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インテージホールディングスは上値試す、21年6月期は新型コロナ影響だが4Qから回復見込む
- 2020/11/18 08:30
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
インテージホールディングス<4326>(東1)は市場調査事業を主力として、システムソリューション分野や医薬情報分野にも積極展開している。21年6月期はオフライン調査などが新型コロナウイルスの影響を受けるが、第4四半期からの回復を見込んでいる。また21年1月には次世代SRI(全国小売店パネル調査)サービスの本リリースを予定している。中期的に収益拡大を期待したい。株価は年初来高値を更新して19年の高値も突破した。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■国内首位の市場調査が主力
子会社インテージのSCI(全国個人消費者パネル調査)やi-SSP(インテージシングルソースパネル)など、国内首位・世界10位(GRBN 2018 Global Top25 Report)の市場調査事業を主力として、システムソリューション分野や医薬情報分野にも展開している。
セグメント区分は、消費財・サービス分野のマーケティング支援、ヘルスケア分野のマーケティング支援、ITソリューション分野のビジネスインテリジェンスとしている。
消費財・サービス分野のマーケティング支援では、データサービスやカスタムリサーチなどを展開している。独自収集した各種パネル調査やカスタムリサーチから得られたデータを基に、高度なリサーチ技術やデータ解析力を駆使して、消費財メーカーを中心に企業のマーケティング活動をトータルサポートしていることが特徴だ。事業会社はインテージ、インテージリサーチ、アクセス・ジェーピー、および海外子会社である。
ヘルスケア分野のマーケティング支援では、一般用医薬品・医療用医薬品の市場調査、製薬企業からの委託によるデータマネジメント・解析業務、医薬品開発をサポートするCRO業務などを展開している。事業会社は、インテージヘルスケアの直下に医療情報総合研究所、プラメド、Plamed Korea、協和企画の4社を置く体制としている。
ビジネスインテリジェンスでは、ソフトウェア開発やシステム構築・運用などを展開している。事業会社はインテージテクノスフィア、ビルドシステム、エヌ・エス・ケイなどである。
20年6月期(決算期変更で15ヶ月決算)のセグメント別売上構成比は消費財・サービス分野のマーケティング支援が62%、ヘルスケア分野のマーケティング支援が25%、ビジネスインテリジェンスが13%、そして営業利益構成比は消費財・サービス分野のマーケティング支援が37%、ヘルスケア分野のマーケティング支援が45%、ビジネスインテリジェンスが18%だった。
■次世代SRIサービスを21年1月本リリース予定
第13次中期経営計画では目標値に23年6月期売上高625億円、営業利益50億円、営業利益率8.0%を掲げている。目指すべき姿を「データを核として、顧客ビジネス課題解決や意思決定に深く関与・伴走し、ビジネス創造と変革に寄与できる存在」として、次世代成長ドライバー確立などグループ間連携による対応領域の創造と拡張を推進する。またデジタル環境の変化に対応するため、積極的な事業投資やM&Aも継続して実施する方針だ。
消費財・サービス分野のマーケティング支援では、次世代SRI(全国小売店パネル調査)サービスの「SRI+」(ECデータ含む)について、21年1月本リリース(ECデータは20年1月本リリース、21年1月SRI+と統合)の予定としている。現行SRIは21年6月データで更新終了する。今後は「SRI+」を核としてソリューションおよびパートナー連携による総合力向上を図り、収益拡大につなげる方針だ。
20年5月にはインテージヘルスケアがWeblyと業務提携、20年7月にはインテージがTrax Technology(シンガポール)と店頭DXの推進に向けて業務提携、20年8月にはインテージテクノスフィアがグローバルウォーカーズと業務提携、インテージがシルタスと業務提携した。
なおSBIインベストメントと共同設立のINTAGE Open Innovation Fundは、パーソナルAI「al+」開発のオルツ、WEBリサーチのリサーチ・アンド・イノベーション、IoTデータ流通プラットフォームの米EverySense、訪日外国人向けショッピングサポートアプリ「Payke」のPaykeなどに投資している。
■21年6月期は新型コロナ影響だが4Qから回復見込む
21年6月期の連結業績予想(20年6月期は決算期変更で15ヶ月決算)は、売上高が560億円、営業利益が26億円、経常利益が29億円、純利益が22億円としている。
前年同期間(19年7月~20年6月)との比較で見ると売上高は0.8%増収、営業利益は28.9%減益、経常利益は21.0%減益、純利益は33.7%増益予想となる。セグメント別営業利益の計画は、消費財・サービス分野のマーケティング支援が56.6%減益、ヘルスケア分野のマーケティング支援が4.3%減益、ビジネスインテリジェンスが26.2%減益としている。純利益は特別損失一巡が寄与する。
第1四半期(20年7月~9月)は売上高が127億14百万円、営業利益が2億66百万円、経常利益が5億28百万円、純利益が6億05百万円だった。
決算期変更で前期の第1四半期が4月~6月のため、前年同一期間(7月~9月)との比較で見ると売上高は8.6%減収、営業利益は75.1%減益だった。オフライン調査の中止・縮小・延期、MR活動自粛によるCRO売上の減少、新規営業活動の制約など新型コロナウイルスの影響を受けた。マーケティング支援の消費財・サービスは9.7%減収、マーケティング支援のヘルスケアは3.0%減収、ビジネスインテリジェンスは9.3%減収だった。
第1四半期の進捗率は低水準の形だが、期初時点の想定として第3四半期までは新型コロナウイルスにより、消費財・サービス分野のマーケティング支援オフライン調査など直接の人的接触を伴う業務の縮小、および旅行業界向けビジネスインテリジェンスにおける顧客の業績悪化に伴う予算削減などの影響を受けるが、第4四半期には19年4~6月期並みに回復すると見込んでいる。また21年1月には次世代SRI(全国小売店パネル調査)サービスの本リリースを予定している。中期的に収益拡大を期待したい。
■株主優待は毎年12月末の株主対象
株主優待制度については、決算期変更に伴って基準日を変更している。従来の毎年9月30日対象から、毎年12月31日現在の1単元(100株)以上保有株主を対象として実施(詳細は会社HP参照)する。21年6月期対象から変更する。
■株価は上値試す
株価は年初来高値を更新し、さらに19年の高値も突破した。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。11月17日の終値は1051円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS55円09銭で算出)は約19倍、今期予想配当利回り(会社予想の24円で算出)は約2.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS704円73銭で算出)は約1.5倍、時価総額は約425億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)