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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アドアーズは16年3月期は減益予想だが、意欲的な中期経営計画を評価
- 2015/5/29 08:12
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アドアーズ<4712>(JQS)はアミューズメント事業や不動産事業を展開し、介護事業にも参入した。株価は安値圏でモミ合う展開だが煮詰まり感を強めている。16年3月期は投資負担が先行して減益予想だが、意欲的な中期経営計画を評価してモミ合い上放れのタイミングだろう。
13年2月に、親会社Jトラスト<8508>グループで戸建て住宅分譲や商業建築など展開するキーノート、アミューズメント施設向け景品製作・販売など展開するブレイクを子会社化し、Jトラストグループ内で建築・不動産事業とアミューズメント事業の中核を担う位置付けとなった。
アミューズメント事業では利益率の高いメダルゲームジャンルを注力分野として収益改善を目指している。新業態開発やゲーム景品製造も強化し、当社独自のアミューズメント機器の開発も視野に入れている。不動産事業では一戸建分譲事業のエリア拡大や不動産アセット部門の強化を推進している。
14年9月には韓国JBアミューズメント(JBA)の第三者割当増資を引き受けて第2位株主となった。韓国・済州新羅ホテルでカジノ事業を行うマジェスターを含むJBAグループと協力関係を構築し、アミューズメント事業におけるシナジー創出や事業拡大を目指す方針だ。
14年11月には通所介護事業の日本介護福祉グループを連結子会社化して介護事業に参入した。日本介護福祉グループはデイサービス施設運営の最大手で、主に「茶話本舗」ブランドで日本全国797拠点(通所介護直営45事業所、通所介護FC710事業所など)を展開している。
15年4月には、フォーサイドエンタテイメントが運営するスマートフォン向けソーシャルコミュニケーションアプリ「Eyeland」による「地域コミュニケーション起点の店舗送客O2Oマーケティング」サービスの提供を開始すると発表した。当社が運営する店舗情報を「Eyeland」内の地図上に表示させ、当社のリアル店舗への送客を目指すとしている。
5月12日に発表した前期(15年3月期)の連結業績は、売上高が前々期比1.7%増の233億99百万円、営業利益が同49.6%減の6億64百万円、経常利益が同52.8%減の5億51百万円、純利益が同51.1%減の4億61百万円だった。
配当予想は前々期と同額の年間2円(期末一括)で、配当性向は60.4%となる。なおROEは同4.8ポイント低下して4.1%、自己資本比率は同5.4ポイント低下して47.8%となった。
不動産アセット部門での所有不動産売却、商業建築事業の好調、日本介護福祉グループの新規連結(3ヶ月分)などで増収だったが、アミューズメント事業での店舗数減少や消費増税影響による減収、収益率の高いメダルジャンルの不振、クレーンゲームジャンルの好調に伴うコスト増加、景品販売部門における円安進行に伴う原価上昇、不動産事業での建築コスト上昇、さらに本社経費の増加などで大幅減益だった。アミューズメント施設の既存店売上は前々期比95.1%だった。
セグメント別動向を見ると、アミューズメント事業は売上高が同8.9%減の151億38百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同34.5%減の8億63百万円、不動産事業は売上高が同17.1%増の58億39百万円、営業利益が同17.9%減の4億14百万円、商業建築は売上高が同24.2%増の17億48百万円、営業利益が同65.3%増の1億24百万円、そして介護事業の売上高が6億69百万円、営業利益が48百万円の赤字だった。
四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)56億85百万円、第2四半期(7月~9月)60億97百万円、第3四半期(10月~12月)61億04百万円、第4四半期(1月~3月)55億13百万円、営業利益は第1四半期3億60百万円、第2四半期3億52百万円、第3四半期1億10百万円、第4四半期1億58百万円の赤字だった。
今期(16年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期比6.8%増の250億円、営業利益が同9.7%減の6億円、経常利益が同9.4%減の5億円、純利益が同34.9%減の3億円、配当予想が前期と同額の年間2円(期末一括)としている。
日本介護福祉グループの通期連結も寄与して増収だが、介護事業での居宅支援事業所の開設などに伴う設備投資および運営投資の費用が先行するため減益見込みとしている。ただし消費増税の影響一巡、アミューズメント事業におけるイベント・サービス拡充、グループ連携強化も背景として中期的に収益改善基調だろう。
なおアミューズメント施設の月次既存店売上高(前年比、速報値)の動向を見ると、15年4月は97.8%だった。プライズゲームは好調で、メダルジャンルも回復基調となったが、その他のゲームジャンルが軟調だった。
5月20日に発表した中期経営計画では、目標数値として最終年度の18年3月期売上高330億円(アミューズメント事業148億円、不動産事業・商業建築事業80億円、介護事業102億円)、営業利益17億円、経常利益14億円、純利益9億50百万円、ROE8%を掲げた。さらに20年3月期には売上高410億円、営業利益29億円、経常利益23億円、純利益14億円を目指すようだ。
基本戦略として、アミューズメント事業ではアニメコンテンツなどの活用・開発による総合アミューズメント事業の確立、Jトラストの活動基盤を活かしたアミューズメント施設の海外展開、不動産事業・商業建築事業ではJトラストの事業基盤を活かした日本基準住宅などの東南アジア展開、介護事業では施設利用者の拡大と介護人材の獲得・育成による事業基盤確立、一体型介護サービスの展開を推進する。
株価の動きを見ると、安値圏130円近辺でモミ合う展開が続いている。ただし下押す動きは見られず煮詰まり感を強めている。
5月28日の終値129円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS2円15銭で算出)は60倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間2円で算出)は1.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS82円22銭)は1.6倍近辺である。
週足チャートで見ると52週移動平均線が戻りを押さえる形だが、125円~126円近辺が下値支持線のようだ。そして13週移動平均線と26週移動平均線突破の動きを強めている。16年3月期は投資負担が先行して減益予想だが、意欲的な中期経営計画を評価してモミ合い上放れのタイミングだろう。