KeyHolderは調整一巡、20年12月期黒字予想で3Q累計営業黒字化

 KeyHolder<4712>(JQ)は総合エンターテインメント事業を中心とする収益柱構築を目指している。20年12月期はM&A効果で黒字予想としている。第3四半期累計は営業黒字化した。新型コロナウイルスでライブやイベントが影響を受けたが、オンラインに切り替えた。当面は新型コロナウイルス感染再拡大の影響が意識されるが、通期ベースでも収益改善を期待したい。株価は上値を切り下げる形だが、調整一巡して出直りを期待したい。

■総合エンターテインメント事業で収益柱構築

 Jトラスト<8508>グループで、17年10月旧アドアーズが持株会社へ移行して商号をKeyHolderに変更した。

 M&Aの積極活用、事業再編・子会社譲渡などによって現在は、アイドルグループ「SKE48」などの管理・運営を行う総合エンターテインメント事業を中心に、バラエティ番組・テレビドラマ・映画製作などを行う映像制作事業、販促企画などを行う広告代理店事業を展開し、新たな収益柱構築を目指している。

 18年3月子会社アドアーズを譲渡してアミューズメント施設運営領域から撤退した。20年9月にはプロスペクト<3528>との株式交換により、キーノートの不動産事業および商業施設建築事業がグループアウトした。

 20年8月には、映像コンテンツやライブコンサートなどのトータルプロデュース事業を行うノース・リバーを連結子会社化、アイドルグループ「乃木坂48」を運営する芸能プロダクション会社の乃木坂LLC(ノース・リバーが持分50%保有)を持分法適用関連会社化した。

 今後の事業体制・主要グループ会社は、アイドルグループ「SKE48」マネジメント等(ライブ・エンタメ事業)のゼスト、トータルプロデュース事業のノース・リバー、アイドルグループ「乃木坂48」運営の乃木坂LLC(持分法適用関連会社)、イベント企画・運営やモデルマネジメント等のホールワールドメディア(角川春樹事務所と合弁)、カラーコンタクトレンズ販売のFA Project、広告代理店事業やデジタル・コンテンツ事業のallfuz、テレビ番組など映像制作事業のUNITED PRODUCTIONS、映像制作関連クリエイター・スタッフ派遣のワイゼンラージとなる。

 コンテンツ開発から総合的なマネタイズまでを構築する体制となった。そして今後は映像コンテンツ業界におけるコンテンツサプライヤーおよびコンテンツホルダーとして、コンテンツ(アーティスト、タレント、プロスポーツ選手など)の拡充、グループリソースを活用した展開をサポートするためのエージェント機能の強化、媒体・モデルを活用した情報発信などを推進し、グループシナジーによって新たな収益柱の構築を目指す方針だ。

■20年12月期黒字予想で3Q累計営業黒字化

 20年12月期の連結業績(IFRS)予想は、売上収益が80億円、営業利益が3億円、親会社所有者帰属当期利益が4億円としている。キーノートのグループアウトに伴って、第3四半期決算で不動産事業および商業施設建築事業を非継続事業に分類して表示するため、8月12日に、従来予想に対して売上収益を60億円、営業利益を2億円、それぞれ下方修正し、当期利益は据え置いた。なお配当予想は株式併合に伴って10円(期末一括)に修正しているが、実質的な変更はない。

 第3四半期累計は売上収益が62億77百万円、営業利益が20百万円の黒字、親会社所有者帰属四半期利益が43百万円の赤字だった。

 新型コロナウイルスでライブやイベントの中止、所属アーティストの活動自粛などの影響を受けたが、オンラインに切り替えて活動を推進した。セグメント別利益は総合エンターテインメント事業が7億22百万円、映像制作事業が1億32百万円、広告代理店事業が3億06百万円の赤字、その他事業が21百万円の赤字だった。

 なお第3四半期に、ノース・リバーを連結子会社化、アイドルグループ「乃木坂46」運営の乃木坂46合同会社を持分法適用会社化、株式交換で譲渡したキーノートの不動産事業・商業施設建築事業を非継続事業に分類して表示している。また減損処理による投資有価証券評価損2億14百万円を計上した。

 当面は新型コロナウイルス感染再拡大の影響が意識されるが、通期ベースでも収益改善を期待したい。

■株主優待制度を変更

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は19年3月期末から対象株主を1000株(10単元)以上保有株主に変更した。さらに決算期変更、新型コロナウイルスの影響、株式併合(20年8月15日付で10株を1株に併合)に伴って、基準日を毎年12月31日に変更している。また11月11日には新たな株主優待として「KeyHolder Premium Club」を開始すると発表した。300株以上保有株主を対象に、保有株式数に応じてポイントを付与する。

■株価は調整一巡で出直りに期待

 株価(20年8月15日付で10株を1株に併合、1株当たり数値は株式併合後)は上値を切り下げる形だが、調整一巡して出直りを期待したい。11月27日の終値は1043円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS24円50銭で算出)は約43倍、今期予想配当利回り(会社予想の10円で算出)は約1.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS724円30銭で算出)は約1.4倍、時価総額は約173億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■シスルナ経済圏構築に向け、グローバルなパートナーシップを強化  ispace(アイスペース)<9…
  2. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  3. ■物価高・人手不足が直撃、倒産件数29カ月連続で増加  帝国データバンクの調査によると、倒産件数が…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る