立花エレテックは戻り試す、21年3月期2Q累計は計画超、通期未定だが下期回復期待

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 立花エレテック<8159>(東1)は産業用機器・電子部品などを扱う技術商社である。新型コロナウイルスによる経済収縮の影響で21年3月期第2四半期累計は大幅減収減益だったが、売上高・利益とも計画を上回った。通期予想は引き続き未定としているが、下期の緩やかな需要回復を期待したい。株価は9月の年初来高値圏から反落したが、大きく下押す動きも見られない。21年3月期業績悪化懸念は織り込み済みだろう。調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。
 
■産業用機器・電子部品を扱う技術商社
 
 産業用機器・電子部品などを扱う技術商社である。仕入先は三菱電機 <6503> および三菱電機グループが合計で約7割を占め、外資系半導体メーカー、ルネサスエレクトロニクス <6723> などが続いている。海外は子会社8社合計14拠点で、中国および東南アジアに展開している。
 
 技術商社の強みを活かして海外ビジネスの拡大、グループシナジーの追求、事業領域の拡大、営業力強化と体質改善を推進している。20年4月には八洲電機 <3153> から八洲電子ソリューションズの株式を譲り受けて子会社化(立花電子ソリューションズに社名変更)した。
 
 20年3月期のセグメント別売上高構成比は、FAシステム事業59%(FA機器35%、FAシステムソリューション11%、産業メカトロニクス4%、産業デバイスコンポーネント8%)、半導体デバイス事業(半導体、電子デバイス)28%、施設事業(空調機器、LED照明、太陽光発電システム、昇降機)11%、その他(MS事業・他)3%で、営業利益構成比はFAシステム事業70%、半導体デバイス事業21%、施設事業9%、その他1%だった。なおMS(マニュファクチャリング・サービス)事業は、金属加工の製造受託(MMS)と電子機器の製造受託(EMS)を統合した事業である。
 
 収益面では全体として企業の設備投資動向が影響し、第2四半期および第4四半期の構成比が高くなる季節特性もある。
 
 6ヶ年中長期経営計画「C.C.J2200」では、2021年の創立100周年を見据えて、確固たる基盤を持った電機・電子の一大技術商社を目指している。
 
■21年3月期2Q累計は計画超、通期未定だが下期回復期待
 
 21年3月期第2四半期累計連結業績は売上高が前年同期比10.5%減の750億08百万円、営業利益が45.5%減の16億45百万円、経常利益が43.3%減の17億90百万円、純利益が25.6%減の16億67百万円だった。特別利益には負ののれん発生益を計上した。
 
 新型コロナウイルスによる経済収縮の影響で需要が減少し、前年比で大幅減収減益だった。ただし売上高・利益とも計画(8月7日公表、売上高730億円、営業利益15億10百万円、経常利益16億60百万円、純利益15億円)を上回った。
 
 FAシステム事業はセンサーを含む制御システム機器が伸長したが全体として需要が減少して15.2%減収・41.7%減益、半導体デバイス事業はM&A(20年4月子会社化した立花電子ソリューションズ)効果で5.6%増収だが45.8%減益、施設事業は更新案件の延期・中止などで26.7%減収・84.8%減益、その他は18.7%減収だが4.6倍増益だった。
 
 通期予想は引き続き未定としている。当面は新型コロナウイルスによる経済収縮の影響を受けるが、下期の緩やかな需要回復を期待したい。なお配当は第2四半期末を7円減配の17円、期末予想を未定としている。
 
■株主優待制度は3月末の株主対象
 
 株主優待制度は毎年3月末現在の100株(1単元)以上保有株主を対象として、継続保有期間および保有株式数に応じてクオカードを贈呈(詳細は会社HP参照)している。
 
■株価は戻り試す
 
 株価は9月の年初来高値圏から反落したが、大きく下押す動きも見られない。21年3月期業績悪化懸念は織り込み済みだろう。調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。11月27日の終値は1737円、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2772円28銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約452億円である。

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