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クレスコは反発の動き、21年3月期は新型コロナ影響だが前年並み業績確保を目指す
- 2020/12/16 08:42
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
クレスコ<4674>(東1)はビジネス系ソフトウェア開発を主力として、組込型ソフトウェア開発も展開している。21年3月期は新型コロナウイルス影響による受注減少、子会社における不採算プロジェクトの発生などのマイナス要因があるが、前年並みの業績確保を目指すとしている。後半の挽回を期待したい。株価は安値圏だが、下値固め完了して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。
■ビジネス系ソフトウェア開発が主力で組込型ソフトウェア開発も展開
ビジネス系ソフトウェア開発(アプリケーション開発、基盤システム構築)事業を主力として、組込型ソフトウェア開発事業、その他事業(商品・製品販売)も展開している。
20年3月期セグメント別売上高構成比はソフトウェア開発事業82%(金融・保険分野27%、公共・サービス分野25%、流通・その他分野30%)、組込型ソフトウェア開発事業18%(通信システム分野1%、カーエレクトロニクス分野8%、情報家電等・その他分野9%)、その他事業(商品・製品販売等)0%だった。営業利益構成比(連結調整前)はソフトウェア開発事業72%、組込型ソフトウェア開発事業28%、その他0%だった。
収益面では案件別の採算性が影響し、企業のIT投資関連のため年度末にあたる第4四半期の構成比が高くなる特性がある。配当方針は、連結経常利益をもとに特別損益を零とした場合に算出される親会社株主帰属当期純利益の30%相当を目途に、継続的に実現することを目指すとしている。
■質的・量的成長目指す
中期成長に向けた5ヶ年経営ビジョン(16年4月~)では、経営方針としてCRESCO Ambition 2020に沿った経営、サービス品質強化による質的成長、リソース・技術戦略強化による量的成長、M&Aによる成長スピード拡大を掲げている。
オリジナル製品・サービスでは、IoTの「KEYAKI」、AIの「Minervae」、クラウドの「Creage」を3大ブランドと定義し、ソフトウェア開発・システム開発の需要喚起を推進している。
19年10月にはクレスコベトナムがオフショア開発の中核として稼働した。19年11月にはアマゾンのAWSパートナー制度で、AWS Well―Architectedパートナープログラム認定を取得した。20年2月には北海道大学公認のAIベンチャーである調和技研と資本業務提携、20年4月にはシステムインテグレーターのエニシアスを子会社化した。
20年8月には、子会社のクリエイティブジャパンが電気通信大学との産学共同研究で、3密を解決する「CLIP新型コロナ感染症予防支援システム」の開発を開始した。
なお20年9月には、社内デジタル変革(DX)を加速させるため「ニューノーマルな働き方」に舵を切ると発表した。テレワーク体制を強化して社員の生産性向上を目指すとともに、本社や開発センターのオフィススペースの最適化、在宅勤務手当新設や通勤手当見直しなどにより、コスト削減も推進する。
■21年3月期は新型コロナ影響だが前年並み業績確保を目指す
21年3月期の連結業績予想は、売上高が20年3月期比1.7%増の400億円で、営業利益が4.4%減の34億円、経常利益が3.0%減の36億円、純利益が1.2%増の24億50百万円としている。配当予想は20年3月期と同額の36円(第2四半期末18円、期末18円)である。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比0.1%減の192億03百万円、営業利益が20.8%減の13億66百万円、経常利益が2.7%減の18億44百万円、純利益が14.9%増の13億08百万円だった。
全体として新型コロナウイルスによる対面営業制限、顧客におけるIT投資計画見直しなどで受注が減少した。売上高は新規連結効果などで小幅減収にとどまったが、営業利益は子会社における不採算案件の発生も影響して減益だった。経常利益はデリバティブ評価損益が改善して小幅減益、純利益は投資有価証券売却益を計上して増益だった。期初計画との比較では、売上高、経常利益、純利益が計画を上回った。
ソフトウェア開発は1.0%増収、17.1%減益だった。金融が13.7%増収と好調だが、公共サービスが観光関連の急減や人材関連の大型案件剥落で16.4%減収と低調だった。流通・その他は20年4月子会社化したエニシアスの新規連結効果で3.5%増収だった。利益は人件費・外注費・材料費の増加に加えて、子会社における不採算案件発生も影響した。
組込型ソフトウェア開発は5.1%減収、18.6%減益だった。通信システムはスマホ関連の増加で9.0%増収、カーエレクトロニクスはセンサー系の開発などで5.2%増収だが、情報家電・その他がメーカーのプロジェクト中止・延期の影響で15.8%減収だった。利益は人件費・外注費の増加に加えて、受注単価低下も影響した。
通期予想は据え置いて前年並みの業績確保を目指すとしている。中期的には新型コロナウイルス禍がデジタル改革の加速要因となるが、当面は顧客のIT投資の中止・中断・延期、対面営業自粛などの影響を想定している。ただし保守的だろう。生産性向上効果も寄与して後半の挽回を期待したい。
■株価は反発の動き
株価(20年2月1日付で株式2分割)は安値圏だが、下値固め完了して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。12月15日の終値は1340円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS116円67銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の36円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS770円72銭で算出)は約1.7倍、そして時価総額は約322億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)