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トーソーは戻り試す、21年3月期減収減益予想だが需要回復傾向で上振れ余地
- 2020/11/17 08:20
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
トーソー<5956>(東2)はカーテンレールやインテリアブラインドの大手である。21年3月期第2四半期累計は新型コロナウイルスの影響で減収減益だった。通期予想は据え置いて減収減益予想としているが、需要が回復傾向であり、通期上振れ余地がありそうだ。株価は小幅レンジでモミ合う形だが煮詰まり感を強めている。低PBRも注目点であり、モミ合い上放れて戻りを試す展開を期待したい。
■カーテンレール・インテリアブラインドの大手
カーテンレールやインテリアブラインドの大手である。国内市場シェアはカーテンレールが約50%、ブラインドが約15%である。
室内装飾関連事業(カーテンレール類、ブラインド類、間仕切類)を主力として、介護用品事業(ステッキなど)も展開している。20年3月期のセグメント別売上高構成比は室内装飾関連事業が98%、その他が2%だった。
生産は国内、インドネシア、中国で行い、国内外からの仕入品とともに、主に住宅市場向けに代理店等を通じて販売している。収益面では、新設住宅着工件数やリニューアルなど住宅関連市場の影響を受け、第4四半期の構成比が高い特性がある。
■高付加価値製品の拡販を推進
2016年度にスタートした10年間の経営ビジョン「Vision2025」では、目標値に売上高270億円、自己資本当期純利益率(ROE)8%以上を掲げている。
中期成長戦略では「窓辺の総合インテリアメーカー」として、住宅分野での深耕、高付加価値商品の拡販、インテリアトレンドに合わせた特長ある商品や省エネ・節電対応など新商品開発のスピードアップ、コスト競争力の強化、ホテルや商業施設など非住宅分野における需要の取り込み、大型物件の獲得や新興国の消費需要取り込みによる海外売上高の拡大、新規領域としての介護用品事業の拡大などの施策を推進している。
20年10月には、遮像性と採光性の両方を兼ね備えたロールスクリーン「マイテックシリーズ プライベートスクリーン」が、公益財団法人日本デザイン振興会の2020年度グッドデザイン賞を受賞した。前年のカーテンロール「シエロシリーズ」に続いて2年連続の受賞となる。
■21年3月期減収減益予想だが上振れ余地
21年3月期連結業績予想は売上高が20年3月期比3.0%減の220億円、営業利益が22.3%減の7億円、経常利益が19.7%減の7億10百万円、純利益が19.4%減の4億70百万円としている。配当予想は20年3月期と同額の10円(第2四半期末5円、期末5円)である。
第2四半期累計は売上高が前年同期比9.5%減の100億48百万円、営業利益が9.2%減の3億17百万円、経常利益が7.1%減の3億34百万円、純利益が19.2%減の2億12百万円だった。
新型コロナウイルスによる経済収縮の影響や、前年の消費増税前駆け込み需要の反動などで減収減益だった。室内装飾関連事業は9.1%減収で6.0%減益、その他は29.0%減収で赤字だった。
ただし資材ロス低減や生産工程見直しなど原価低減効果で売上総利益率が1.3ポイント改善し、展示会中止や営業活動自粛などで販管費も減少した。また四半期別に見ると、第1四半期は売上高が47億80百万円で営業利益1億55百万円だが、第2四半期は売上高が52億68百万円で営業利益が1億62百万円と改善傾向だ。
通期は据え置いて減収減益予想としているが、住宅分野での停滞を補うため、高収益体質への転換に向けた取り組みとあわせて、一層の成長戦略(非住宅分野、海外事業、新規領域)を推進する方針としている。需要が回復傾向であり、通期予想に上振れ余地がありそうだ。
■株主優待制度は毎年3月末の株主対象
株主優待制度は毎年3月末時点の株主を対象として実施している。なお20年3月31日基準から、保有株式数および継続保有期間に応じた優待内容に変更(詳細は会社HP参照)した。
■株価は戻り試す
株価は小幅レンジでモミ合う形だが煮詰まり感を強めている。低PBRも注目点であり、モミ合い上放れて戻りを試す展開を期待したい。11月16日の終値は499円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS50円38銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の10円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1317円05銭で算出)は約0.4倍、時価総額は約50億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)