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マルマエは目先的な売り一巡、21年8月期減益予想だが上振れ期待
- 2020/10/26 08:18
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
マルマエ<6264>(東1)は半導体・FPD製造装置向け真空部品などの精密切削加工事業を展開している。21年8月期は労務費や減価償却費の増加で減益予想としているが保守的だろう。受注が回復基調であり、上振れを期待したい。株価は減益予想を嫌気する形になったが、目先的な売りが一巡して戻りを試す展開を期待したい。
■半導体・FPD製造装置向けの精密切削加工事業
半導体・FPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使用される真空部品や電極などの精密切削加工事業を展開している。
パイオニアプラズマディスプレイ鹿児島工場の一部を取得し、18年4月出水事業所として稼働、電子ビーム溶接(EBW)関連の生産も開始した。19年2月には本社を出水事業所内に移転し、本社機能の充実や業務の効率化を推進している。
作業補助・介護ロボットの開発(鹿児島大学と共同研究)では、18年7月第二種医療機器製造販売業の許可を取得し、医療機器製造業の登録を行った。
■22年8月期営業利益20億円目標
中期事業計画(新型コロナウイルスの影響など市場環境変化を考慮して20年8月21日に修正、計画最終年度を22年8月期に変更)の数値目標は、22年8月期の売上高70億円、営業利益20億円、資産ベースROIC18%、負債ベースROIC14%、配当性向30%以上、年間最低配当額10円(最終損益が赤字となる場合は見直し)を掲げている。設備投資の計画(CFベース)は、増産投資および自社使用目的の太陽光発電投資を中心に、20年8月期3.4億円、21年8月期9.1億円、22年8月期10億円としている。
売上拡大戦略として半導体分野では、市場成長も背景として既存顧客からの受注品種拡大、デバイスメーカーの稼働向上による消耗品の拡大を見込み、新規顧客獲得も推進する。既存顧客の売上に関しては20年8月期から22年8月期で約26%成長を目指す。新規顧客の売上に関しては2社からの受注を獲得(1社目は20年8月期量産開始、2社目は試作品提供開始)しており、20年8月期の1.2億円から22年8月期には12億円(1社目8億円、2社目4億円)を目標とする。
FPD分野の売上は20年8月期の10.6億円から、22年8月期に16億円を目指す。市場環境として21年8月期は市場縮小、22年8月期に高精細化投資で再拡大を想定し、EBWを活用した新規顧客獲得や、同業他社の撤退などによる市場シェア拡大を見込んでいる。
その他分野ではEBWに続く新技術習得による新分野開拓、リハビリ機器の研究開発などを推進する。
また中長期的な取り組みとしてESG経営を推進する。再生可能エネルギー活用によるCO2削減を推進するため、30年8月期に年間使用量50%以上を太陽光で自社発電する計画(30年8月期までに合計424百万円を設備投資)としている。また職場環境向上の取り組みではワークライフバランスを整え、女性が継続して働ける職場づくりを目指す方針だ。
■20年9月の受注残高は前年比2.0%増と順調
なお月次受注残高(速報値)を見ると、20年9月は半導体分野が5億90百万円(前月比1.9%増、前年同月比37.5%増)、FPD分野が1億89百万円(前月比7.6%減、前年同月比43.8%減)、その他分野が8百万円、合計が7億88百万円(前月比0.3%減、前年同月比2.0%増)となった。19年2月の合計6億20百万円をボトムとして受注回復基調である。
今後の動向として、半導体分野は市場が一時的に低迷したが、年末に向けて回復見込みとしている。FPD分野は市場が21年半ばまで停滞する見込みとしている。
■21年8月期減益予想だが上振れ期待
20年8月期業績(非連結)は、売上高が19年8月期比9.2%増の43億88百万円、営業利益が80.8%増の8億96百万円、経常利益が74.8%増の8億34百万円、純利益が58.2%増の6億90百万円だった。配当は2円増配の17円(第2四半期末5円、期末12円)とした。
受注が回復(半導体分野が17.0%増、FPD分野が23.2%増、その他分野が38.0%減、合計が17.8%増)して、6月10日の修正計画を上回る増収・大幅増益だった。売上は半導体分野が0.7%増、FPD分野が62.7%増、その他が69.4%減)だった。コスト面で外注加工費や減価償却費が増加したが、増収効果に加えて、材料費の減少も寄与して限界利益率が改善した。
21年8月期の業績(非連結)予想は、売上高が20年8月期比7.1%増の47億円、営業利益が13.0%減の7億80百万円、経常利益が8.6%減の7億62百万円、純利益が22.1%減の5億38百万円、配当予想は3円増配の20円(第2四半期末10円、期末10円)である。
売上面は半導体分野の好調、生産能力拡大、シェア拡大で全体として増収見込みとしている。半導体分野はメモリが不透明でロジックも停滞だが、20年後半からNANDとファウンダリが復調して20%増収、FPD分野は21年半ばまでG10.5液晶案件がなく市場50%縮小見込みだが、EBW活用やシェア拡大で37%減収の計画としている。
コスト面では中計目標の売上高70億円に向けて体制構築を推進するため、労務費や減価償却費の増加で減益予想としている。ただし保守的だろう。シェア拡大も寄与して受注が回復基調であり、上振れを期待したい。
■株主優待制度は毎年8月末時点で6ヶ月以上保有株主対象
株主優待制度は、毎年8月末日現在6ヶ月以上継続1単元(100株)以上保有株主を対象として、クオカードを贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は目先的な売り一巡
株価は21年8月期の減益予想を嫌気する形になったが、目先的な売りが一巡して戻りを試す展開を期待したい。10月23日の終値は946円、今期予想PER(会社予想のEPS42円02銭で算出)は約23倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約2.1%、前期実績PBR(前期実績のBPS445円69銭で算出)は約2.1倍、時価総額は約123億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)