- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- サンコーテクノは調整一巡、21年3月期は通期も上振れ余地
サンコーテクノは調整一巡、21年3月期は通期も上振れ余地
- 2020/11/30 07:47
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
サンコーテクノ<3435>(東2)は、建設用あと施工アンカーなどのファスニング事業を主力として、機能材事業も展開している。21年3月期第2四半期累計は包装・物流機器関連の好調などで計画を上回り、減益予想から一転して2桁増益で着地した。通期は新型コロナウイルスの影響などを考慮して減益予想を据え置いたが、上振れ余地がありそうだ。株価は反発力が鈍く安値圏でモミ合う形だが調整一巡感を強めている。低PBRも評価材料として出直りを期待したい。
■ファスニング事業と機能材事業を展開
ファスニング事業(あと施工アンカーやドリルビットの製造販売、太陽光関連・土木建築関連の工事管理など)を主力として、機能材事業(電動油圧工具関連、FRPシート関連、車両の表示板などの電子プリント基板関連、アルコール検知器関連の製造販売など)も展開している。
20年3月期セグメント別売上高構成比はファスニング事業が76%、機能材事業が24%、営業利益構成比(連結調整前)はファスニング事業が81%、機能材事業が19%だった。建設投資関連が主力のため、収益は期後半の構成比が高い特性がある。
ファスニング事業では、あと施工アンカー(コンクリート用特殊ネジ・釘類)やドリルビットの開発・製造・販売、太陽光関連・土木建築関連の工事管理などを展開している。あと施工アンカーの最大手である。
機能材事業では、19年2月に電子基板事業の強化に向けてプリント基板表面実装・加工の浦和電研を子会社化した。また19年4月には事業多角化に向けてプラスチック成形機・包装機輸入販売の成光産業・成光パックを子会社化した。
■営業利益率8.0%以上目指す
新中期経営ビジョンでは、中長期目標数値に売上高成長率5.0%以上、営業利益率8.0%以上を掲げ、安定成長実現に向けた基盤・体制の強化を推進している。
建設現場では現場作業の省力化・機械化ニーズの高まりや非熟練作業者の増加が予想され、現場での使いやすさを高めた施工ツール、あと基礎アンカー、アンカー打込機、紫外線硬化FRPシートといった製品の需要増が期待される。都市再開発や国土強靭化政策などで中期的に事業環境は良好である。
20年10月には、付帯設備の撤去・更新に伴う使用後のアンカーの取り扱いが重要視されていることに対応して、拡底式「メタルアンダーカットアンカー」を新発売した。少ない作業工程で精確に拡底し、使用後の完全な抜き取りも可能となる。
■21年3月期2Q累計は計画超で2桁増益、通期も上振れ余地
21年3月期連結業績予想は、売上高が20年3月期比2.7%減の180億円、営業利益が22.4%減の11億70百万円、経常利益が22.2%減の11億90百万円、純利益が20.7%減の8億円としている。配当予想は20年3月期と同額の26円(期末一括)としている。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比2.2%減の85億45百万円、営業利益が16.4%増の6億62百万円、経常利益が15.4%増の6億63百万円、純利益が23.2%増の4億50百万円だった。
減益予想から一転して2桁増益で着地した。売上面でファスニング事業が新型コロナウイルスによる工事中断・工期ズレ込みなどの影響を受けたが、機能材事業で成光産業グループの包装・物流機器関連が寄与した。コスト面で新型コロナウイルスに伴う営業活動自粛で販管費が減少したことも寄与した。ファスニング事業は3.9%減収で2.2%減益、機能材事業は3.2%増収で50.0%増益だった。
通期予想は据え置いた。売上高の計画は、ファスニング事業が0.7%減の139億10百万円、機能材事業が8.8%減の40億90百万円としている。ファスニング事業は新型コロナウイルスによる設備投資抑制の影響を想定し、機能材事業では電動油圧工具や電子基板関連の需要減少を見込んでいる。
第2四半期累計の進捗率は売上高が47.5%、営業利益が56.6%と概ね順調だった。通期は新型コロナウイルスの影響などを考慮して減益予想を据え置いたが、上振れ余地がありそうだ。
■株主優待制度は毎年3月末の株主対象
株主優待制度は毎年3月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して、QUOカード500円分を贈呈(詳細は会社HP参照)している。
■株価は調整一巡
なお11月19日に自己株式立会外買付取引(ToSTNeT―3)で22万2000株を買い付ける予定だったが、売却株主との間で売却日時に関する認識および発行手続等に不備が生じて売り注文が出されなかったため、取引不成立となった。改めて買い付けを行う予定としている。
株価は反発力が鈍く安値圏でモミ合う形だが調整一巡感を強めている。低PBRも評価材料として出直りを期待したい。11月27日の終値は904円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS99円01銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約2.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1583円46銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約79億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=3435.T&d=6m