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うかいは調整一巡、21年3月期は新型コロナ影響だが後半緩やかな回復期待
- 2020/11/30 08:40
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
うかい<7621>(JQ)は高級和食・洋食料理店を主力として、文化事業も展開している。21年3月期第2四半期累計は新型コロナウイルスの影響で大幅減収・赤字だったが、第2四半期の売上は第1四半期に比べて回復傾向となった。通期予想は引き続き未定としている。感染再拡大の影響が警戒され、当面は厳しい状況だが、後半も緩やかな回復を期待したい。なお影響長期化に備えて取引金融機関とコミットメントライン契約を締結しており、資金面の不安はない。株価は戻り高値圏から反落したが、業績悪化懸念を織り込み済みだろう。調整一巡して出直りを期待したい。
■高級和食・洋食料理店が主力
高級和食・洋食料理店の事業本部(和食事業、洋食事業、物販事業)を主力に、文化事業(箱根ガラスの森美術館)も展開している。
20年3月期の売上高構成比は、事業本部が92%(和食39%、洋食43%、物販・その他11%)で、文化事業が8%だった。店舗数は和食事業7店舗、洋食事業8店舗である。物販事業は「アトリエうかい」の常設店、ECサイト、百貨店の催事出店での販売などを展開している。なお収益面では第3四半期の構成比が高い季節特性がある。
海外は、17年11月台湾・高雄市のホテル「シルクスクラブ」内に1号店「うかい亭 高雄」をグランドオープン、19年1月台湾・台北市の商業施設「微風南山」内に2号店「ザ・ウカイ・タイペイ」をオープンした。
中期成長戦略として、ブランドの向上と確立(オンリーワンの店づくり)、安定的な収益基盤の再構築、戦略的・中長期的な人材育成、財務体質の改善を推進している。飲食事業における顧客ニーズ多様化に対応した新メニュー開発、郊外店舗の集客力の底上げ、物販事業における「アトリエうかい」既存4店舗の成長促進、文化事業におけるイベント企画強化など、収益力向上に向けた施策を推進する方針だ。
■21年3月期は新型コロナ影響だが後半緩やかな回復期待
21年3月期第2四半期累計の業績(非連結)は、売上高が前年同期比52.8%減の32億93百万円で、営業利益が9億18百万円の赤字(前年同期は29百万円の黒字)、経常利益が8億94百万円の赤字(同11百万円の黒字)、純利益が11億72百万円の赤字(同16百万円の黒字)だった。
新型コロナウイルスの影響で大幅減収・赤字だった。なお特別利益には19年10月の台風19号によって被災した資産に係る保険金収入1億23百万円、雇用調整助成金収入1億75百万円、特別損失には臨時休業による損失(人件費、賃借料、減価償却費など店舗休業期間中に発生した店舗固定費)5億58百万円を計上した。
ただし四半期別の売上高を見ると、第1四半期(4月~6月)は緊急事態宣言に伴って4月~5月に店舗臨時休業を実施したため8億53百万円だったが、6月から全店舗の営業を再開して、第2四半期(7月~9月)は24億40百万円となり、回復傾向を強めている。
また月次売上状況(前年比、全店・既存店とも同数)は、20年4月が6.6%、5月が6.9%、6月が56.8%、7月が65.1%、8月が71.2%、9月が78.7%、10月が94.4%(台風19号の影響を受けなかった一昨年との比較では全店83.1%、既存店80.1%)となっている。4月と5月は緊急事態宣言で大幅に落ち込んだが、営業再開後の6月以降は徐々に減収幅が縮小している。
新型コロナウイルスの影響を強く受けるため通期予想は引き続き未定としている。感染再拡大の影響が警戒され、当面は厳しい状況だが、後半も緩やかな回復を期待したい。
■資金面の不安なく、リスクマネジメントを評価
なお新型コロナウイルスの影響が長期化する可能性に備えて、20年4月および6月に取引金融機関4行と総額73億円のコミットメントライン契約を締結しており、資金面の不安はない。
20年3月期有価証券報告書の「事業等のリスク」欄には、「新型コロナウイルスの影響で売上高が著しく減少し、継続企業の前提に関する重要事象を生じさせるような状況が存在しているが、財務基盤を安定させるためキャッシュ・フロー改善の推進、設備投資や経費の見直しなどの対策を行っていることに加えて、コミットメントライン契約を締結して機動的な資金調達手段を確保していることにより、継続企業の前提に重要な不確実性は認められないと判断している」との内容が記載されている。資金面に不安はなく、リスクマネジメントが強化されていることを評価したい。
■株主優待制度は毎年9月末の株主対象
株主優待制度は毎年9月末時点の1単元(100株)以上保有株主を対象として、保有株式数に応じて優待券などを贈呈(詳細は会社HP参照)している。
■株価は調整一巡
株価は戻り高値圏から反落したが、新型コロナウイルスによる業績悪化懸念を織り込み済みだろう。調整一巡して出直りを期待したい。11月27日の終値は3055円、前期実績PBR(前期実績のBPS860円44銭で算出)は約3.6倍、時価総額は約160億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)