エイジアは反発の動き、21年3月期EBITDA増益予想

 エイジア<2352>(東1)はメール配信システムの大手である。クラウドサービスやM&Aによる新規事業で成長を目指している。21年3月期の連結業績(9月30日に売上高とEBITDAを上方修正、営業利益以下を未定に修正)は、増収・EBITDA増益予想としている。第2四半期累計は減益だったが、通期ベースで収益拡大を期待したい。株価は10月の上場来高値圏から急反落の形となったが、目先的な売り一巡して反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。

■メール配信などe-CRMシステム「WEBCAS」シリーズが主力

 自社開発e-CRMシステムのWEBCASシリーズのアプリケーション事業を主力として企業のCRM運用支援を行い、コンサルティング、システム受託開発、EC事業(18年9月譲り受けたベビー服ECサイト運営事業)も展開している。eメールを活用した販売促進ソリューションを強みとしている。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比はアプリケーション事業77%、コンサルティング事業15%、オーダーメイド開発事業1%、EC事業7%、営業利益構成比(調整前)はアプリケーション事業100%、コンサルティング事業1%、オーダーメイド開発事業1%、EC事業▲2%だった。収益面では下期の構成比が高い特性がある。またクラウドサービスが拡大してストック型構造の特性を強めている。

 メール配信システム「WEBCAS e-mail」は、顧客の嗜好、属性、購買履歴などに基づいたOne to Oneメールを、世界トップレベルの最高300万通/時で送信することが可能な超高速性が強みである。20年3月には多言語配信機能を標準搭載した新バージョンを発売した。WEBCASシリーズはメール配信システム「WEBCAS e-mail」を中心とするe-CRMアプリケーションシリーズで、20年9月には導入企業数が累計6300社を突破した。国内メール配信パッケージ市場でシェア1位である。

 なお20年8月には「WEBCAS CRM」が、経済産業省のサービス等生産性向上IT導入支援事業「IT導入補助金2020」の認定ITツールとして登録された。

■クラウドサービスやM&Aによる新規事業で成長目指す

 中期経営計画では目標値として、23年3月期売上高26億円、EBITDA8億円(20年3月期実績売上高18億76百万円、EBITDA5億10百万円)を掲げている。

 顧客のマーケティング活動に対する横断的なソリューションの提供を目指し、クラウドサービスを中心とする既存事業の飛躍的成長、M&Aによる新規事業での「もう一つの柱」づくり、財務戦略の最適化などを推進する。

 19年11月には、インタートレード<3747>の子会社で暗号資産関連事業を展開するデジタルアセットマーケッツに出資した。20年5月には、日本成長投資アライアンス(J―GJA)と業務提携し、J-GIA1号投資事業有限責任組合に対して第7回新株予約権を発行した。

 20年10月には、DXプラットフォーム構築に向けて、Webガバナンス基準に則したCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)をクラウドサービスで提供するコネクティの持株会社であるCONNECTY HOLDING(CHD社)を子会社化した。今後は更なるM&Aの実施によってDXプラットフォームの拡大を目指す方針だ。

■21年3月期2Q累計減益だが、通期EBITDA増益予想

 21年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比4.5%増の9億20百万円、EBITDAが3.7%減の1億95百万円、営業利益が15.1%減の1億53百万円、経常利益が18.4%減の1億54百万円、純利益が23.2%減の98百万円だった。EBITDAはM&A費用調整後では3.4%増益だった。

 累計ベースで前年比減益だが、第2四半期に新規問い合わせ数が過去最高となるなど事業環境が改善傾向となり、売上高、利益とも計画を上回った。主力のアプリケーション事業(6.1%増収)でクラウドサービス月額固定売上が10.1%増収と牽引した。利益面ではコンサルティング事業の人件費圧縮も寄与した。子会社が運営するEC事業は巣ごもり需要や新作入荷の再開などで31.0%増収と大幅伸長、コンサルティング事業は27.9%減収、オーダーメイド開発事業は58.5%減収だった。

 通期の連結業績予想(第3四半期からCDH社を新規連結、9月30日に売上高とEBITDAを上方修正、営業利益以下を未定に修正)は、売上高が20年3月期比24.5%増の23億35百万円、EBITDAが3.1%増の5億26百万円としている。

 クラウドサービスの好調で第2四半期累計が計画を上回ったことに加えて、第3四半期からのCDH社の新規連結も寄与する。CHD社の寄与(半期分)は売上高3億50百万円、EBITDA43百万円の増加要因となる。営業利益以下は、CDH社の子会社化によって発生する「のれん」の償却期間や、コネクティが行ってきたソフトウェア資産の計上基準など、20年10月以降に生じる償却費の試算額を監査法人と協議中のため未定としている。なお配当予想は据え置いて2円増配の25円(期末一括)としている。通期ベースで収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は3月末と9月末の2単元以上保有株主対象

 株主優待制度は、毎年3月31日および9月30日時点の2単元(200株)以上保有株主を対象として、保有株式数および保有期間に応じて株主優待ポイントを進呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は反発の動き

 株価は10月の上場来高値2932円から急反落の形となったが、目先的な売り一巡して反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。11月16日の終値は2074円、今期予想配当利回り(会社予想の25円で算出)は約1.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS389円89銭で算出)は約5.3倍、時価総額は約92億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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