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ケンコーマヨネーズは底値圏、21年3月期は後半の緩やかな回復期待
- 2020/11/24 08:19
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ケンコーマヨネーズ<2915>(東1)はマヨネーズ・ドレッシング分野から、タマゴ加工品やサラダ・総菜分野への事業領域拡大戦略を推進している。21年3月期第2四半期累計は新型コロナウイルス影響による外食産業向けの低迷で減収減益だった。通期も減収減益予想としている。第2四半期累計の進捗率が低水準であり、新型コロナウイルス感染再拡大の影響も警戒されるが、後半の緩やかな回復を期待したい。株価は3月の年初来安値に接近して軟調だが、業績悪化懸念を織り込んでほぼ底値圏だろう。反発を期待したい。
■マヨネーズ・ドレッシング類、ロングライフサラダの大手
サラダ・総菜類、タマゴ加工品、マヨネーズ・ドレッシング類の調味料・加工食品事業、フレッシュ総菜(日配サラダ、総菜)の総菜関連事業等、その他(ショップ事業など)を展開している。
マヨネーズ・ドレッシング分野から、タマゴ加工品やサラダ・総菜分野への事業領域拡大戦略を推進している。ロングライフサラダは国内1位、マヨネーズ・ドレッシング類は国内2位の市場シェアである。ショップ事業の「Salad Cafe」は百貨店などに出店し、主に女性をターゲットにした顧客拡大戦略を推進している。
20年3月期の商材別売上高構成比はサラダ類47%、タマゴ類27%、マヨネーズ・ドレッシング類24%、その他2%、分野別売上高構成比は外食28%、CVS27%、量販店25%、パン13%、給食4%、その他4%だった。
収益面では、鶏卵や野菜などの原材料価格が変動要因となりやすく、プロダクトミックス、工場操業度、原燃料コストなどの影響を受ける。利益還元については連結ベースでの配当性向20%を意識し、配当の継続性に配慮しつつ、今後の成長と発展にあわせて安定配当水準を高めていくことを基本方針としている。
■事業領域拡大と生産能力増強を推進
サラダNO.1企業として、中期成長に向けて市場ニーズに応える商品開発、新カテゴリーへの取り組み、事業領域の拡大などの戦略を推進している。
また生産能力増強も推進し、18年4月ダイエットクック白老が新工場(サラダ・総菜類)を稼働、18年6月関東ダイエットクックが神奈川工場(サラダ・総菜類)を稼働、19年2月静岡富士山工場(タマゴ加工品)を増設稼働、19年4月西日本工場(サラダ・総菜類)を増設稼働した。
20年7月には農林水産省主催「野菜を食べよう」プロジェクトの野菜サポーターに加入した。得意とする「サラダ料理」を通じてプロジェクトをサポートする。
■21年3月期は新型コロナ影響で減収減益予想、後半の需要回復期待
21年3月期連結業績予想(期初時点では未定、8月11日に公表)は、売上高が20年3月期比8.7%減の680億円、営業利益が27.6%減の21億円、経常利益が32.1%減の20億40百万円、純利益が35.9%減の13億20百万円としている。配当予想(11月13日公表)は11円減配の20円(第2四半期末8円、期末12円)としている。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比11.2%減の335億33百万円、営業利益が64.4%減の5億30百万円、経常利益が60.8%減の6億23百万円、純利益が61.8%減の4億22百万円だった。
総菜関連事業等は12.3%増収と伸長した。食品スーパー向けフレッシュ惣菜の需要が堅調だった。子会社の関東ダイエットクック神奈川工場も稼働3年目に入り、売上が順調に拡大した。
しかし主力の調味料・加工食品事業が16.1%減収と大幅に落ち込んだ。飲食店や商業施設の臨時休業・時短営業、ビュッフェ・バイキング形式での食事提供中止、食スタイル変化(宅配、テイクアウト)など、新型コロナウイルスで事業環境が悪化した外食分野向けの売上が影響を受けた。CVS向けも外出自粛やテレワーク普及による来店客数減少の影響を受けた。またサラダカフェ事業や海外事業も新型コロナウイルスの影響を受けた。販管費抑制などに取り組んだが減収影響をカバーできなかった。
通期も新型コロナウイルス影響による外食産業向けの低迷で減収減益予想としている。なお売上高の計画は、調味料・加工食品事業が12.5%減収(サラダ・総菜類が16.8%減収、タマゴ加工品が11.2%減収、マヨネーズ・ドレッシング類が8.9%減収)で、総菜関連事業等が9.4%増収、その他が37.3%減収としている。
第2四半期累計の進捗率が低水準であり、新型コロナウイルス感染再拡大の影響も警戒されるが、後半の緩やかな回復を期待したい。
■株主優待制度は毎年3月末の株主対象
株主優待制度は毎年3月末日現在の株主を対象として、保有株式数に応じて当社商品を贈呈(詳細は会社HP参照)している。
■株価は底値圏
株価は3月の年初来安値に接近して軟調展開だが、業績悪化懸念を織り込んでほぼ底値圏だろう。調整一巡して反発を期待したい。11月20日の終値は1692円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS80円12銭で算出)は約21倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約1.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2069円93銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約279億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)