメントに不動産売買事業を追加した。不動産業者との関係強化を目的として、一定の保有枠の中で資金効率を重視して売買を行う。
なおクロップス<9428>の連結子会社だが、営業上の取引はなく経営上の独立性を確保している。またCSR活動の一環として、飲食店舗を活用した子ども食堂を開催している。
■21年3月期予想未定だが中期成長期待
21年3月期第1四半期業績(非連結)は、売上高が前年同期比5.6%増の24億04百万円だが、営業利益が46.3%減の1億円、経常利益が44.0%減の1億09百万円、純利益が46.5%減の72百万円だった。
転貸借物件数の積み上げで増収だが、新型コロナウイルスの影響による成約件数減少でイニシャル収入が大幅減少し、売上総利益が減少した。さらに新型コロナウイルス関連の特別手当やオフィス増床家賃など販管費が増加して大幅営業減益だった。
店舗転貸借事業は7.5%増収で40.9%減益だった。成約件数(新規および後継付けの合計)は前年同期比57.4%減の43件、期末転貸借物件数は163件増加の1689件となった。不動産売買事業は市場不活発化の状況を鑑みて物件取得・売却を行わなかったため、80.4%減収で96.9%減益だった。期末保有物件は3件となった。
通期予想は未定としているが、緊急事態宣言解除後は新規会員登録数や内見実施数が急増しているようだ。月別成約件数を見ると4月3件、5月7件、6月33件で、6月以降は回復基調となっている。
飲食業が厳しい状況のため当面は影響が意識されるが、政府の「Go To キャンペーン」効果で後半の回復を期待したい。また中期的に成長を期待したい。
■株主優待制度は3月末対象でジェフグルメカード5000円分
株主優待制度(20年8月に変更)は1年以上継続保有株主を対象としている。毎年3月末時点で1年以上継続して300株以上保有する株主に対して、お食事券ジェフグルメカード5000円分を贈呈(詳細は会社HP参照)する。21年3月末対象から運用開始する。
■株価は戻り試す
株価(19年12月11日付で株式2分割)は8月の直近安値圏から反発して下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。10月22日の終値は761円、前期実績PBR(前期実績のBPS142円84銭で算出)は約5.3倍、時価総額は約136億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)