ベステラは上値試す、21年1月期大幅増収増益予想

 ベステラ<1433>(東1)は鋼構造プラント設備解体工事を展開し、解体工事会社としては類のない特許工法・知的財産の保有を強みとしている。21年1月期は豊富な受注残高を背景に大幅増収増益予想としている。中期的にもプラント解体工事の潜在需要は大きい。収益拡大を期待したい。株価は地合い悪の影響で年初来高値圏から反落の形となったが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■鋼構造プラント設備解体のオンリーワン企業

 製鉄所・発電所・ガスホルダー・石油精製設備など鋼構造プラント設備の解体工事に特化したオンリーワン企業である。

 製鉄・電力・ガス・石油・石油化学業界(製鉄所・発電所・石油精製・石油化学設備など)向けを主力とするプラント解体工事、および特定化学物質・アスベスト・ダイオキシン・土壌汚染などの環境関連対策工事を展開している。

 大手企業のエンジニアリング子会社を中心とした優良な顧客基盤、豊富な工事実績に基づく効率的な解体マネジメント、解体工事会社としては類のない特許工法・知的財産の保有を強みとしている。

 主要顧客はJFEグループ、新日鐵住金グループ、戸田建設、東京エネシス、IHIグループなどである。技術関連では、球形ガスホルダー解体「リンゴ皮むき工法」や火力発電所等の「ボイラ解体方法」の特許を取得し、遠隔操作による溶断ロボット「りんご☆スター」も開発している。

 20年2月には、インターアクション<7725>から3Dスキャン・3Dモデリング事業およびプラント設計事業を譲り受け、新会社3Dビジュアルとして事業を開始した。20年9月にはリバーホールディングス<5690>を持分法適用関連会社化(19年9月に資本業務提携)した。

 関連事業として、建設技能労働者不足に対応した人材派遣・紹介・育成サービス、プラント解体事業における事前調査等の強化を目的とした3D計測・データサービスも展開している。

 収益面では顧客の設備投資計画の影響を受け、工事完成時期や完成工事利益率によって四半期業績が変動しやすい。また完成工事高は顧客の設備投資計画に応じた季節性があり、第4四半期の割合が高くなる特性がある。

■プラント解体需要は中期的に増加予想

 企業の事業再編や設備集約、産業競争力強化法やエネルギー供給構造高度化法など余剰設備の再編に向けた国の政策を背景として、1960年代の高度成長期に建造されたプラントの老朽化に伴う解体工事が増加すると予想されている。

 21年1月期~23年1月期の中期経営計画2022(ローリング方式)では、目標値に23年1月期売上高81億円、営業利益7億40百万円、経常利益7億35百万円、純利益5億23百万円、売上高営業利益率9.1%、EPS63円を掲げている。配当性向の目安は40%とする。M&Aも活用し、元請工事比率上昇で収益力を高める方針だ。

■21年1月期大幅増収増益予想

 21年1月期連結業績予想(6月9日に未定に修正、9月9日に公表)は、売上高が20年1月期比10.6%増の38億円、営業利益が28.8%増の1億20百万円、経常利益が2.1倍の2億円、純利益が2.2倍の1億30百万円としている。配当予想は20年1月期と同額の16円(第2四半期末6円、期末10円)である。

 なお第2四半期累計は、売上高が前年同期比14.2%減の16億36百万円、営業利益が92.6%減の11百万円、経常利益が88.4%減の17百万円、純利益が93.8%減の6百万円だった。新型コロナウイルスの影響で大型工事の着工が下期にズレ込んだため完成工事が減少(17.1%減の14億95百万円)した。ただし受注高は70.0%増の27億46百万円、受注残高は2.8倍の22億98百万円となった。電力および化学業界で大型工事を受注した。

 第2四半期累計は減収減益だったが、通期は大幅増収増益予想としている。豊富な受注残高を背景として下期に完成工事高が増加する見込みだ。中期的にもプラント解体工事の潜在需要は大きい。収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年1月末の株主対象

 株主優待制度は、毎年1月31日現在1単元(100株)以上保有株主を対象として、保有株式数に応じてクオカードを贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は上値試す

 株価は地合い悪の影響で年初来高値圏から反落の形となったが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。10月30日の終値は1346円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS15円80銭で算出)は約85倍、今期予想配当利回り(会社予想の16円で算出)は約1.2%、前期実績PBR(前期実績の連結BPS308円57銭で算出)は約4.4倍、時価総額は約112億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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