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GMOグローバルサイン・ホールディングスは21年12月期も収益拡大基調
- 2020/12/22 08:25
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
GMOグローバルサイン・ホールディングス<3788>(東1)は、サーバー貸出・管理サービスおよび電子認証サービスを主力として、電子印鑑やAI・IoTなど新規サービスの収益化も推進している。20年12月期増収増益予想である。さらにwithコロナに伴うDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速で21年12月期も収益拡大基調だろう。株価は10月の上場来高値から反落して水準を切り下げたが、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。
■クラウド・ホスティング事業とセキュリティ事業が主力
GMOインターネット<9449>の連結子会社である。旧GMOクラウドが20年9月1日付でGMOグローバルサイン・ホールディングスに社名変更した。
サーバー貸出・管理サービスのクラウド・ホスティング事業、電子認証サービス(連結子会社GMOグローバルサインのSSLサーバー証明書発行サービス、電子印鑑DSSなど)のセキュリティ事業を主力として、電子印鑑やAI・IoT関連など新規サービスと位置付けるソリューション事業も展開している。社名変更に伴ってグローバルなブランド認知度向上、日本NO.1のトラストサービスを軸とした事業拡大を推進している。
19年12月期の構成比(連結調整前)は、売上高がクラウド・ホスティング事業42%、セキュリティ事業51%、ソリューション事業8%、経常利益構成比(連結調整前)はクラウド・ホスティング事業44%、セキュリティ事業79%、ソリューション事業▲23%だった。
クラウド・ホスティング事業では、既存ホスティングサービスの統廃合でコスト削減を推進するとともに、19年4月開始したマネージドクラウドサービスCloudCREWが急拡大している。
セキュリティ事業では、SSLサーバー証明書の国内市場シェアが、19年6月に50%を突破した。20年1月には、クラウド型電子署名ソリューションDigital Signing Suiteの月間署名数が、グローバルで100万件を突破した。また新型コロナウイルスを契機に「ハンコレス」の動きが加速すると想定されるため、日本版eシール対応サービスの提供を目指している。
20年4月には、GMOグローバルサインがインフィニオン社と連携してマイクロソフトAzure IoT HubへのIoTデバイス登録ソリューションを提供開始した。またGMOグローバルサインがDocuSign社とテクノロジーパートナーシップを締結し、クラウド型電子印鑑ソリューション(電子印鑑DSS)をDocuSign社のクラウドサービスと連携した。20年5月にはGMOグローバルサインの企業向けシングルサインオンサービスが、WEB会議システム「ZOOM」および「Cisco Webex」と連携開始した。
■電子印鑑・契約など新規サービスの収益化推進
ソリューション事業では、GMO電子印鑑Agree、WebソリューションO2O、オンラインゲーム開発エンジンPhoton、自動車向けAI・IoTソリューションのLINKDriveシステムを活用したコネクテッドカー事業など、新規サービスの収益化を推進している。なおコネクテッドカー事業については、20年1月GMOモビリティクラウドとして分社化し、20年3月に双日<2768>との合弁会社とした。
GMO電子印鑑Agreeは当事者署名型、立会人型(事業者署名型)の両方に対応している。政府が進める行政手続きオンライン化など官民で「脱はんこ」の動きが広がっていることを背景に、契約数は20年11月時点で7万件を突破した。
今後はGMOインターネットグループの顧客基盤も活用して電子印鑑市場の席巻を狙う方針だ。電子実印署名数は20年12月期第2四半期時点で月間180万署名を突破している。また20年12月には「契約印&実印プラン」として一本化し、価格も大幅に引き下げて電子契約の更なる利用・普及を促進している。
AI・IoT関連では20年6月、メーター点検業務をAIで効率化するサービスがKDDIの検診オプションに採用された。
■20年12月期増収増益予想、21年12月期も収益拡大基調
20年12月期の連結業績予想は、売上高が19年12月期比4.4%増の136億91百万円、営業利益が7.1%増の15億42百万円、経常利益が5.7%増の15億70百万円、純利益が5.5%増の11億32百万円としている。配当予想は2円54銭増配の49円13銭(期末一括)である。
クラウド・ホスティング事業はマネージドクラウドサービスCloudCREW、セキュリティ事業はSSLサーバー証明書が牽引して増収増益予想である。ソリューション事業の電子印鑑Agreeの収益化も推進する。セグメント別計画はクラウド・ホスティング事業が2.2%増収で3.4%増益、セキュリティ事業が4.0%増収で3.9%増益、ソリューション事業が31.1%増収で赤字縮小としている。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比3.9%増の100億52百万円、営業利益が1.7%増の10億89百万円、経常利益が8.0%増の11億79百万円、純利益が3.8%減の8億85百万円だった。
クラウド・ホスティング事業は3.4%増収で16.9%増益だった。従来型のホスティングサービスは減少だが、マネージドクラウドサービスCloudCREWが伸長し、サービス統廃合によるコスト最適化効果も寄与した。
セキュリティ事業は4.2%増収で8.1%増益だった。業界団体ルール変更に伴うSSLサーバー証明書の契約期間変更(複数年契約から単年契約に変更)による単価下落の一時的影響があったが、電子文書に対するセキュリティ意識の高まりを背景として、国内外でSSLサーバー証明書が堅調に推移した。
ソリューション事業は10.8%増収だが、広告費などの先行投資で赤字がやや拡大した。GMO電子印鑑Agreeの契約数は20年11月時点で7万件を突破した。
第3四半期累計の進捗率は売上高が73.4%、営業利益が70.6%、経常利益が75.1%、純利益が78.2%と概ね順調だった。なお四半期別の営業利益は第1四半期が4億15百万円、第2四半期が3億97百万円、第3四半期が2億77百万円となり、第3四半期に減速した形だが、通期ベースで収益拡大を期待したい。さらにwithコロナに伴うDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速で21年12月期も収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は毎年12月末時点で6ヶ月以上保有株主対象
株主優待制度は毎年12月31日時点で、1単元(100)株以上・6ヶ月以上保有株主を対象として実施(詳細は会社HP参照)している。
■株価は戻り試す
株価は10月の上場来高値から反落して水準を切り下げたが、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。12月21日の終値は9170円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS98円27銭で算出)は約93倍、今期予想配当利回り(会社予想の49円13銭で算出)は約0.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS556円31銭で算出)は約16倍、時価総額は約1072億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)