ピックルスコーポレーションは調整一巡、21年2月期予想は再上振れ余地

 ピックルスコーポレーション<2925>(東1)は漬物・キムチ製品の最大手である。主力の「ご飯がススム キムチ」ブランド力が向上し、キムチ製品や惣菜製品の拡大、EC・外食・小売領域への展開を推進している。10月24日には新TVCMの放送を開始した。21年2月期増収増益予想である。下期に新規事業開始による費用増加が見込まれるが、通期予想に再上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は9月の上場来高値から利益確定売りで反落したが、調整一巡して上値を試す展開を期待したい。

■漬物製品の最大手で「ご飯がススム キムチ」ブランド力向上

 漬物・キムチ製品の最大手である。主力の「ご飯がススム キムチ」シリーズのブランド力が向上し、キムチ製品や惣菜製品の開発強化と新製品の積極投入、西日本エリアへの販売拡大、量販店惣菜売場・ドラッグストア・配食事業など販売先の拡大、新たな販売チャネルとしてのEC・外食・小売領域への展開を推進している。

 19年2月期の品目別売上構成比は製品63.9%(浅漬・キムチ41.8%、惣菜20.1%、ふる漬2.0%)および商品(漬物、調味料、その他)36.1%だった。販路別売上構成比は量販店・問屋等74.9%、コンビニ15.9%、外食・その他9.2%だった。セブン&アイ・ホールディングス<3382>など大手量販店・コンビニが主要取引先である。

 収益面の特性としては、天候不順などによる野菜(特に胡瓜と白菜)価格の影響を受ける傾向がある。

■新たな販売チャネルに展開

 中期成長戦略として、惣菜・その他分野の商品開発強化、西日本地区への販売エリア拡大、量販店惣菜売場や配食事業などへの販売先拡大、ECやBtoC領域など新規事業推進を掲げている。

 新たな販売チャネルへの展開としては18年4月、ピーネ12乳酸菌活用した商品のECサイト「ピーネオンラインショップ」と、国産・化学調味料不使用にこだわった漬物のECサイト「八幡屋オンラインショップ」を開設した。19年4月にはピーネ関連製品を製造する新工場が完成した。

 またグループ商品を活用してBtoC領域の外食・小売事業に参入し、20年10月には運営子会社OHが埼玉県飯能市に複合型観光施設として、発酵のテーマパーク「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」を開業した。日本の伝統的な食文化「発酵」を発信していく。

 中期目標値には、23年2月期売上高457億円(浅漬・キムチ209億36百万円、惣菜93億91百万円、ふる漬8億73百万円、商品144億98百万円)、営業利益20億83百万円、経常利益22億03百万円、純利益14億73百万円を掲げている。設備投資はOH施設、中京工場増床、設備更新などで21年2月期からの3年間で合計43億32百万円を計画している。

 なお20年9月には、浅漬用に植物由来原料を使用した容器を導入し、軽量化と省資源化を図ると発表している。地球環境に配慮した経営にも取り組んでいる。

■21年2月期増収増益予想で再上振れの可能性

 21年2月期の連結業績予想(9月25日に売上高、利益とも上方修正)は、売上高が20年2月期比8.7%増の450億円、営業利益が22.9%増の23億円、経常利益が21.7%増の24億円、純利益が24.0%増の16億円としている。配当予想は20年2月期と同額の30円(期末一括)としている。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比13.3%増の243億98百万円、営業利益が28.6%増の17億88百万円、経常利益が25.6%増の18億54百万円、純利益が28.3%増の12億93百万円だった。

 計画超の大幅増収増益だった。売上面では新型コロナウイルスに伴う巣ごもり需要に加えて、健康志向の高まりを背景にキムチがテレビ番組で取り上げられたことも寄与した。利益面では春先の低温、7月の日照不足、8月の猛暑などで原料野菜価格が高騰したが、増収効果や生産効率化効果で吸収した。広告宣伝費や従業員の出張費が計画比で減少したことも寄与した。

 なお品目別売上は製品が16.7%増収(浅漬・キムチが21.8%増収、惣菜が10.1%増収、ふる漬が4.3%減収)、商品が7.5%増収で、販路別売上は量販店・問屋等が12.7%増収、コンビニが24.7%増収、外食・その他が1.8%減収だった。売上総利益率は0.2ポイント上昇、販管費比率は0.7ポイント低下した。

 通期(修正後)の売上高の計画は、品目別には製品が13.2%増収(浅漬・キムチが16.3%増収、惣菜が8.6%増収、ふる漬が5.5%減収)、商品が0.6%増収で、販路別には量販店・問屋等が8.4%増収、コンビニが15.3%増収、外食・その他が1.0%減収としている。利益は、コスト面で新規事業「OH!!!」関連費用が増加するが、増収効果や原価改善効果で吸収して過去最高益更新見込みである。

 第2四半期累計の進捗率は売上高が54.2%、営業利益が77.7%と高水準である。下期に新規事業開始による費用増加が見込まれるが、会社予想はやや保守的だろう。通期予想に再上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年2月末の株主が対象

 株主優待制度は毎年2月末時点の100株以上保有株主を対象として、商品詰め合わせセットなど(数種類から1点選択、詳細は会社HP参照)を贈呈する。

■株価は調整一巡

 株価は9月の上場来高値から利益確定売りで反落したが、調整一巡して上値を試す展開を期待したい。11月2日の終値は2823円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS250円09銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約1.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2017円79銭で算出)は約1.4倍、時価総額は約181億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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