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インテリジェントウェイブは調整一巡、21年6月期1Q減収減益だが通期増収増益予想
- 2020/11/18 08:46
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
インテリジェントウェイブ<4847>(東1)は、金融分野や情報セキュリティ分野を中心にシステムソリューション事業を展開し、クラウドサービスを中心としたストックビジネスへの転換を推進している。21年6月期増収増益予想である。第1四半期は一部のシステム開発案件の売上計上時期が第2四半期に移動したため減収減益だったが、通期ベースで収益拡大を期待したい。株価は戻り高値圏から反落して水準を切り下げたが、調整一巡して出直りを期待したい。
■金融システムや情報セキュリティ分野のソリューションが主力
大日本印刷<7912>(DNP)の連結子会社で、ソフトウェア開発を中心とする金融システムソリューション事業、情報セキュリティ分野を中心とするパッケージソフトウェア販売・保守サービスのプロダクトソリューション事業を展開している。
20年6月期の売上構成比は金融システムソリューション90%、プロダクトソリューション10%、営業利益構成比は金融システムソリューション108%、プロダクトソリューション▲8%だった。なお組織改正に伴って21年6月期から単一事業セグメントに変更する。
高度な専門性が要求されるクレジットカード決済のフロント業務関連システム分野に強みを持ち、クレジットカード会社、ネット銀行、証券会社など金融関連のシステム開発受託・ハードウェア販売・保守サービスを収益柱としている。顧客別売上高上位はDNP、カード会社、システム開発会社である。金融業界のシステム投資や案件ごとの採算性が影響し、下期の構成比が高い特性もある。
■事業領域拡大に向けて新製品・新サービスを強化
金融システムソリューションでは、クレジットカード決済のフロント業務関連システムから、金融領域全般への事業領域拡大を目指し、クラウドサービスも強化している。共同利用型のフロントシステムも検討中である。拡大するEC決済に対応して複数のカード会社と次世代不正検知の実証実験も進めている。プロダクトソリューションでは、サイバー攻撃や情報漏えいに対応したセキュリティ関連のソリューションを強化している。
クラウドサービスでは、アクワイアリング業務のIOASIS、不正検知のIFINDS、OnCore SwitchのIGATESが順調に拡大している。またポイントシステムのIPRETSを20年10月から本格稼働した。
AI関連の新規開発案件では、SMBC日興証券「AI株価見守りサービス」に、CEP(Complex Event Processing)エンジンであるFES(Fast Event Streamer)が採用され、19年7月サービス開始した。
19年8月には、あいおいニッセイ同和損害保険などと共同で、業界初のテレマティクス技術を活用した事故対応システム「テレマティクス損害サービスシステム」を開発した。
20年9月には情報漏えい対策システムCWATの最新バージョンの出荷を開始した。20年10月にはSolace社と、日本における次世代決済プラットフォームの実現に向けて協業体制を強化すると発表した。
■長期的に営業利益率15%目指す
中期事業計画(旧計画を見直して20年8月に新計画として公表)では、目標値に23年6月期売上高135億円、営業利益15億円を掲げている。新型コロナウイルスの影響は限定的だが、営業活動の制限などで新規案件の受注が遅延し、売上高の成長速度が抑制される可能性があると想定し、旧計画を見直した。主要製品・サービスの年平均成長率はクラウドサービス24.6%、セキュリティ対策製品6.9%、その他開発案件5.5%としている。また新製品・新サービスは上振れ要因となる。
長期的にクレジットカード決済取扱高が伸びる基調に大きな変化はなく、事業機会の拡大が続くと想定している。そしてクラウドサービスを中心としたサブスクリプション(ストックビジネス)への転換を推進し、新規事業への投資も加速する。中長期的には売上高150億円、営業利益率15%を目指す方針だ。
■21年6月期1Q減収減益だが通期増収増益予想
21年6月期業績(非連結)予想は、売上高が20年6月期比0.7%増の110億円、営業利益が11.0%増の11億50百万円、経常利益が10.7%増の11億90百万円、純利益が7.6%増の8億20百万円としている。配当予想は20年6月期と同額の10円(期末一括)である。
第1四半期は、売上高が前年同期比4.9%減の22億98百万円で、営業利益が4.8%減の1億34百万円、経常利益が8.8%減の1億28百万円、そして純利益が8.3%減の83百万円だった。
クラウドサービスが順調だったが、一部のシステム開発案件の売上計上時期が第2四半期に移動し、クラウドサービスの一時的な費用増加も影響して減収減益だった。ハードウェアも減収だが概ね想定水準だった。受注高は前年同期比27%増の30億56百万円、受注残高は14%増の60億75百万円となった。新型コロナウイルスの影響は限定的としている。
通期は大手カード会社向け開発案件、新規にカード事業を開始する顧客向け案件、クラウドサービスの新規案件などで増収増益予想としている。通期のストック売上比率は20.2%まで上昇する見込みだ。
クラウドサービスの売上高は9億40百万円(20年6月期実績8億28百万円)の計画である。既存のIGATES2社、IFINDS3社、IOASIS4社に加えて、IPRETSの1社目が第2四半期から、IGATESの3社目・4社目が下期から、IOASISの5社目(20年6月期第2四半期から稼働)が通期で寄与する見込みだ。
新型コロナウイルスの影響は限定的であり、通期ベースで収益拡大を期待したい。
■株価は調整一巡
株価は戻り高値圏から反落して水準を切り下げる展開となったが、調整一巡して出直りを期待したい。11月17日の終値は697円、今期予想PER(会社予想のEPS31円18銭で算出)は約22倍、今期予想配当利回り(会社予想の10円で算出)は約1.4%、前期実績PBR(前期実績のBPS265円55銭で算出)は約2.6倍、時価総額は約184億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)