【決算記事情報】科研製薬は21年3月期減収減益予想
- 2020/11/30 11:25
- 決算発表記事情報
科研製薬<4521>(東1)は皮膚科・整形外科領域が主力の医薬品メーカーである。21年3月期第2四半期累計は、薬価改定の影響や新型コロナウイルスに伴う医療機関受診抑制の影響で減収減益だった。期初計画に対して下振れた。通期予想は下方修正して、従来予想に比べて減収減益幅が拡大する見込みとした。下期は新型コロナウイルス感染再拡大の影響が懸念されるが、一段の下振れリスクは小さいだろう。
■皮膚科・整形外科領域が主力の医薬品メーカー
皮膚科・整形外科領域が主力の医薬品メーカーで、農業薬品、飼料添加物、不動産賃貸(文京グリーンコート関連賃貸)なども展開している。
主要製品は外用爪白癬治療剤のクレナフィン、関節機能改善剤のアルツ、癒着防止吸収性バリアのセプラフィルム、創傷治癒促進剤のフィブラストスプレー、排尿障害改善剤のエブランチル、歯周組織再生剤のリグロス、腰椎椎間板ヘルニア治療剤のヘルニコア、およびジェネリック医薬品である。
外用爪白癬治療剤のクレナフィンの海外展開は導出先のMain Life社(中国)が20年3月香港で販売開始、20年9月マカオで販売開始した。
日本初の原発性腋窩多汗症用外用剤エクロック(開発コードBBI-4000、米国Brickell Biotechから導入)は、20年9月国内製造販売承認取得して20年11月販売開始した。
■開発パイプライン
21年3月期第2四半期末時点の主要開発パイプラインの状況は、熱傷焼痂除去を適応症とするKMW-1(メディウンド社から導入、海外製品名NexoBrid)が第3相段階、アタマジラミ症を適応症とするKAR(イベルメクチン)(アーバー社から導入、海外製品名Sklice)が第3相準備中、爪白癬症を適応症とするKP-607(自社創薬)が第2相段階である。
提携先が治験中の案件として、レナバサム(米国コーバス社から導入)は、コーバス社が全身性強皮症を適応症として国際共同第3相段階、皮膚筋炎を適応症として国際共同第3相段階である。なお20年9月にはコーバス社が、全身性強皮症を対象とした第3相臨床試験の結果速報を発表している。
尋常性乾癬を適応症とするKP-470(自社創薬)は、導出先のボシュ・ヘルス社の治験が完了し、他の適応症での開発を同社と協議中である。
■21年3月期2Q累計は減収減益で計画未達、通期予想を下方修正
21年3月期第2四半期累計の連結業績(10月27日に下方修正)は、売上高が前年同期比18.6%減の367億89百万円で、営業利益が28.8%減の97億82百万円、経常利益が28.1%減の100億10百万円、純利益が24.3%減の72億26百万円だった。
薬価改定の影響や新型コロナウイルスに伴う医療機関受診抑制の影響で減収減益だった。期初計画(売上高410億円、営業利益109億円、経常利益111億円、純利益79億円)に対して下振れた。研究開発費は2.0%減の32億67百万円だった。特別利益には固定資産売却益3億78百万円を計上し、特別損失では前期計上の減損損失2億66百万円が剥落した。
主要医薬品の売上はクレナフィンが16.0%減収、アルツが26.2%減収、セプラフィルムが12.4%減収、フィブラストスプレーが11.2%減収、エブランチルが1.8%減収、リグロスが0.9%増収、ヘルコニアが12.6%減収、ジェネリック医薬品が17.3%減収だった。
21年3月期通期の連結業績予想(10月27日に下方修正)は、売上高が20年3月期比13.5%減の772億円、営業利益が31.7%減の181億円、経常利益が31.3%減の185億円、純利益が30.8%減の134億円としている。
通期ベースでも、薬価改定の影響や新型コロナウイルスに伴う医療機関受診抑制の影響を受け、従来予想に比べて減収減益幅が拡大する見込みとした。研究開発費の計画(27.8%増の82億円)は据え置いた。
主要医薬品の売上計画はクレナフィンが9.2%減収、アルツが19.3%減収、セプラフィルムが5.6%減収、フィブラストスプレーが7.1%減収、エブランチルが1.5%減収、リグロスが2.5%増収、ヘルコニアが5.0%増収、ジェネリック医薬品が13.6%減収としている。
第2四半期累計の進捗率は売上高が47.7%、営業利益が54.0%、経常利益が54.1%、純利益が53.9%である。下期は新型コロナウイルス感染再拡大の影響が懸念されるが、一段の下振れリスクは小さいだろう。
なお配当予想は据え置いて20年3月期と同額の150円(第2四半期末75円、期末75円)としている。また5月22日発表の自己株式取得(上限60万株・35億円、取得期間20年5月25日~20年12月25日)は、20年11月9日時点で累計取得株式数60万株となって終了した。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)