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イトーキは調整一巡、21年12月期収益拡大期待
- 2020/10/27 09:02
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
イトーキ<7972>(東1)はオフィス家具の大手で、物流機器なども展開している。20年12月期は新型コロナウイルスの影響で大幅営業・経常減益予想だが、中期的には働き方改革による企業の職場環境改善投資が追い風であり、21年12月期の収益拡大を期待したい。なお10月27日の取引時間開始前に自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)で自己株式買付(上限48万株)を行う。また11月4日に「ITOKI PRESENTATION 2021」プレス発表会、および第3四半期決算発表を予定している。株価は戻りの鈍い展開だが、調整一巡して出直りを期待したい。
■オフィス家具の大手で物流機器も展開
オフィス家具の大手で、パーティションや物流機器なども展開している。製販一貫体制が特徴である。
オフィス関連事業(事務用デスク・チェア、収納家具など)では、18年10月に開設した新本社オフィスのITOKI TOKYO XORK(イトーキ・トウキョウ・ゾーク)を活用して、ワークスタイルの多様化や働き方改革に対応したオフィス空間の提案を推進している。また新規事業としてGlobal Treehouse事業を立ち上げている。
設備機器関連事業(パーティション、物流設備機器など)では、19年9月に高速仕分ピッキング装置「システマストリーマーSAS」の新製品を投入した。
国内その他事業では、テレワークに対応した新製品、子ども向け新製品の投入を推進している。
海外は中国事業で拠点再編、人員体制適正化、直接販売強化などによって収益構造改革を推進している。さらに新製品投入で巻き返しを図る方針だ。
19年12月期のセグメント別売上構成比はオフィス関連事業が53%、設備機器関連事業が45%、その他(家庭用机など)が2%、営業利益構成比はオフィス関連事業が78%、設備機器関連事業が48%、その他がマイナス26%だった。なお収益はオフィス移転シーズンにあたる上半期偏重の特性がある。
20年7月にはアドバンテッジアドバイザーズと提携し、アドバンテッジアドバイザーズがサービス提供するファンドを割当先とする第1回新株予約権を発行した。営業体制改革、保有資産の効率的活用、オフィス家具以外の事業セグメントの高収益化などに関連した社内プロジェクトを立ち上げ、アドバンテッジアドバイザーズの支援も受けながら企業価値向上と持続的成長を図る方針だ。
なお11月3日~5日にオンラインで開催される「Edvation x Summit 2020 Online」にゴールドパートナーとして参加する。また11月5日から12月4日まで本社オフィス「ITOKI TOKYO XORK」において「ITOKI PRESENTATION 2021」を開催(11月4日にプレス発表会)し、アフターコロナ時代の働き方やワークプレイスのあり方について紹介する。
■20年12月期大幅営業・経常減益予想、21年12月期収益拡大期待
20年12月期の連結業績予想(5月25日に未定に修正、8月31日に再公表)は、売上高が19年12月期比4.2%減の1170億円、営業利益が55.7%減の4億円、経常利益が73.6%減の2億50百万円、純利益が1億円の黒字(19年12月期は5億50百万円の赤字)としている。配当予想は19年12月期と同額の13円(期末一括)である。
第2四半期累計は売上高が前年同期比1.6%増の647億04百万円、営業利益が36.5%増の26億31百万円、経常利益が29.5%増の25億06百万円、純利益が24.6%増の12億03百万円だった。オフィス関連事業は6.1%増収で26.5%増益、設備機器関連事業は3.6%減収だが38.2%増益、その他事業は5.1%減収だが赤字縮小した。
第1四半期の好調で第2四半期累計ベースでは大幅増益だった。ただし第2四半期に新型コロナウイルスの影響で営業活動の縮小、商談の延期・中止が発生したため急減速した。四半期別に見ると、第1四半期は売上高が前年比11.2%増の377億07百万円、営業利益が43.5%増の30億01百万円だったが、第2四半期は売上高が9.3%減の269億97百万円、営業利益が3億70百万円の赤字(前年は1億64百万円の赤字)となった。
第2四半期累計ベースでは大幅増益だったが、新型コロナウイルスによる営業活動の縮小、商談の延期・中止の影響が継続すると想定し、通期は大幅営業・経常減益予想としている。ただし全国的な在宅勤務やテレワークの流れで、コンシューマ向け在宅勤務用チェアなど在宅勤務用製品の需要が急増しているようだ。
新型コロナウイルスの影響で、感染リスクの少ないワークプレイスの確保、テレワーク化によるオフィス縮小、メインオフィス以外のワークプレイスの活用など、オフィス関連事業を取り巻く環境が大きく変化している。20年12月期は大幅営業・経常減益予想だが、中期的には働き方改革による企業の職場環境改善投資が追い風だろう。21年12月期の収益拡大を期待したい。
■株価は調整一巡
株価は戻りの鈍い展開だが、20年12月期業績悪化懸念は織り込み済みだろう。調整一巡して出直りを期待したい。10月26日の終値は346円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS2円19銭で算出)は約158倍、今期予想配当利回り(会社予想の13円で算出)は約3.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS995円80銭で算出)は約0.3倍、時価総額は約158億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)