神鋼商事は下値切り上げ、21年3月期は後半需要回復期待

 神鋼商事<8075>(東1)は鉄鋼や非鉄金属関連などを扱う商社で、KOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核となるグローバル商社を目指している。21年3月期は新型コロナウイルスによる世界経済収縮の影響で減収減益予想としている。感染再拡大も懸念材料となるが、後半に需要が回復に向かうことを期待したい。株価は安値圏でモミ合う形だが徐々に下値を切り上げている。低PBRも評価して出直りを期待したい。

■KOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核商社

 神戸製鋼所<5406>系で、鉄鋼製品(鋼板製品、線材製品など)、鉄鋼原料(輸入鉄鋼原料、合金鉄、コークスブリーズなど)、非鉄金属(銅製品、アルミ製品、非鉄金属地金・スクラップなど)、機械・情報(ゴム・タイヤ機械、製鉄・非鉄機械、化学機械、環境関連機器、電池用材料、液晶用材料、PC部品など)、溶接材料・機器(溶接材料、溶接関連機器、溶接ロボットシステムなど)を扱う商社である。

 M&Aも積極活用してグローバルビジネスを加速し、KOBELCO(神戸製鋼グループ)の中核となるグローバル商社を目指している。19年7月には非鉄金属セグメントにおいて、連結子会社のコベルコ筒中トレーディングと中山金属が合併し、神鋼商事メタルズとして営業開始した。

 20年3月期のセグメント別経常利益構成比は、鉄鋼が7%、鉄鋼原料が17%、非鉄金属が35%、機械・情報が33%、溶材が10%、その他が▲1%だった。鉄鋼、鉄鋼原料、非鉄金属は、取扱数量と市況の影響を受けて収益が変動しやすい特性がある。

■21年3月期減収減益予想、後半需要回復期待

 21年3月期連結業績予想(期初時点では未定、9月18日に公表)は、売上高が20年3月期比19.9%減の7500億円、営業利益が44.1%減の27億円、経常利益が31.5%減の27億円、純利益が50.9%減の8億円としている。配当予想は60円減配の30円(第2四半期末15円、期末15円)である。

 セグメント別経常利益の計画は、鉄鋼が2.0億円の赤字(20年3月期比4.6億円減益)、鉄鋼原料が5.0億円(同1.7億円減益)、非鉄金属が9.0億円(同5.0億円減益)、機械・情報が13.0億円(同0.1億円増益)、溶材が2.0億円(同1.8億円減益)としている。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比28.4%減の3470億70百万円、営業利益が61.5%減の13億80百万円、経常利益が52.2%減の16億18百万円、純利益が71.7%減の4億88百万円だった。新型コロナウイルスによる世界経済収縮の影響で大幅減収減益だった。特別損失には投資有価証券評価損を計上した。

 鉄鋼は28.4%減収で73.4%減益だった。国内向けは鋼板製品、線材製品の数量が減少し、海外子会社の自動車向け数量も減少した。鉄鋼原料は38.3%減収で80.8%減益だった。輸入鉄鋼原料、チタン原料の数量が減少し、市況低迷で海外子会社の収益が悪化した。非鉄金属は23.8%減収で25.9%減益だった。銅製品で端子コネクター向け板条、空調向け銅管、アルミ製品で自動車向けアルミ板・押出材が減少した。

 機械・情報は0.6%減収だが27.0%増益だった。建設機械部品や液晶用材料が減少したが、圧延設備、電池材料、HD関連機器が増加した。溶材は21.2%減収で79.3%減益だった。溶接材料は造船・鉄骨・自動車・建設機械向けが減少し、関連機器の鉄骨溶接ロボットも減少した。

 第2四半期累計の進捗率は売上高が46.3%、経常利益が59.9%と順調だったが、通期ベースでも新型コロナウイルスによる世界経済収縮の影響で主要商品の需要が大幅に減少する見込みだ。また原油価格低迷に伴って米国エネルギー事業の環境が悪化しているため、北米子会社が保有する関連商品の在庫減損を見込み、一部の海外事業の不振に伴って投資有価証券の減損も見込んでいる。感染再拡大も懸念材料となるが、後半に需要が回復に向かうことを期待したい。

■株価は下値切り上げ

 株価は安値圏でモミ合う形だが徐々に下値を切り上げている。低PBRも評価して出直りを期待したい。12月2日の終値は1882円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS90円35銭で算出)は約21倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS5920円30銭で算出)は約0.3倍、時価総額は約167億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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