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トーセは調整一巡感、21年8月期減益予想だが上振れ余地
- 2020/11/30 07:34
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
トーセ<4728>(東1)は家庭用ゲームソフト開発・制作請負の専業最大手である。21年8月期は開発体制充実・強化に向けた人材投資などの影響で減益予想だが、次世代ゲーム機向けソフトや5G対応モバイルゲームなどで市場の活性化が期待されていることを考慮すれば、上振れ余地がありそうだ。株価は戻り高値圏から反落したが調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。
■家庭用ゲームソフト開発・制作請負の専業最大手
家庭用ゲームソフト開発・制作請負の専業最大手で、デジタルエンタテインメント事業(ゲームソフト関連、モバイルコンテンツ関連、パチンコ・パチスロ関連などデジタルコンテンツの企画・開発・運営の受託)、その他事業(SI事業、家庭用カラオケ楽曲配信事業、新規事業の創出)を展開している。
20年8月期の売上高構成比はデジタルエンタテインメント事業が88%、その他事業が12%、営業利益構成比はデジタルエンタテインメント事業が86%、その他事業が14%だった。
収益は開発業務の進行に合わせて受け取る開発売上、コンテンツ配信後の運営に伴う運営売上、コンテンツ販売数量に基づくロイヤリティ売上である。大型案件の開発受託の有無や、開発完了・売上計上時期などによって変動しやすい特性がある。またプロジェクトの大型化に伴って開発期間が長期化する傾向を強めている。
複雑化・多様化するゲーム市場において、豊富なパイプライン展開を可能とする多彩な技術ポートフォリオ、長年の実績とノウハウに基づく信用力、開発売上とストック型の運営売上を持つ安定的なビジネスモデルを特徴としている。
なお、こどもたちの命を守りたいと願う企業・団体が一体となって生まれた「京のこどもを守るプロジェクト」に協賛している。20年9月には、交通安全グッズとしてスウェーデン生まれのリフレクター(反射板)「グリミス」を、京都市交通対策協議会に寄付した。
■21年8月期は人材投資で減益予想だが上振れ余地
21年8月期の連結業績予想は、売上高が20年8月期比7.4%減の52億15百万円、営業利益が31.4%減の2億50百万円、経常利益が29.2%減の2億74百万円、純利益が28.5%減の1億62百万円としている。配当予想は20年8月期と同額の25円(第2四半期末12円50銭、期末12円50銭)である。
セグメント別の売上高は、デジタルエンタテインメント事業が6.0%減の46億56百万円(売上構成比はモバイルコンテンツ関連が49.5%、パチンコ・パチスロ関連が3.1%、ゲームソフト関連が47.4%)で、その他事業がITシステム開発案件の減少で18.2%減の5億59百万円としている。
開発完了タイトルの見込みは、スマートフォン向けゲームが6本(全てが通常よりも小規模なリメイク版)、据置型ゲーム機向けソフトが1本(マルチプラットフォーム向け)としている。また大型案件(開発金額50百万円以上、試作案件含む)は12件の計画である。
21年8月期は先行投資の影響で減収減益予想としている。次世代ゲーム機「プレイステーション5」「Xbox Series X/S」の登場でソフト開発需要が高まるため、来期(22年8月期)以降の開発完了に向けた仕込みの期と位置付けて、大規模・高度化開発に耐えうる開発体制の充実・強化に向けて人材投資などを推進する方針だ。
ただし次世代ゲーム機向けソフトや5G対応モバイルゲームなどで市場の活性化が期待されていることを考慮すれば、会社予想はやや保守的だろう。上振れ余地がありそうだ。
■株価は調整一巡感
株価は21年8月期減益予想を嫌気する形で10月の戻り高値圏から反落したが、調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。11月27日の終値は880円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS21円44銭で算出)は約41倍、今期予想配当利回り(会社予想の25円で算出)は約2.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS789円02銭で算出)は約1.1倍、時価総額は約68億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)