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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】スターティアは16年3月期大幅営業増益予想を評価してボックスレンジ下限から出直り
- 2015/5/28 08:01
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
スターティア<3393>(東1)は電子書籍関連のウェブソリューション事業などを展開している。株価は4月の年初来高値1809円から反落し、やや乱高下する場面もあったが、1500円台で調整一巡感を強めている。大勢としては1500円~1800円近辺でのボックス展開のようだ。16年3月期大幅営業増益予想を評価してレンジ下限から出直り展開だろう。
電子ブック作成ソフト「ActiBook」やWebアプリケーションを開発・販売するウェブソリューション関連事業、ネットワークアウトソーシング環境やクラウドサービスを提供するネットワークソリューション関連事業、ビジネスホンやMFP(複合機)などOA機器を販売するビジネスソリューション関連事業を展開している。
主力の電子ブック作成ソフト「ActiBook」は、一つのソフトでマルチデバイスへの書き出しが可能な「ワンオーサリングマルチデバイス」を実現し、拠点間で利用可能なSaaS型サービスを提供している。導入実績は15年3月末現在で2365社に達している。15年3月には、KADOKAWA アスキー・メディアワークスが提供する本格派オトナ女子をターゲットとする「コミック イット」に閲覧ソフトとして採用された。
大手との競合が少ない従業員300人未満の中堅・中小企業をターゲットとして、ITインフラのワンストップソリューションを提供するとともに、ストック型収益の拡大を推進している。アジア市場へも本格的に事業展開する方針だ。無借金経営であり財務の健全性の高さも特徴だ。
業容拡大に向けてM&A・アライアンス戦略を積極推進している。14年8月にはホスティングサービス運用や独自ハードウェア開発のエーティーワークスと資本業務提携(17年3月末までに株式25%取得予定)し、個人・法人向けPCトラブル訪問サービスの日本PCサービス<6025>と業務提携した。
14年11月には回線敷設代行業務や一括請求サービスを展開する子会社クロスチェックを設立し、サービス販路開拓に向けてリボルバーと資本業務提携した。14年12月にはシステムインテグレーションのネクストイットの技術本部の一部事業(常駐派遣事業など)および技術者21名を承継した。
15年3月には、オウンドメディア構築事業のリボルバーとの資本業務提携の一環として、企業が低価格で簡単にオウンドメディアを発刊できる企業向けWEBマーケティング戦略支援サービスの開始を発表した。オウンドメディアは企業自らの情報公開や大量コンテンツ配信が可能となるため、マスメディア、ソーシャルメディアに続く第三のメディアとして、企業のマーケティングやブランディングへの応用が期待されている。
また5月27日には、東京・横浜・大阪に40拠点以上のレンタルオフィスを提供するアセットデザイン(東京都)との業務提携を発表した。同社はレンタルオフィスへの新規入居者に対して、6月1日から当社の法人向けオンラインストレージを無料で提供する。両社の事業を組み合わせることで、起業家の支援および事業シナジーを生み出す狙いだ。
5月8日に発表した前期(15年3月期)の連結業績(4月30日に売上高と営業利益を減額、経常利益と純利益を増額)は、売上高が前々期比6.3%増の86億82百万円、営業利益が同10.0%減の7億47百万円、経常利益が同2.6%増の8億78百万円、純利益が同37.2%増の5億92百万円だった。
配当予想(4月30日に期末15円の内訳を修正)は年間20円(第2四半期末5円=普通配当、期末15円=普通配当12円43銭+記念配当2円57銭)とした。配当性向は17.2%で、前々期の年間15円(期末一括=普通配当8円55銭+記念配当6円45銭)との比較では5円増配となる。ROEは同2.7ポイント上昇して15.9%、自己資本比率は同2.6ポイント上昇して70.2%となった。
ウェブソリューション関連事業の第3四半期(10月~12月)が低調だったため、通期売上高は計画を下回ったが前々期比では増収を確保した。営業利益は新卒採用、ホスティングサービスでのセキュリティ強化、アジア地域への事業展開など、中期成長に向けた先行投資負担も影響して減益だった。経常利益は為替差益や持分法投資利益が寄与して増益、純利益は投資有価証券売却益計上や保険解約返戻金発生も寄与して増益だった。
セグメント別の動向を見ると、ウェブソリューション関連事業は売上高が同5.0%増の20億41百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同11.2%増の3億59百万円だった。ネットワークソリューション関連事業は売上高が同12.6%増の24億32百万円、営業利益が同32.8%減の2億02百万円だった。ビジネスソリューション関連事業は売上高が同3.6%増の42億08百万円、営業利益が同8.5%減の2億32百万円だった。なおストック型の売上高は同12.1%増の29億08百万円、売上構成比は33.5%で同1.7ポイント上昇した。
四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)19億11百万円、第2四半期(7月~9月)21億34百万円、第3四半期(10月~12月)20億21百万円、第4四半期(1月~3月)26億16百万円で、営業利益は第1四半期6百万円、第2四半期2億47百万円、第3四半期42百万円、第4四半期4億52百万円だった。第4四半期の構成比が高い収益構造である。
今期(16年3月期)の連結業績予想(5月8日公表)は、売上高が前期比15.2%増の100億円、営業利益が同51.8%増の11億34百万円、経常利益が同29.2%増の11億34百万円、純利益は同4.2%減の5億67百万円としている。配当予想については同3円減配の年間17円(第2四半期末6円、期末11円)としている。
新卒70名の採用、ホスティングサービスにおけるセキュリティ強化、アジア地域への事業展開など、中期成長に向けた大規模な先行投資を継続するが、ストック型収益の拡大、海外事業の収益均衡化などで大幅増収、大幅営業増益見込みだ。
セグメント別売上高の計画はウェブソリューション関連事業が同23.6%増の25億23百万円、ネットワークソリューション関連事業が同0.2%減の24億29百万円、そしてビジネスソリューション関連事業が同18.5%増の49億86百万円としている。なおストック型の売上高は同10.1%増の32億円の計画としている。
14年8月発表の「新・中期3ヵ年利益計画」では、連結経常利益の目標値として15年3月期8億66百万円、16年3月期11億34百万円、17年3月期14億円を掲げている。初年度15年3月期は先行投資負担で小幅な伸びにとどまるが、2年目16年3月期以降は先行投資を平常に戻しつつ、成長路線を継続する計画だ。規模拡大や継続的成長に向けてM&A・アライアンス戦略も積極推進する。中期的に収益拡大基調だろう。
なお当社株式の分布状況改善および流動性向上を目的として5月21日に立会外分売を実施した。分売株式数は16万2500株、分売値段は1516円だった。
株価の動きを見ると、動意づいた4月の年初来高値1809円から反落し、やや乱高下する場面もあったが、1500円台で調整一巡感を強めている。
5月27日の終値1574円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS111円24銭で算出)は14~15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間17円で算出)は1.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS779円80銭で算出)は2.0倍近辺である。
週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んで調整局面の形だが、大勢としては1500円~1800円近辺でのボックス展開のようだ。16年3月期大幅営業増益予想を評価してレンジ下限から出直り展開だろう。