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LibWorkは上値試す、受注好調で21年6月期通期も上振れの可能性
- 2020/11/25 08:16
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
LibWork<1431>(東マ)は熊本県を地盤とする注文住宅メーカーである。Webマーケティングによる独自集客手法を特徴としている。21年6月期は受注好調で第2四半期累計予想を上方修正している。通期予想も上振れの可能性が高いだろう。収益拡大基調を期待したい。株価は好業績を評価して上場来高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■熊本県を地盤とする注文住宅メーカーでWEBマーケティングが特徴
熊本県を地盤として福岡県や佐賀県に展開する注文住宅メーカーである。省エネルギー性能に優れた住宅の提供を推進するとともに、Webマーケティングによる独自の集客手法を特徴としている。
第一次取得層を主ターゲットとして、一般的な常設展示場(モデルハウス)への集客ではなく、土地ポータルサイト「e土地net」やWebマーケティングなどネットやSNSを活用して集客することで、大幅なコストダウンを実現している。WEBはエリアに依存しないため全国展開も容易になる。また「e土地net」は広告掲載料と仲介手数料が不要のため、多数の最新の土地情報が集まりやすい。
なおMUJI HOUSEとネットワーク加入契約(フランチャイズ契約)し、熊本県における独占営業権を取得して「無印良品の家」も提供している。20年8月には福岡エリアの独占営業権を取得した。熊本県に次いで2エリア目となる。
19年11月にはグリムス<3150>の子会社グリムソーラーと提携、20年3月にはアダストリア<2685>と提携、20年7月には神奈川県を中心に戸建建売販売を展開するタクエーホームを子会社化した。
なお一般社団法人住宅性能評価・表示協会の発表によると、20年8月末時点のBELS(評価機関が省エネルギー性能の評価・表示を行う第三者認証制度)申請数の住宅分野において、設計者では全国5389社中の34位、施工者では全国5915社中の44位となった。
■全国展開加速して23年6月期株式時価総額500億円目指す
WEBマーケティングをコアコンピタンスとする住宅テック企業として、20年1月策定の経営ビジョン「VISION2030」の達成(毎年売上20%成長を基本とした安定的・永続的な成長)を目指している。
20年8月には中期経営計画「NEXT STAGE 2023」を策定し、定量目標値に23年8月期の株式時価総額500億円、売上高150億円(20年6月期比2.5倍)、営業利益12億円(同8倍)、ROE25%(同3.4倍)を掲げている。
基本方針は戸建プラットフォーマーの確立、全国展開加速と急成長・急拡大、住宅版SPAモデル確立、サブスクリプションモデルによる全国の工務店・ビルダー支援事業の収益化としている。
定量目標値以外のKPI(重要業績評価指標)は、戸建の粗利率35%(20年6月期実績28%)、店舗数25店舗(同12店舗)、Web集客数毎年50%増加、YouTubeチャンネル登録数10万人(同500人)、サブスクリプション工務店支援事業(20年6月経済産業省中小企業庁の新連携支援事業に採択)の営業利益1億円としている。
戸建プラットフォーマーの確立では、戸建関連カテゴリーポータルサイト(e土地net、e注文住宅net、e平屋net、e建築士net)の充実・拡大、戸建カテゴリーに特化した集客サイトや他社建売物件仲介サイトなど新規サイトのリリース、20年1月開設したYouTubeチャンネル「LibWork ch」の活用を推進する。
全国展開加速と急成長・急拡大では、エリア・店舗数の拡大(20年6月期の合計12店舗から3年間で25店舗に拡大)による日本全国への出店、ショッピングモール向け新ブランド「sketch」の展開を推進する。20年8月には「e土地net 神奈川版」を開設した。20年7月子会社化したタクエーホームとともに、関東への展開の拠点とする。
住宅版SPAモデル確立では、主要5工事(給排水設備工事、基礎工事、建て方工事、サイディング工事、地盤改良工事)の内製化によって戸建粗利率を35%まで高めるとともに、自社独自工法の開発を開始する。
サブスクリプションモデルによる全国の工務店・ビルダー支援事業の収益化では、AIを活用した全国の工務店・ビルダー支援システムを21年4月(予定)リリースし、全国の工務店にサービス展開する。
なおSDGsへの取り組みも強化している。11月6日にはライトアップ<6580>との業務提携を発表した。助成金・補助金自動診断システム「Jシステム」を活用し、主要販売エリアである九州のパートナー企業を中心に中小企業支援サービスを開始する。SDGs番号17「パートナーシップで目標を達成」を推進することで企業活性化に貢献する。また自社内で「SDGsキックオフ」を開催した。11月20日には、内閣府が設置した「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」への参画を発表した。
■21年6月期(連結決算開始)大幅増収増益予想
21年6月期連結業績(20年7月タクエーホームを子会社化して連結決算開始)は売上高が95億円、営業利益が3億90百万円、経常利益が4億円、純利益が2億46百万円としている。20年6月期非連結業績との比較で、売上高が57.4%増収、営業利益が2.7倍増益、経常利益が2.1倍増益、純利益が79.6%増益となる。
受注が好調であり、タクエーホームの新規連結、スケールメリットを活かした原価低減なども寄与して大幅増収増益予想である。エリア展開ではe土地net神奈川版を立ち上げて、関東圏でのWeb集客を強化する。戸建住宅関連の新サイトも立ち上げ予定である。商品面では「無印良品の家」の3商品(木の家・窓の家・陽の家)全てが見学できる総合展示場を、熊本市に開設(21年1月営業開始予定)する。また住宅版SPAを推進して売上総利益率向上を推進する。サブスクリプションモデルの工務店・ビルダー支援サービスは21年4月開始を目指す。
第1四半期は売上高が10億11百万円、営業利益が1億95百万円の赤字、経常利益が1億78百万円の赤字、純利益が1億39百万円の赤字だった。新型コロナウイルスの影響で着工・引き渡しの遅延が発生したため赤字だった。売上高・利益とも前年(非連結業績)を下回ったが、期初の想定どおりである。
一方では新型コロナウイルスによってリモートワークが普及し、これに伴う戸建住宅需要の高まりで受注が好調に推移しているため、第2四半期累計予想を大幅に上方修正して、売上高が44億98百万円、営業利益が1億71百万円、経常利益が1億96百万円、純利益が1億15百万円としている。
強みであるデジタル集客が好調に推移して、通期予想も上振れの可能性が高いだろう。収益拡大基調を期待したい。
■配当は四半期配当、株主優待制度は保有期間・株式数に応じて贈呈
配当は四半期配当を行っている。21年6月期の配当予想は、20年10月1日付株式2分割前の第1四半期末が4円50銭、株式2分割後の第2四半期末、第3四半期末、第4四半期末が各2円25銭としている。なお20年1月1日付株式2分割および20年10月1日付株式2分割後で年換算すると、20年6月期は9円(各四半期末2円25銭、上場記念配当含む)となり、21年6月期予想も9円(各四半期末2円25銭)となる。
株主優待制度については各四半期末時点の株主を対象として実施している。保有期間および保有株式数に応じてクオカードや株主優待ポイントを贈呈(8月24日に拡充を発表、詳細は会社HP参照)する。
■株価は上値試す
株価(20年10月1日付で株式2分割)は上場来高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。11月24日の終値は2228円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS23円47銭で算出)は約95倍、今期予想配当利回り(会社の予想9円で算出)は約0.4%、前期実績PBR(前期実績の非連結BPS171円23銭で算出)は約13倍、時価総額は約242億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)