エスプールはモミ合い上放れ期待、21年11月期も収益拡大基調

 エスプール<2471>(東1)はロジスティクスアウトソーシング、障がい者雇用支援・就労移行支援サービス、コールセンター業務などの人材サービス事業を展開している。20年11月期大幅増収増益予想で上振れ余地がありそうだ。そして21年11月期も収益拡大基調だろう。株価は戻り高値圏でモミ合う形だが、調整一巡して上放れを期待したい。なお1月13日に20年11月期決算発表を予定している。

■ロジスティクス、障がい者雇用支援、コールセンターなど人材サービス事業

 ビジネスソリューション事業(障がい者雇用支援サービス、ロジスティクスアウトソーシングサービス、セールスサポートサービス、新規事業)、および人材ソリューション事業(コールセンター向け派遣、販売・営業スタッフ派遣、ストアスタッフ派遣など)を展開している。

 19年11月期の売上構成比はビジネスソリューション事業が29%、人材ソリューション事業が71%、営業利益構成比(連結調整前)はビジネスソリューション事業が56%、人材ソリューション事業が44%だった。

 障がい者雇用支援サービス「わーくはぴねす農園」は19年11月期末時点で全国18農園、利用企業数259社、管理区画数2961区画、就業障がい者数1480名だった。

 20年3月には千葉県船橋市、20年6月には埼玉県川越市と愛知県小牧市に開設した。20年8月には東京都板橋区に初の屋内型農園を開設した。従来型の農園はビニールハウス型で概ね3000坪を超える敷地を必要としていたが、台風など自然災害の影響を踏まえ、屋外作業に適さない方にも就労機会を提供することを目的として屋内型を開設した。屋内型は倉庫や建物の活用を前提としているため立地面において柔軟性が高い。

 20年11月には千葉県柏市に全国23番目の施設を開設した。また21年10月期には関西エリアにも進出予定(大阪府枚方市と農福連携による障害者就労の充実に関する協定を締結)である。

 採用支援サービス「OMUSUBI」はエスプールリンクが事業展開し、飲食チェーンや小売業を中心に約120社の求人応募の受付業務を行っている。エスプールリンクは20年2月クラウド型OJTシステムのClipLineと業務提携、20年3月採用支援サービスのZENKIGENに出資、健康経営支援サービスのメンタルヘルステクノロジーズに出資した。

 20年5月にはZENKIGEN、ワークスタイルテック、およびイレブンと4社合同で、企業間が期間限定で従業員をシェアし合うプラットフォーム「超企業 従業員プラットフォーム」を開設した。20年9月にはアルバイト・パート採用に特化した適性診断サービス「Talentgram」の提供を開始した。11月13日にはアルバイト・パート採用に特化したWEB面接代行サービス「Faceview」の提供開始を発表した。

 なお20年6月には、エコノス<3136>の子会社でカーボンオフセット事業を展開するブルードットグリーンの株式を取得して子会社化している。新サービス開発に取り組む。

■20年11月期上振れ余地、21年11月期も収益拡大基調

 20年11月期の連結業績予想は売上高が19年11月期比17.8%増の206億36百万円、営業利益が24.7%増の20億円、経常利益が22.3%増の19億88百万円、純利益が19.0%増の12億88百万円としている。

 配当予想は1円30銭増配の3円30銭(期末一括)としている。連続増配予想である。なお配当の基本方針は20年11月期から変更した。連結配当性向20%を目安とし、減益の場合でも単年度での連結配当性向60%を超えるまで減配しないとしている。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比20.2%増の152億68百万円、営業利益が29.5%増の15億59百万円、経常利益が28.5%増の15億57百万円、純利益が33.8%増の10億38百万円だった。計画超の大幅増収増益で着地した。

 人材ソリューション事業は23.3%増収で42.9%増益だった。コールセンター派遣がスポット案件の取り込みも寄与して31%増収と大幅伸長した。販売支援は新型コロナウイルスの影響で15%減収だが、第3四半期に底打ちの兆しを見せている。

 ビジネスソリューション事業は12.8%増収だが、新型コロナウイルスの影響で1.7%減益だった。障がい者雇用支援サービスは16%増収だが、新型コロナウイルスの影響で営業や教育訓練が遅れ、愛知小牧農園の納品ズレ込みも影響して区画販売が計画を下回った。EC通販発送代行サービスは巣ごもり消費で好調を維持している。採用支援サービス「OMUSUBI」は飲食業の求人回復が鈍い状況だが、スーパーや介護など新型コロナウイルスの影響が少ない業種を中心に業務が拡大し、全体として34%増収だった。

 通期セグメント別計画は、ビジネスソリューション事業の売上高が23.2%増の62億14百万円(障がい者雇用支援サービスが28%増収、ロジスティクスアウトソーシングサービスが9%増収、採用支援サービスが37%増収など)で営業利益が19.4%増の18億08百万円、人材ソリューション事業の売上高が15.9%増の145億円(コールセンター業務が14%増収、店頭販売支援が20%増収など)で営業利益が19.1%増の14億10百万円としている。

 障がい者雇用支援サービスは、新型コロナウイルスの影響で第3四半期の販売が計画を下回ったが、営業や教育訓練が徐々に正常化して計画達成を目指す。ロジスティクスアウトソーシングサービスは収益性向上に向けて、坪当たり売上高の向上に注力する。

 第3四半期累計の進捗率は売上高が74.0%、営業利益が77.9%と順調であり、通期予想に上振れ余地がありそうだ。そして21年11月期も収益拡大基調だろう。

■株価はモミ合い上放れ期待

 株価は戻り高値圏でモミ合う形だが、調整一巡して上放れを期待したい。12月9日の終値は732円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS16円31銭で算出)は約45倍、前期推定配当利回り(会社予想の3円30銭で算出)は約0.5%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS38円42銭で算出)は約19倍、時価総額は約578億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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